Archive for category テーマ

Date: 12月 3rd, 2020
Cate: ディスク/ブック

Glenn Gould Plays Beethoven’s 5th Symphony

昨晩のaudio wednesdayのテーマは、Beethoven 250。
最初にかける曲は、まっさきに決めていた。

グレン・グルードのベートーヴェンの交響曲第五番(リスト編曲)である。
20代のころ、よく聴いていた一枚だ。
めっきり聴くことは減っていた。

前回きいたのは、グレン・グールドのリマスター盤のボックスが出た時だから2007年だ。
もう十年以上きいていなかった。

これまではLPとCDできいてきた。
昨晩はTIDALで聴いた。

ぞくぞくした。

Date: 12月 2nd, 2020
Cate: オーディオ評論

二つの記事にみるオーディオ評論家の変遷(その6)

ステレオサウンド 51号に「♯4343研究」が載っている。
JBLのゲーリー・マルゴリスとブルース・スクローガンが、
ステレオサウンドの試聴室で4343のチューニングを行う、という記事である。

この記事中、ゲーリー・マルゴリスは、
4343はユニットの配置の関係から、音のバランスがとれる最低の距離は2mだ、と語っている。
つまり2m以上離れた位置で聴いて、
音のバランスがとれるようにネットワークのレベルコントロールを調整してほしい、ということだ。

2mよりも短い距離では、個々のユニットの音をバラバラに聴くことになり、
最適なバランスが掴めない、とのことだ。

マルチウェイ・マルチスピーカーの場合、ひとつの目安として、
最も離れているスピーカーユニットの中心と中心との距離の三倍以上離れて聴くこと。

4343の場合、ウーファー2231Aとトゥイーターの2405、
それぞれの中心の距離の三倍が約2mということである。
4343よりも大型の4350の場合、約2.5m離れることになるわけだ。

同軸型ユニットの場合はというと、トゥイーターとウーファーの中心は一致している。
理屈のうえでは、ぐっと近づいてもいいことになるわけだ。

51号は1979年夏に、「HIGH-TECHNIC SERIES-4」は1979年春に出ている。
だからこそ、どちらの記事も記憶にはっきりと残っている。

KEFのModel 105を聴いたのも、このころである。
Model 105は30cm口径ウーファーで、38cm口径の4343よりも、
ウーファーとトゥイーターの距離は近い。
2mも離れる必要はない。

それに中高域ユニットのエンクロージュアを聴き手に向けて調整できる。
熊本のオーディオ店で聴いたときも、三倍程度は離れていた。

どんなにきちんと調整されたとしても、
Model 105にぐっと近づいて聴いていたら、どうなっていただろうか。

マルチウェイ・マルチスピーカーユニットでも、Model 105のような例はある。
同軸型ユニットが、すべての条件において音像定位が優れているわけではない。

このことがごっそり抜け落ちたままで、単に音を聴いての、
《よくコアキシャルは定位がいいとはいうが、それは設計図から想像したまぼろしだ》
という感想のような気もする。

Date: 12月 1st, 2020
Cate: オーディオ評論

二つの記事にみるオーディオ評論家の変遷(その5)

なぜオーディオメーカーは、
やっかいともいえる同軸型ユニットに挑戦するのか、といえば、
それだけの音のうえでのメリットがあるからなのだろう。

その大きなメリットが音像定位に関することである。
そう昔から、同軸型ユニットは、音像定位に優れている、といわれ続けている。

ここで重要なのは、見逃してならないのは、
同軸型ユニットの音像定位の優位性は、至近距離で聴いた場合に発揮される、ということだ。

このことも昔からいわれていたことである。
1979年にステレオサウンド別冊「HIGH-TECHNIC SERIES-4」の巻頭鼎談のなかにも、
そのことは出てくる。
     *
 単純に考えれば、同軸型の良さは、一般のマルチウェイシステムのように各帯域専用のユニットをバッフル面に縦や横に並べることによって出てくる諸問題、特に指向特性のばらつきの問題が最も解決しやすいということですね。つまり、音像定位感を最もシンプルにとりやすいということです。
瀬川 それが第一でしょう。
 ですから、レコード会社によっては依然としてマルチウェイシステムを使わないで、周波数レンジが狭いとかバランスが理想的でないなどいろいろなことをいいながらも、同軸型を使い続けているのだろうと思うのです。
菅野 ぼくも実際にモニター用として同軸型を使っていますよ。
 しかし、同軸型は、薬と毒の両面を持っていると思います。つまり、何らかの形でネットワークを使って帯域分割をしているわけですが、そこに一つの問題点があるような気がするのです。薬の部分は、先ほど岡先生がおっしゃった定位の良さということが一つにはあるわけです。ところが、実際に一般のマルチウェイシステムで考えてみた場合、縦ないし横にそれぞれのユニットが配置されていると、至近距離で聴いた場合、ネットワークのクロスオーバー付近の音が変な音で出てくることに気がつきます。しかも低・中・高域の音が位置関係ではっきり別のところから出てくるという不自然さがあるわけです。同軸型はその辺の不自然さはありませんが、別の問題が生じてくるのです。それは先ほどもいったことですけれども、たとえばトゥイーターから出た音がウーファーによって音響的にモジュレートされたような歪み感を感じることなのです。
 ところが、その、いわば毒の部分が、一般のマルチウェイシステムのクロスオーバー付近の音をうまくマスキングし、しかも位置関係の不自然さを打ち消してくさぱるようなのですね。至近距離で聴いた場合、明らかに同軸型の方がアラは出にくいのです。そして、当然、音は同じポジションから点焦点的に出てくるので、定位も確かにつかみやすいということになります。
瀬川 いま論じられている2ウェイの同軸型の中で、製品としてはいくつかあっても、買うに値する、どうしてもこれでなければといえるくらいに価値あるものは、現在ではタンノイとアルテックぐらいしかないと思うのです。
 その中で、たとえはタンノイの場合、同軸型だからということでタンノイを選ぶという人は少ないだろうと思います。それよりもむしろ、タンノイの、あの総合的なタンノイトーンみたいなものに惚れ込んでいて、もしあれが一般のマルチウェイのように各帯域のユニットが単独に存在していたとしてもあのトーンが出れば、タンノイファンはやはり減らないでしょう。
菅野 それと同時に、同軸だという条件がタンノイトーンの一部分を作っているともいえますね。
瀬川 それはいえますね。ぼくがいまいっていることは荒唐無稽な説なのかもしれないですけれども、実際タンノイもスタジオでモニター用に使われています。その場合には、先ほど菅野さんがいわれた、至近距離で聴いても定位が乱れないということは大事な部分だと思いますね。
 ただ、タンノイをよく聴き込んだ人は音像定位がいいということをいいますが、それでは同軸型以外のマルチウェイでは定位感が悪いのかといえば、やはりそうではないわけです。ですから、同軸型だから定位がいいということは一律にはいえないような気がします。
 たとえば至近距離でという条件があれば、同軸型の良さはある面で絶対的なところがありますが、ある程度スピーカーから離れた場合は、音像が小さいからいいということはむしろ逆なことがいえると思うのです。いまのステレオ再生は左右の2点しか音を出さないだけに、よほどうまくやらないと音場が狭く感じられてしまうのですね。もとの音源は、スピーカーよりもはるかに大きな楽器がたくさんあるわけで、しかも多種楽器が一斉に鳴ったりする。そういう感じは、むしろ一般的なマルチウェイで、しかもウーファーとトゥイーターをうんと離して配置するという方法をとった方が、音像定位は悪くなりますけれども、全体的に広がった良さみたいなものが出てきます。
 ぼくは、同軸型ユニットというのは、帯域を広げたいということと、許容入力を大きくしたいという、この二つ以外の何物でせないと思うのです。ですから、結果的に、菅野さんが先ほどおっしゃったように異質なものを無理に一つにまとめたような〝木に竹を接ぐ〟という性格がどうしてもつきまとうのではないかと思うのです。
菅野 ただ、いまのアルテックとかタンノイの同軸型はよく出来ているので、木に竹ではなく、低域と高域がうまく合わさって一つのアルテックサウンド、タンノイサウンドの魅力にまで消化されていると思います。
 ですから、少し理屈っぽくいえば、どうせ低域と高域の二つに分けるのならば、何も無理して同軸型にすることはないと思うのです。同軸型にするためには、ユニットの形やある面での特性もかなり犠牲にしているわけですからね。逆にいえば、これだけのスピーカーメーカーがたくさんある中で、アルテックとタンノイしか現在は同軸型で成功していないということも成り立ち得るわけです。とにかく現在は、アルテックとタンノイが少しずば抜けて別格的に評価されていますね。
     *
同軸型ユニットの定位のよさは、至近距離において、であるということ、
そして同軸型ユニット、
特に基本設計の古いアルテック、タンノイは薬と毒の両面を持っている、ということ。

これを念頭において、ステレオサウンド 94号、150ページを読み返してほしい。

Date: 12月 1st, 2020
Cate: オーディオ評論

二つの記事にみるオーディオ評論家の変遷(その4)

KEFのUni-Q登場以前の同軸型スピーカーの代表的存在は、
タンノイとアルテックだった。

この二つ以外にも同軸型ユニットは、もちろんあった。
私が昔使っていたシーメンスのCoaxialもそうだし、
JBLの2145、イソフォンのOrchester2000、
パイオニアのPAX-A30などがあった。

とはいえ、やはり同軸型ときいて、オーディオマニアが頭に思い浮べるのは、
タンノイとアルテックだった。

この二つの同軸型ユニットは、中高域にホーン型を採用している。
JBLやシーメンスはトゥイーターはコーン型、
イソフォンはドーム型、パイオニアはホーン型だった。

トゥイーターがコーン型、ドーム型の同軸型ユニットは、
ウーファーの前面にトゥイーターが位置することになる。

ホーン型の場合は、ウーファーの奥にトゥイーターの振動板が位置する。
ウーファーとトゥイーターの位置合せは、構造上、かなり困難である。

特にホーン型の場合は、ウーファーとの距離が、
ドーム型、コーン型よりも離れることになる。

日本で平面振動板が流行り出したときに、パイオニアから、
平面振動板の4ウェイの同軸型ユニットが発表になり、
このユニットを採用したスピーカーシステムS-F1が登場した。

平面振動板だから、表からみれば、それぞれの振動板の位置は合っている。
けれど、ボイスコイルの位置までは一致していなかった。

Uni-Qが特徴的なのは、振動板の位置が合っている数少ない同軸型だったことにある。
実はホーン型トゥイーターの同軸型ユニットでも、
マクソニックのDS405は、ボイスコイルの位置を合せているし、
Uni-Qの約十年前に登場している。

同軸型ユニットは、それほど多くはなかった。
構造上複雑になるため、それにともない制約も生じるためであろうが、
それでも同軸型ユニットに挑戦するメーカーもあった。

手がけたものの、わりと早くやめてしまったメーカーもあれば、
タンノイのようにずっと長く続けているメーカーもあるし、
KEFも、もう三十年以上になる。

Date: 11月 30th, 2020
Cate: ディスク/ブック

ADELANTE! EN AVANT!

六日前に、オルネラ・ヴァノーニの「女の第三章〝愛〟」(Uomo mio Bambino mio)が、
TIDALで聴けることを書いた。

ステレオサウンド別冊「HIGH-TECHNIC SERIES-3」で黒田先生が、
トゥイーターの試聴に好適なレコードとして紹介されていたもので、
このムックのトゥイーターの試聴に使われていたのは、
キラパジュン(QUiLAPAYUN)の「前進」(ADELANTE! EN AVANT!)である。

このディスクから、二曲を使ってのトゥイーター55機種の試聴であった。
このディスクを聴いてから「HIGH-TECHNIC SERIES-3」を読めば、
試聴記をよりいっそう楽しめたはずなのだが、
チリ音楽の、このレコードは、当時の田舎のレコード店ではお目にかかれなかった。

機会がなかったままだと、ついそのままになってしまう。
これもTIDALで聴ける。
“QUiLAPAYUN”で検索すれば、すぐに表示される。

忘れていなければ、いつか聴ける。

Date: 11月 30th, 2020
Cate: ディスク/ブック

Solveigs Sang(その1)

二年前のオーディオインターナショナルオーディオショウのノアのブースで、
デ・ワールトのペール・ギュントがかけられた。

鳴ったのは、アメリングが歌っているソルヴェイグの歌だった。
ひさしぶりに聴いたソルヴェイグの歌でもあった。

アメリングって、こんなに素敵な歌手だっけ? と思うほどによく鳴っていた。
そうなると、ほかの歌い手によるソルヴェイグの歌を聴きたくなる。

Googleで検索してみた。
結果は、平原綾香のソルヴェイグの歌ばかりが上位に表示されていた。

私が求めていたのは、どの歌手が歌っているかのであって、
平原綾香もそのなかの一人であるのはわかっているが、
それでも限度というものがある。

この時、Googleは、あまり使えないな、と確信した。
ちなみにいま検索してみると、そうではなくなっている。

こんなことを思い出したように書いているのは、これもTIDALに関係してのことだ。
TIDALで、“Solveigs Sang”、“Solveig’s Song”で検索すれば、
かなりの数のトラックが表示される。

これを二年前のGoogleに求めていたのだが、
商業主義に毒されてしまったかのような結果しか表示しなかった。

ずいぶん知らない人が歌っているのを知った。
この人も歌っていたのか、ともおもった。

キルステン・フラグスタートも歌っている。
ちょっと意外な感じもしたけれど、フラグスタートはノルウェー人であることを思い出した。

ワーグナー歌いという印象が、どうしても強いために、
ノルウェー人だということを、つい忘れがちになる。

TIDALで検索しては聴き、また検索。
時間がかなり経ってしまうけれど、気づかされる、というか、
思い出させてくれることが、少なくない。

Date: 11月 30th, 2020
Cate: audio wednesday

第118回audio wednesdayのお知らせ(Beethoven 250)

29日に告知する、と書いておきながら、ころっと忘れてました。
12月2日のaudio wednesday、行います。
体調の優れない方はご遠慮ください。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

19時開始です。

Date: 11月 29th, 2020
Cate:

いい音、よい音(その6)

いい音を求めるのは、どうしてなのか。
欲からなのか、好奇心からなのか。

どちらか片方だけということはあまりなくて、
欲に片寄ったり、好奇心に片寄ったりしながらないまぜになっているのだろうか。

それに欲といっても、いくつかの欲があるようにも感じる。
ここでは、その欲については書かないけれど、
こんなことをあえて書いているのは、
その5)で触れたM&KのSatellite-IA + Volkswooferの音を思い出しているからだ。

(その5)で書いているように、
20代のころ、このスピーカーシステムをステレオサウンドの試聴室で何度か聴いている。
井上先生が鳴らした時だけが、楽しいスピーカーだと感じていた。

音のクォリティはそれほど高くない。
なので、ただ聴いただけでは、このスピーカーの評価は低いものになる。
そのためか日本市場では受け入れられなくて、一時輸入が途絶えていたし、
別の輸入元が扱うようになっても、わりと短期間でまた日本市場から消えていった。

20代のころは、M&Kのスピーカーシステムを一人で鳴らして楽しめたかというと、
そうではなかった。
あくまでも井上先生の指示にしたがってあれこれ調整していくことで、楽しめた。

なぜ、一人では楽しめなかったのか。
好奇心をもって取り組めていなかったからだ、といまは思う。

Date: 11月 28th, 2020
Cate: アクセサリー

D/Dコンバーターという存在(その13)

Matrix AudioのX-SPDIF2は、Mac miniに接続して、
ここ数日TIDALを中心に使っていた。

昨日、iPhoneでも試してみたところ、音が鳴らない。
X-SPDIF2はバスパワーで動作するのだが、iPhoneにとっては消費電力が大きすぎるので、
ACアダプターを付けている。

けれど音が鳴らない。
ロックはしているのだが、肝心の音がまったく聴こえてこない。

最初に買ったDouk AudioのU2とまったく同じである。
U2は、iOSに対応しているとは、どこにも書いてなかったので仕方ないのだが、
X-SPDIF2は、Matrix Audioのサイトに
“The iOS devices can be used via Lightning to USB Camera Kit.”
とある。
これを信じて購入したわけなのだが、いまのところ音を出せないでいる。

これまで使ってきたFX-AUDIOのFX-D03J+にしてみる。
問題なく動作する。

Mac miniに接続した音は満足している。
買って良かった、と思っているけれど、
肝心のiOSでの音が出ないことには、12月のaudio wednesdayには持っていけない。

いまのところ、解消方法が分からないでいる。

Date: 11月 28th, 2020
Cate: オーディオ評論

二つの記事にみるオーディオ評論家の変遷(その3)

1990年に、BBCモニターのLS5/1を、
オーディオ雑誌の売買欄で見つけて購入した。

いまならばヤフオク!があり、カラー写真で状態をチェックできるが、
あの時代は、オーディオ雑誌の巻末にある文章のみが情報だった。

だいたい程度良好とか新品同様とあった。
私が買ったLS5/1も程度良好と書いてあった。

それを信じるしかない。
近場の人なら訪ねていって確認することもできるが、確か関西の人だった。

届いたLS5/1はかなりくたびれたモノだった。
これを程度良好というのか、と文句の一つでもいいたくなるほどだった。

しかも売買欄にはKEFのLS5/1Aとあったが、実際はLS5/1だった。
それでも音を聴いてみると、定位のよさはまず驚いた。

LS5/1Aの定位のよさについては、
ステレオサウンド 38号で井上先生が書かれていた。
     *
このシステムは比較的近い距離で聴くと、驚くほどのステレオフォニックな空間とシャープな定位感が得られる特徴があり、このシステムを選択したこと自体が、瀬川氏のオーディオのありかたを示すものと考えられる。
     *
LS5/1を聴いたのも、かなりの近い距離だった。
《驚くほどのステレオフォニックな空間とシャープな定位感》は、まさにそのとおりだった。

LS5/1を小改良したのがKEFのLS5/1Aであり、
LS5/1AがKEFの最初のモデルでもある。

つまりKEFのスピーカーシステムは、最初のモデルからシャープな定位感を特徴としていた。
LS5/1とModel 105を、同時比較試聴したことはない。
それでも印象のうえでの比較ならば、定位の精度感はModel 105が上といえる。

中高域のユニットを、ウーファーとは独立したエンクロージュアにおさめ、
しかもユニットの位置合せとともに、仰角と水平を調整できるようにしたスタイルは、
Model 107で完結している。
Model 107、それから105もSeries IIからは仰角調整はできなくなっている。

そのKEFがModel 107のあとに同軸型ユニットUni-Qを発表しているのだ。

Date: 11月 28th, 2020
Cate: ディスク/ブック

Moon River

1993年ごろだったか、オードリー・ヘプバーンが歌う“Moon River”のCDを買った。
しばらくして知人に貸したまま、返ってこなくなった。

愛聴盤だったわけではないので、それほど惜しいとは思わなかったけれど、
それでも十年に一度くらい、聴きたくなることがある。

だからといってCDを探す、というわけではないので、それほど強く聴きたいわけでもないのだろう。
TIDALで、検索してみた。
すんなり見つかった。

あるだろうな、とは思っていたけれど、それでもあったことに少しばかり驚いたし、
しかもMQAで、ヘプバーンの“Moon River”が聴ける。

また落穂拾いをしている、という自覚はある。
それでもMQAでの落穂拾いは、新鮮でもある。

Date: 11月 27th, 2020
Cate: オーディオ評論

二つの記事にみるオーディオ評論家の変遷(その2)

同軸型ユニットは定位がいい、とは、ずっと昔からいわれ続けていることだ。
私がオーディオに興味をもった1976年秋も、そうだった。

タンノイ、アルテックの同軸型ユニットは、ほとんどの人が定位がいい、といっていた。
とはいっても、そのころ、アルテックにしてもタンノイにしても、
聴く機会は、田舎に住んでいたころはなかった。

ビクターからもS3000というスピーカーシステムが登場した。
新規開発の同軸型ユニットである。
これも聴く機会はなかった。

定位の描写に優れている、という評価を得ているスピーカーで、
実際にその音を聴いて、定位のよさに驚いたのは、
私の場合、KEFのModel 105が最初である。

この時の音のことは、これまでに何度か書いてきている。
熊本のオーディオ店に瀬川先生が来られた時に、
女性ヴォーカルを、少しでもよく聴きたい(鳴らしたい)といったところ、
Model 105をセッティングされ、バルバラのレコードをかけながら、
スピーカーの振りの角度、中高域ユニットの角度などを手際よく調整されたあと、
椅子から立ち上られて、ここに座って聴いてごらん、といわれて聴いた音、
これこそが、まさに定位がいい、とはこういう音をいうのか、と実感した最初だった。

この時の衝撃は、意外にも大きかった。
東京に住むようになって、ステレオサウンドで働くようになってから、
同軸型スピーカーを聴く機会は、特別なことではなくなっていた。

確かに、同軸型スピーカーは定位がいい、と私も感じていた。
それでもKEFのModel 105の、あの時の定位の見事さ、
もっといえば精密さに較べると、同軸型ユニットがそれを超えているとは感じられなかった。

そのKEFから同軸型ユニット、Uni-Qが登場したのは、たしか1988年の終り近くになってのことだった。

Date: 11月 27th, 2020
Cate: High Resolution

MQAで聴きたいアルゲリッチのショパン(その5)

アルゲリッチの“THE LEGENDARY 1965 RECORDING”を、MQAで聴きたい、と、
(その1)で書いた。

MQA-CDは出ていない。e-onkyoでも配信されていない。
半ば諦めていたら、TIDALにある。

44.1kHzではあるが、MQAである。
やっぱりMQAはいいな、と思う。

音の粒立ちがいい。
CDと比較試聴するまでもなく、TIDALのMQAのほうがみずみずしい。

(その2)で、音がよくて、1965年の録音とは思えなかった、と書いてしまったが、
MQAだと、その感はさらに強くなる。

このアルゲリッチのショパンを聴いていると、
audio wednesdayで、コーネッタで少し大きめの音量で鳴らしてみたい、と思うようになってきている。
私の部屋では、ちょっと無理な音量で、喫茶茶会記で鳴らしたいし、
その音、その演奏を、ぜひ聴いてほしい、と思うのだが、
その機会が訪れるのかどうかは、いまのところなんともいえない。

Date: 11月 27th, 2020
Cate: ディスク/ブック

Elgar: Cello Concerto, Op. 85 & Sea Pictures, Op. 37(その2)

11月27日になった。
ワーナーミュージックの告知通りに、
ジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーのチェロ協奏曲の、2020年リマスターがでた。

e-onkyoで配信が始まった。
MQAも、もちろんある。
ワーナーミュージックのサイトには、96kHz、24ビットとあったが、
(その1)で書いているように、192kHz、24ビットである。

デュ=プレのエルガーの協奏曲は、これまで何枚も買ってきた。
MQA-CDも買ったし、XRCDも、ずっと以前に買っている。
それ以外にも数枚買った。

TIDALでも、MQAで聴ける。
自分でも、もう十分だろう、と思っている。
それでも食指が動いてしまう。

それでも、今回が最後になるであろう。

Date: 11月 26th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その8)

アンカーからAnker PowerHouse 100が発売になった。

モバイルバッテリーなのだが、Anker PowerHouse 100は、
DC出力以外にAC100V(正弦波)の出力もそなえている。

バッテリーからAC100Vを作り出して供給する製品はすでにいくつもあり、
昨年はホンダがLiB-AID E500 for Musicという製品も出してきている。

Anker PowerHouse 100は、ずっとコンパクトである。
メリディアンの218に使うには十分な容量である。
しかも手頃な価格におさまっている。

できれば200V出力を、といいたいところだが、
とにかく試してみたい、と思っている。