Date: 12月 7th, 2019
Cate: 音の良さ

完璧な音(その3)

その1)で、完璧な文章とは、
どんな読み手であっても、
そこに書かれたことを曲解せずに、正しく受け止めることができる文章なのか──、
そう書いた。

そういう文章が世の中に存在したことがあるのか。
私にはわからないが、
仮にそういう文章こそが完璧な文章だとすれば、
完璧な音もまた、そういう音ということになる。

ここでの、そういう音とは、誰一人として誤解しない、曲解しない音ということになるのか。
完璧な音を複数の人が聴いたとしたら、
皆が同じに受け止める音になるのか。

けれど、音が伝えるのは、
そしてここで述べている完璧な音とは、スピーカーから鳴ってくる音であり、
それはあくまでも音楽を鳴らすための音である。

とすれば、完璧な音とは、たとえばベートーヴェンの交響曲第九番を鳴らしたら、
その音を聴いている人みなが、ベートーヴェンの第九を正しく捉えられる音ということになる。

けれども、世の中に完璧な演奏があるのか、ということを今度は考えることになる。
ベートーヴェンの第九の完璧な演奏があって、
完璧に聴き手に伝えられる音こそが完璧な音ということになる。

ここが完璧な文章と完璧な音との違いということでもある。

ベートーヴェンの第九の素晴らしい演奏はいくつかある。
よく知られるところでは、フルトヴェングラーのバイロイトの第九がある。

フルトヴェングラーの第九以外にも、人それぞれ素晴らしいと感じる第九がある。
私にとっては、ジュリーニ/ベルリンフィルハーモニー、
ライナー/シカゴ交響楽団の第九は素晴らしい演奏であるが、
だからといって完璧な演奏とは思っていない。

Date: 12月 7th, 2019
Cate: ショウ雑感

理科サークルフェスタ2019(その1)

理科サークルフェスタ2019が、
12月8日、法政大学小金井キャンパスで開催される。

明治大学、中央大学、法政大学 の理工学部主催で、
10大学以上のサークルが参加する、とのこと。

オーディオサークルのある大学はいくつかある。
それぞれの大学の学園祭で、自作スピーカーの発表などをしているのは知っていたけれど、
一つ一つの学園祭の日時をチェックしたり、行くのも億劫で、まだ行っていない。

でも、今回の理科フェスタには、いくつかの大学のオーディオサークルが参加している。
一度に、いくつかのオーディオサークルの発表を聴ける。

なので、今回は行くつもり。

Date: 12月 7th, 2019
Cate: ショウ雑感

2019年ショウ雑感(その27)

オーディオショウの各ブースでは、それぞれの出展社による、
音によるプレゼンテーションが行われている、といっていい。

プレゼンテーションをするのは、ブースのスタッフだったり、
メーカーの人だったり、オーディオ評論家だったりする。

製品の説明がある。
そこで技術の説明もあることが多い。

加えて、この製品の音は──、と続くこともけっこうある。
以前も書いているが、その時の言葉による音の表現と、
実際にそこで鳴っている音を私が聴いての印象とは、
同じことはあまりない、といっていいし、
ひどいときに、この音を、そんなふうに表現するの? とスタッフに問い質したくなることも少なくない。

そういう場合、この人は、いったいどういう音の聴き方をしてきたのか、
といつも思う。
どういう音楽を、どういう音で聴いてきた人なのだろうか。
そして、音の表現をするにあったて、
この人は、どんな共通認識をもっているのだろうか──、
その他にもあるが、そんなことを考えてしまう。

考えたところで答がはっきりするわけではないのはわかっている。
スタッフの耳か、私の耳か、どちらかがひどい、ということなのか。

それとも、他に理由があるのか。
その理由について最近考えているのは、
音に対するイメージの相違、
それも静的イメージと動的イメージの違いがあるのではないか、
そう考えている。

Date: 12月 6th, 2019
Cate: ショウ雑感

2019年ショウ雑感(その26)

全国各地では、オーディオ店主催のオーディオショウが、
12月いっぱいまでいくつか開催されているようであるが、
東京にいると、インターナショナルオーディオショウの終りとともに、
今年のオーディオショウも終り、という印象を個人的には受ける。

ショウが終り、各オーディオ雑誌がそれぞれの賞を発表する。
ステレオサウンドのステレオサウンドグランプリが発表、
つまり冬号が発売になれば、こちらも一段落。

ショウと賞が、今年も変らずに行われ、変らずに終っていく。
来年もきっと変らずに行われ、終っていく。

どのブースも、毎年のことだから、手馴れている印象が毎年強くなってくる。
こちらも変らずに行われ、終っていく。

それがいい──、
それでいい──、
そういうことなのか、と思ったりもする。

それを長いつきあい、というのであれば、
求めるのは深いつきあいだ,ということに気づく。

Date: 12月 6th, 2019
Cate: audio wednesday

2020年のaudio wednesdayの予定

12月4日のaudio wednesdayは、趣向をかえて、
写真家の野上眞宏さんのDJによる四時間だった。

聴いているわれわれもDJの野上さんも楽しかった一夜だった。
またやりましょう、ということになる。

2020年は、数回、誰かにDJをやってもらう予定でいる。
野上さんにはまたお願いするし、ほかの方にもお願いするつもりでいる。

野上さんの選曲を聴きながら、
「オーディオと偏愛」について、何か書いていこうかな、とも考えていた。

Date: 12月 5th, 2019
Cate: audio wednesday

第108回audio wednesdayのお知らせ(1月1日)

令和初日(5月1日)が、ちょうどaudio wednesdayの100回目だった。
例話最初の元日が、108回目になる。

1月1日が次回の開催日である。
しかも108回、一般的にいわれる煩悩の数とぴったりの回が元日と重なっている。

テーマはまだ決めていないし、
1月1日に来る人もかなり少ないだろうが、音を鳴らしていく。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 12月 5th, 2019
Cate: audio wednesday

DJ:Mike Nogami’s Playlist

12月4日、audio wednesdayでの、野上眞宏さんによるプレイリスト。
(基本的に表記はShazamに従っている)

ボエーム/カラヤン、ベルリンフィルハーモニー、パヴァロッティ、フレーニ
Purple Haze/クロノスカルテット
フォクシー・レディ/The Jimi Hendrix Experience
マヨネーズ/スマッシング・パンプキンズ
Rid Of Me/PJハーヴェイ
Young Blood/リッキー・リー・ジョーンズ
Maggie May/ロッド・スチュワート
かくれんぼ(ライヴ)/はっぴいえんど
かくれんぼ/はっぴいえんど
おもい/大滝詠一
指切り/大滝詠一
びんぼう/大滝詠一
あつさのせい/大滝詠一
In My Room/宇多田ヒカル
Final/Wolfgang Capek
Love/メアリー・J.ブライジ
りんどう峠/島倉千代子
僕は泣いちっち/守屋浩
悲しき口笛/美空ひばり
リンゴ追分/美空ひばり
4つの最後の歌/エリザベート・シュヴァルツコップ
バラの騎士/カルロス・クライバー(1974年ライヴ)
歌に生き、恋に生き(トスカ)/マリア・カラス
歌に生き、恋に生き(トスカ)/レナータ・テバルディ
私のお父さん(ジャンニ・スキッキ)/レナータ・テバルディ
The Thrill Is Good/チェット・ベイカー
Time After Time/チェット・ベイカー
クライ・ミー・ア・リヴァー/ジュリー・ロンドン
I Should Care/ジュリー・ロンドン
Can’t Help Lovin’ Dat Man/ジュリー・ロンドン
Make Love To Me/ジューン・クリスティ
Something Cool/ジューン・クリスティ
Born To Die/ラナ・デル・レイ
Seventeen/Ladytron
Riot In Lagos/坂本龍一
マッドメン/Y.M.O.
シムーン/Y.M.O.
Zombie Land/FLXXX
Blue/ジョニ・ミッチェル
Woodstock/ジョニ・ミッチェル
All Is Full Of Love/ビョーク
Serious/ダフィー
ピープル/バーブラ・ストライサンド
追憶/バーブラ・ストライサンド
Eleanor Rigby/ビートルズ
チェロ協奏曲(エルガー)/ジャクリーヌ・デュ=プレ

Date: 12月 5th, 2019
Cate: High Resolution

MQAのこと、MQA-CDのこと(その4)

昨晩のaudio wednesdayは、野上眞宏さんによるDJ一夜だった
MQAで始まり、MQAで終った。

始まりの曲は、カラヤンによるボエーム。
終りの曲は、ジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーのチェロ協奏曲だった。

ジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーは、いわば愛聴盤である。
愛聴盤といっても、ほかの愛聴盤とは、どうしても思い入れが違うところがある。
だから、愛聴盤と誰かにいうのに、すなおにそういえないところを感じてしまう。

これまでジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーを、
喫茶茶会記で鳴らそうとおもったことはなかった。
理由は、うまく鳴ってくれそうにないからである。

アルテックのスピーカー(音色)で、
ジャクリーヌ・デュ=プレのチマロがうまく鳴ってくれるとは思っていない、
そういうところが私にはある。

そうであれば、うまく鳴るようにしろ、といわれそうだが、
ジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーは、そんなふうには鳴らしたくないだけである。

昨晩の野上さんの選曲だった。
MQA-CDをリッピングしての再生だった。
D/Aコンバーターはメリディアンの218である。
前回からさらにちょっと手を加えている218である。

うまく鳴りそうになければ聴かないという選択肢もあった。
けれど、うまく鳴ってくれそうな予感はあったし、そのとおりだった。

二楽章で終えずに、三楽章も聴いて、四楽章、最後まで聴いた。
その3)で、中野英男氏の「音楽・オーディオ・人びと」から引用した。
《デュ・プレのチェロの音が荒寥たる乾き切った音だった》とあった。

昨晩の音は、そんな音とはまるで違っていた。
だからこそ最後まで聴いた。

Date: 12月 4th, 2019
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(情報量・その7)

情報量ということでいえば、
オーディオの世界だけでなく、社会全体で増えていっていることだけは確かである。

電車に乗れば、周りの人のほとんど、といっていいほどに多くの人が、
スマートフォンで何かしら見ている。

ドアの上部には液晶画面がついていて、なんからの映像が常に流れている。
目的地につけば、自動改札機にも広告が貼られていることが増えている。

いろんなところにいろんな情報が氾濫している。
情報の波(渦)に、大都市になればなるほど晒されている、といっていい。

それからテレビにしても、従来の走査線とは比較にならないほど増しているということは、
それだけ情報量が増えているということである。

新聞の写真にしても、昔はモノクロの粗いものでしかなかったのが、
カラーになり粗さも減っている。

こんなふうにいろんなところで情報量は確実に増していっている。
オーディオの世界では、ハイレゾリューションの登場がまさにそうである。

その一方で、カセットテープのブームもある。
カセットテープの音を聴くと、ほっとする、という記事も複数みかけている。

この、ほっとするは、もしかすると情報量が適度に少ないからなのではないのか。
情報量の多さに、知らず知らずのうちに疲弊しているのかもしれない。

そこに昔馴染んでいたころの適度な情報量で、
音楽を聴けるのがカセットテープという捉え方もできる。

Date: 12月 3rd, 2019
Cate: モノ, 世代

モノと「モノ」(世代の違い・その3)

18のときに、SMEの3012-R Specialを買った。
何度も書いているようにステレオサウンド 58号での瀬川先生の文章を読んでから、
このトーンアームが、私が望む音を出すためには絶対に必要なモノという思い込みがあった。
しかも当時の広告には、限定とあった。

どうにかして手に入れなければならない。
当時の価格は、88,000円だった。

それでも18の私には高価だった。
16の時に、サンスイのAU-D907 Limitedを買っている。
約二倍ほどの価格だったが、修学旅行に行かずに積立金と、
新聞配達で貯めたお金をあわせて、一括払いで買った。

でもSMEの時には、そういう手はなかった。
分割払いで買うしかない。
初めての分割払いである。
頭金は五千円くらいしか払えなかった。

それでもなんとか買うしかない、と意気込みだけはあった。
東京で、はじめてのオーディオ店で、見つけた。
これを買うしかない、これを逃したら……、
とにかく店員に声をかける。

もうこれだけでどきどきしながらの行動だった。
確か12回払いで買った。

秋葉原から、当時住んでいた三鷹まで電車で持って帰る。
袋に入っているから、周りの人には何を持っているのかはわからないが、
それでも、「今日からSMEオーナーだ」と誇らしい気持になっていた。

そういう買い方から、東京でのオーディオが始まった。
当時は、こういう買い方しかできなかった。
いまはどうだろうか。

Date: 12月 3rd, 2019
Cate: モノ, 世代

モノと「モノ」(世代の違い・その2)

さらにいえば、買うことも体験である。
近所コンビニエンスストアやスーパーでの買物ではなく、
分不相応と周りからいわれるモノを買うのは、一つの体験である。

高額品ではなく、きちんとした高級品、一級品のモノを買うのであれば、
高級店、一流店と評判の店で買う──、
これは体験と感じない人はいない、と思うのだが。

高額なモノだけを扱っているだけの店、
一流店とはいえない店で買うのも体験といえばそうなるのだが、
ここでの「体験」とは違ってくる。

オーディオも、東京ではトロフィーオーディオ屋としかいえない店もある。
そういう店かきちんとした店なのか、それを見極めることも含めて体験である。

1995年にロードバイク(自転車)を買う時が、私にとってはそうだった。
初めてのロードバイクである。
いい店で買いたいから、東京の自転車店だけでなく、神奈川、埼玉の店もいくつも行った。
そうやって店を決めた。

これでよかった、といまでも思っている。

きちんとした店で買うことによって、そこでの人との出会いがきちんとあるからだ。

Date: 12月 3rd, 2019
Cate: audio wednesday

第107回audio wednesdayのお知らせ(DJ:Mike Nogami)

明日(4日)のaudio wednesdayは、急遽予定変更して、
写真家の野上眞宏(マイク野上)さんにDJをやっていただくことになりました。

昨晩、野上さんたちと会っていて「DJ、やりたいな」という話になり、
こういうことは早めにやったほうがいいと思い、明日やることになりました。

野上さんのDJで進行しますが、あいまあいまに主値になったCDもかけていきます。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 12月 2nd, 2019
Cate: モノ, 世代

モノと「モノ」(世代の違い・その1)

数日前、ハタチぐらいの若者数人による座談会が、
インターネットの記事になっていた。

テーマは「若者のお金の使い方」についてだった。

ほぼ全員、いわゆるモノを買うのには、あまり興味がない、
モノより体験にお金を使う、とあった。

体験とは、スポーツ観戦だったり、音楽のライヴも含まれるし、
映画館に行くのも、テーマパークに行くのもそうであろう。

この若者たちに、司会者は訊ねなかったのか、と思うことがある。
クルマは確かにモノである。
高価なモノである。

けれどクルマは買ってオシマイ、というモノではない。
クルマを運転するという体験ができる、
運転して、どこかに行ける、ということも体験である。

オーディオもそうだ。
この座談会に登場したハタチぐらいの人たちにとっては、
われわれが購入するようなオーディオ機器は、高価過ぎるということになろう。

しかも高価過ぎるモノでしかないのだろう。
われわれはオーディオ機器というモノを買っているが、
けれどオーディオで音楽を聴く、ということは体験である。

音楽ライヴでは、一度きりの体験である。
オーディオでの音楽は、くり返し体験できるからこその発見がある。

クルマやオーディオは高価だけど、たとえばTシャツでもいい。
Tシャツのいちばんいいのが、どれだけするのかしらないが、
数千円出せば、いいTシャツが買えるはずだ。

ユニクロのTシャツも悪くはないが、
たとえば五千円ほどするTシャツを着れば、
その着心地の良さは驚くのではないのか。

これも体験である。
良質のモノは、すべて体験へとつながっていく。

Date: 12月 1st, 2019
Cate: audio wednesday

第107回audio wednesdayのお知らせ(バーンスタインによる「第九」)

今年最後のaudio wednesdayは、4日。

使用機材は前回とほぼ同じ。
メリディアンの218は、喫茶茶会記の218ではなく、
11月のaudio wednesdayで鳴らした218を使う。

前回と違うのは、218用の電源コードを新たにもっていくこと。
喫茶茶会記のスペースは、電源コンセントが少ない。

なので、アンプは音を出す部屋にあるコンセントからとっているが、
CDプレーヤーは、奥の部屋のコンセントからとっている。

なので、ここも自作の延長コードを使っている。
CDプレーヤーのMCD350用には、今年7mほどの長いコードを作り、
延長コードを介さずに、奥の部屋のコンセントから直接とるようにした。

218だけが延長コードを介していた。
今回は218用に長いコードを用意して、MCD350と同じで奥の部屋のコンセントから直接とるようにする。

MCD350のときも、このことによる音の変化は大きかった。
218でも同じ傾向の音の変化になるであろう。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 12月 1st, 2019
Cate: アナログディスク再生

アナログディスクの自作(補足)

facebookでコメントがあり、
カッティングマシンを中心としたブログのURLがあった。

YAMADAN DISK RECORDINGS BLOGで、
2016年の「レコードカッティングマシンのこと(国産)」へのリンクであった。

このブログに掲載されている機種のなかで、ディスクルが、
私の記憶の中にあるモノとよく似ている。
たぶん、これであろう。

ソノシート用ではなかったが、モノーラル専用である。
価格もわかった。

そうなのだ、当時としてはかなり高額だった。
高校生には、ちょっと無理な価格だった。

上記ブログは、ディスクル以外のモデルも紹介されている。