老いとオーディオ(オーディオ機器の場合・その2)
続きを書くつもりはなかった。
けれど、今日になってふと思い出したことがある。
あるスピーカーシステムのことだ。
かなり大型で、しかもそうとうに高価なスピーカーシステムである。
その海外ブランドのフラッグシップモデルである。
輸入元が輸入したものの、そう簡単に売れるモノではない。
ずっとその輸入元の試聴室にあった。
これだけの規模のスピーカーを買える(置ける)人は、どんな人なのだろうか。
何度かショールームで、そのスピーカーをみるたびに、そんなことを思ったりした。
ある日、その輸入元の社長(当時)が、売れた、といっていた。
輸入元にとって、あれだけ高価なモノが売れたのは嬉しいことのはずだが、
社長は浮かない顔もしていた。
ほんとうに、このスピーカーに惚れ込んでくれた人のところに行ったのならば……、
ということだった。
これだけのスピーカーをポンと買える人だから、
他にも数多くのスピーカーを持っているとのこと。
もちろんアンプやプレーヤーも同じように複数台持っている。
有名な評論家(オーディオではない)のところに行ったそうだ。
そのスピーカーとして、その人にとっては、多くのスピーカーの一つにすぎないわけだ。
その有名な評論家がぞんざいな扱いをしているとは思わないが、
浮ぶのは、死蔵ということばである。