Date: 7月 27th, 2020
Cate: 日本のオーディオ
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S氏とタンノイと日本人(その9)

スーパー・レッド・モニターは、
ステレオサウンド 54号「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」に登場している。

瀬川先生の試聴記だ。
     *
 タンノイであれば、何よりも弦が美しく鳴ってくれなくては困る。そういう期待は、誰もが持つ。しかしなかなか気難しく、ヴァイオリンのキイキイ鳴く感じがうまくおさえにくい。もともと、エージングをていねいにしないとうまく鳴りにくいのがタンノイだから、たかだか試聴に与えられた時間の枠の中では無理は承知にしても、何かゾクッと身ぶるいするような音の片鱗でも聴きとりたいと、欲を出した。三つ並んだ中央のツマミはそのままにして、両わきを一段ずつ絞るのがまた妥当かと思った。しかし、何となくまだ音がチグハグで、弦と胴の響きとがもっと自然にブレンドしてくれないかと思う。エンクロージュア自体の音の質が、ユニットの鳴り方とうまく溶け合ってくれないようだ。もっと時間をかけて鳴らし込んだものを聴いてみないと、本当の評価は下せないと思った。ただ、総体的にさすがに素性のいい音がする。あとは惚れ込みかた、可愛がりかた次第なのかもしれない。
     *
なんだろう、微妙な評価だなぁ……、とまず感じた。
タンノイのスピーカーは、44号、45号の総テストにも登場している。
その時の試聴記とは、何か違う、とも感じていた。

54号にはクラシック・モニターは登場していない。
スーパー・レッド・モニターの、ステレオサウンドでの評価は高かった。

53号での、ステート・オブ・ジ・アート賞にも選ばれている。
55号のベストバイでも高い得票だった。
59号のベストバイでもそうだった。

読者の選ぶベストバイ・コンポーネントでも、55号、59号で4位である。
注目度は高かった。
私もけっこう注目していたからこそ、59号のベストバイを結果をみて、
54号での微妙な感じは、やっぱりそうだったのか、に変っていった。

59号でもスーパー・レッド・モニターの評価は高い。
ペアで60〜120万円未満のベストバイ・スピーカーで、
JBLの4333Bの18点に次ぐ14点で、2位に位置している。

それでも瀬川先生は、というと、SRMシリーズのタンノイだけでなく、
アーデンII、バークレーIIにも、一点も入れられていない。

51号と55号のベストバイは、
誰がどの機種に点を入れたのかはまったくわからないようになっていた。
瀬川先生がスーパー・レッド・モニターに点を入れられていたのかは、はっきりしない。
けれど、入れられていなかったはずだ。

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