世代とオーディオ(実際の購入・その14)
好感度、という。
オーディオの場合だと、好感度よりも高感度が使われるわけだが、
芸能の業界では、好感度のほうであり、好感度の順位が発表されてたりする。
好感度タレントと呼ばれている人たちがいる。
テレビのない生活を送っていると、
誰が好感度タレントと呼ばれているのかは、なんとなく知っているけれど、
その好感度タレントがテレビに出ているのを見ているわけではない。
好感度タレントが出ているテレビ番組をみて、
なるほど、この人が好感度タレントなのか、と感心するのかどうかはなんともいえないが、
オーディオの世界で、好感度ということについて考えてみると、
たとえば1980年代後半から1990年前半ぐらいまでのBOSEのスピーカーは、
好感度スピーカーといえたのではないだろうか、とちょっと思っている。
好感度タレントの上位にいた人が、ある不祥事で好感度が下ってしまった──、
みたいなことをインターネットで目にすると、
好感度の基準の曖昧さみたいなものを感じるわけだが、
あの時代のBOSEのスピーカーは、いわゆるカフェバーと呼ばれる店には取り付けられていた。
多くは101MMだったし、301MMもあった。
この二つのBOSEのスピーカーは、当時、好感度な存在だったのだろうか。
誰も当時、そんなことはいっていなかったけれど、
多くの人から嫌われていたスピーカーならば、あれだけの多くの店舗で使われることはなかったはずだ。
101MMは大きさ・価格からしてまさにそうだが、
301MMにしても、その用途はBGMを店内に流すためのスピーカーであった。
BOSEのスピーカーの音が好きかと問われれば、嫌いじゃないけれど……、と答えるところがある。
井上先生が鳴らす901の音は、ほんとうによかった。
その音を聴いていたから、いまでも901は、欲しいな、という気持が少しだけ残っている。
でも、あくまでも901に関してだけであって、
他のBOSEのスピーカーを欲しい、と思ったことはない。
それでも、あの当時、オーディオに関心のない人(二人)から、
BOSEのスピーカーを買おうと思っているけれど、どう? と訊かれたことがある。
ずいぶん以前のことだから、はっきりとどんなふうに答えたのかは記憶にないが、
否定することはしなかったはずだ。