Date: 1月 26th, 2020
Cate: Digital Integration

D/Dコンバーターという存在(その4)

私の場合、USBをSPDIFに変換するD/Dコンバーターが、
メリディアンの218を使っていく上で必要不可欠だった。

選択肢はいくつかあった。
条件としてiPhoneで使えることを加えると、FX-D03J+が第一候補となる。

FX-D03J+はD/Dコンバーターとして、単機能といっていい。
スイッチは何ひとつない。
入力はUSBだけ、出力は同軸と光の二系統。

D/Dコンバーターに求める条件は、人によって変ってくる。
私の場合でも、いまのところUSBをSPDIFに変換するだけでことたりているが、
これからは先は試してみたいことがいくつかあって、そうなるとFX-D03J+では対応できなくなる。

FX-D03J+が数万円もする製品ならば、ここでこれほどとりあげることはしない。
輸入盤のCD、ほぼ二枚分くらいで購入できるから、おもしろいと感じる。

本格的な製品ではないが、かわりにこれ以上部品を省略することができないほど部品点数は少ない。
それゆえの良さもある、と手を加えたFX-D03J+から感じられる。

218にUSB入力がついていれば、D/Dコンバーターは必要としない。
それにiPhoneはApple独自のLightning規格なので、
Lightning-USBカメラアダプタも必要となってくる。

さらにLightning-USBカメラアダプタとFX-D03J+を結ぶUSBケーブルも要る。
iPad ProはLightningではなくUSB-Cを採用しているため、
Lightning-USBカメラアダプタは不要になる。

iPhoneからストレートに218に接続できるようになれば……、
音を聴いていると、そんなことも思わないわけではないが、
それでもiPhoneと218のあいだに介在するこれらのモノをいじっていくと、
そこで気づくことがあるのも、また事実であり、
面倒だと思う気持よりも楽しいと感じる気持が強くなることもある。

Date: 1月 26th, 2020
Cate: ディスク/ブック

HIGHLIGHTS FROM BERLINER PHILHARMONIKER RECORDINGS

ステレオサウンド 213号の附録である「HIGHLIGHTS FROM BERLINER PHILHARMONIKER RECORDINGS」。
このSACDの収録曲は、
 ドヴォルザーク:スラブ舞曲 第八番 作品46/サー・サイモン・ラトル
 シューベルト:交響曲 第七番《未完成》 第一楽章/ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
 メンデルスゾーン:劇音楽『夏の夜の夢』 序曲/クラウディオ・アバド
 ブルックナー:交響曲 第七番 第四楽章/クリスティアン・ティーレマン
 プッチーニ:歌劇《マノン・レスコー》第三幕・間奏曲/サー・サイモン・ラトル
 チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》 第三楽章/キリル・ペトレンコ

二曲目のフルトヴェングラーのシューベルトだけが、モノーラルである。
けれど、収録曲で別格なのが、このフルトヴェングラーのシューベルトである。

オーケストラはすべてベルリンフィルハーモニーなのはいうまでもない。
聴けば、ほんとうにすべてベルリンフィルハーモニーなのか、と思うほど。

フルトヴェングラーのすごさは、いうまでもない。
音が、ほかの指揮者とはまるで違う。

モノーラルで、真空管の録音器材でアナログ録音なのだから、
そうとうに違って当然──、
そういう次元の違いではない。

もう別格としかいいようがない。
けっして優秀録音ではない。
ほかの五曲は優秀録音といっていい。

優秀録音だから、必ずしも名録音ではない。
フルトヴェングラーのシューベルトを聴いていると、そんなことをおもってしまう。

Date: 1月 26th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(おまけ)

メリディアンの218は電源コードは着脱式であるが、
一般的なIECコネクターではなく、ミッキータイプといわれるコネクターを採用している。

218はコンパクトに仕上げられているため、
リアパネルにはIECコネクターを取り付ける余裕がないから、と思われる。

なので電源コードを、あれこれ交換したい人は、ここのところがひっかかるようだ。
私は、218をaudio wednesdayで最初に聴いた時から、
ミッキータイプをメガネタイプに変換プラグを利用して、
電源コードを交換しての試聴をおこなったことは、すでに書いているとおりだ。

amazonから、この変換プラグを何度か購入しているので、
「お客様におすすめの新商品のお知らせ」というメールが届く。

今日届いたメールには、この変換プラグがいくつか載っていた。
その一つに、
CERRXIANストレートIEC 60320 C14 3ピンメスC5 3ピンメスAC電源アダプタレセプタクルがあった。

リンク先の写真をみれば、どういう変換プラグなのか、すぐにわかる。
これがあれば、市販されている電源コードが使える。

218の電源コードを交換してみたいけれど……、
自作するのは……、という方にはぴったりだろう。

私として変換プラグよりもミッキータイプのコネクターそのものを、販売してほしい。
変換プラグだと、どうしても接点が一箇所増えるからだ。

Date: 1月 25th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その9)

その2)で、audio wednesdayの常連のHさんの218を預ったことを書いている。
預った218は、version 7と同じ内容の手の加え方をして送り返した。

いい音で鳴っているはず、と確信していても、
実際のところは本人(Hさん)がどう感じるか、である。

非常に良い音で鳴っている、との連絡があった。
こう書いてあった。

《与えた変化に対してより素直な反応をみせることに驚きを感じており、様々な機能と相まって、操作して楽しいDACだと再認識中です》

使いこなしとは、ある意味、オーディオ機器に対して変化を与えることでもある。
その変化に対して、どういう反応を示すのか、は、
オーディオ機器の実力をはかるうえでも重要なことである。

音が猫の目のように変化するオーディオ機器がないわけではない。
そういうオーディオ機器を、鋭敏だから、と思い込む人もいるようだが、
何も変えてないのに、音がそんなふうにころころ変ってしまうのは、
動作が不安定なことの場合が多い。

動作が不安定だから、何もしなくとも音が変化する。
こういうオーディオ機器は鋭敏な反応をする、とはいわない。

鋭敏な反応をするオーディオ機器は、安定した動作のモノでなければならない。
不安定な動作に愛着を抱く人がいてもいいが、
私は不安定なオーディオ機器はよほどのことがなければ使いたくない。

調整が面倒でも、一度きちんと行えば安定して動作するモノが、いい。
そうであるからこそ、操作して楽しい、といえるようになる。

Date: 1月 24th, 2020
Cate: 井上卓也

marantz Model 7K, Model 9K(その2)

吉祥寺のハードオフマランツにある未開封のマランツのキット、
Model 7K、Model 8BK、Model 9Kは、私のなかでは井上先生のモノと確信している。

とはいってもなんら確証はない。
それでも吉祥寺のハードオフには、これも井上先生が使われていたモノのはず、
そう思えるモノが複数ある。

単なる偶然の可能性もあるのはわかっていても、
これとあれ、それにあれもある。他にもある。

そのうちの一つは、めったに中古が出てこない機種である。
それがある。

私がそう思い込もうとして、ハードオフの店内を見てこじつけているだけかもしれない。
傍からみれば、きっとそうであろう。

それでも私には、これは絶対井上先生のモノ!、
そう確信できるモノが並んでいる。

店員に訊いたところで教えてくれるわけではない。
訊くつもりも毛頭ない。

ここを読まれている方のなかで、井上先生のモノという確証があれば買う、という人がいるかもしれない。
でも確証なんて、何もない。
確信があるだけだ。

それも私だけの確信があるだけだ。

Date: 1月 24th, 2020
Cate: High Resolution

MQAで聴きたい“Charlin Disques”

2010年だったか、シャルラン レコードのCDがまとめて復刻された。
といってもマスターテープは破棄されているので、
サブマスターからの復刻であった。

この時は輸入盤であったが、2016年にエリック・ハイドシェックのCDが新たに発売になった。
この時は国内盤のみで、輸入盤の発売はない、とのことだった。

ハイドシェックのベートーヴェン(二枚)とブラームスは、
いまでも入手できる。

2010年に発売になったCDは、廃盤ではないようだが、いまのところ入手は難しいようだ。
2010年復刻のCDは、五枚ほど買った。

正直、幻の録音には感じなかった。
2010年の復刻は、シャルランの遺族によるレーベルからだった。
はっきりと確認したわけではないが、どうもLPからの復刻だったようだ。

マスターテープがこの世に存在していないのだから、
本来の音を聴くのは、難しいことなのだろう。

オリジナルのLPを探して出して聴くしかないのだろう。

遺族によるレーベルは、いまもある。
ウェブサイトもあり、CDだけでなくLPでも復刻されている。
さらにFLACの配信も始めている。

もっと丁寧な復刻であれば、LPからの復刻でもいい。
ハイドシェックのCD復刻のように、
良質のサブマスターを探し出しての復刻でもいい。

シャルランの録音を、MQAで聴きたい、と思う。

Date: 1月 23rd, 2020
Cate: audio wednesday

第109回audio wednesdayのお知らせ(iPhone+218)

昨晩の“Biko[Live At Blossom Music Centre, Cleveland]”は、
メリディアンの218(version 8)で聴いていた。

別項「Biko[Live At Blossom Music Centre, Cleveland]」で書いているように、
12インチ・シングルを思わせるような音で聴きたい──、
だからこそ218に何度も手を加えている。

昨晩は、やっぱり、こういう音が出せるんだ、という確信を得た。

2月5日のaudio wednesdayの最後に鳴らすのは、
だからBiko[Live At Blossom Music Centre, Cleveland]に決めた。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 1月 23rd, 2020
Cate: ディスク/ブック

Biko [Live At Blossom Music Centre, Cleveland](その1)

2019年11月に、
ピーター・ガブリエルの全アルバムがMQAでの配信が始まったことは、すでに書いている。

そのなかに「Flotsam And Jetsam」がある。
LPもCDも発売されていないアルバムだ。

CDシングル、サウンドトラックに収録されていた曲を集めている。
「Biko」が二曲おさめられている。
Remix版とLive At Blossom Music Centre, Cleveland版である。

「Biko」はピーター・ガブリエルの三枚目のアルバムの最後の曲である。
そこでの「Biko」は静かに歌われていた。
だからこそ聴き手の胸に響く、ともいえる。

ライヴでの「Biko」は、違う。
ライヴでの「Biko」は、CDシングルで、ずいぶん前に聴いている。

私は基本的にはライヴ録音よりもスタジオ録音、という男だ。
それでも「Biko」は、圧倒的にライヴだ。

武道館での「Biko」は、その場で聴いている。
Live At Blossom Music Centre, Cleveland版は、もっと熱い。そして重い。
もっと顕になっているものが、ここにははっきりとある。

Bikoとは、スティーヴン・ビコだ。
映画「遠い夜明け」では、デンゼル・ワシントンがビコを演じている。

ライヴでの「Biko」を聴いたとき、12インチ・シングルで聴きたい、とも思った。
1980年代、12インチ・シングルの音に夢中になっていた。
ケイト・ブッシュの12インチ・シングルの大半は買って聴いた。

ケイト・ブッシュほどではないが、ピーター・ガブリエルの12インチ・シングルも集めていた。
でも「Biko」は持っていなかった。

CDシングルで聴いたとき、すでにアナログプレーヤーを手離していた。
その日から三十年以上。

昨晩、“Biko[Live At Blossom Music Centre, Cleveland]”を聴いた。
e-onkyoからダウンロードしたMQAで、聴いた。

ハイレゾといっても、サンプリング周波数は48kHzである。

「Flotsam And Jetsam」というアルバムの性格上、
こういうサンプリング周波数に統一されたのだろう。

でも、48kHzというサンプリング周波数は、もうどうでもいい。
12インチ・シングルでは、きっとこんなふうに鳴ったんだろうな、と思える音がしたからだ。

Date: 1月 22nd, 2020
Cate: 欲する

何を欲しているのか(サンダーバード秘密基地・その1)

デアゴスティーニから、週刊サンダーバード秘密基地が発売になった。

おーっ、と声をあげそうになった。
小学校にあがるかあがらないころだったはずだ、
サンダーバード秘密基地のプラモデルが出ていた。

五十年ほど前のことだ。
値段は記憶していなかったが、Googleで検索してみると、二千円だった、そうだ。
そのころの二千円は、小学生になるかならないかぐらいの子供には大金だった。

欲しくてたまらなかったけど、まったく手が届かない、と最初から諦めていた。
親に欲しい、とねだったこともなかった。

小学生になったころ、同級生に一人、持っている子がいた。
そこで初めて完成したサンダーバード秘密基地を見た。
それまではプラモデルの外箱を眺めての、完成した状態を想像していただけだった。

欲しい、と思っていたからこそなのか、
もっと精密なプラモデルだ、と期待は膨らみすぎていたようだった。
だから、実物を見てがっかりしたことを憶えている。

もっともっと精密なサンダーバード秘密基地のモデルが出たらいいのに──、
そんなことも思っていた。

デアゴスティーニのサンダーバード秘密基地は、
五十年前のプラモデルとは、そうとうに違う。
これが、当時発売になっていたら、なんとかして手に入れたい、と思っただろう。

でも、その分、そうとうに価格は高くなっている。
いつものデアゴスティーニのやり方で、創刊号は安い。
499円(税込み)だ。二号は1,099円(税込み)。
三号以降は1,890円(税抜き)で、予定では110号まで、である。

トータルで220,000円ほどになる。
ほぼ二年かかるわけだから、それほどの出費とは感じないだろうが、
計算すると、やっぱり高いな、と感じてしまう。

欲しいか、と問われれば、欲しい、と答える。
110号までの二年間は楽しいだろう。

完成して、すべてのギミックを試してみるまでは、ほんとうに楽しめるだろう。
でも、その後は……、とつい考えてしまう。

Date: 1月 21st, 2020
Cate: 「本」

Net Audioの休刊

音元出版のNet Audioが、いま書店に並んでいるvol.37で休刊になる。
表紙に、感謝! 定期刊最終号とあるし、
音元出版のウェブサイトにも「定期刊終了のご挨拶ならびに今後の展開についてのご案内」がある。

季刊誌で37号で休刊、十年足らずということになる。
少し意外な感じもしたし、むべなるかな、というおもいと半々でもあった。

Net Audioは、昨年ぐらいから書店で手にとるようになった。
昨年は一冊だけは買った。

今年も特集次第、内容次第では買うこともあるだろうな、と、
期待していたところもある。

とはいえ、あいかわらず音元出版的記事ばかりだな、とも感じていた。
音元出版の編集(営業)方針について書く気はない。

かなり否定的なことを書くことになりそうだから、ということもあるが、
一方で、そういう編集(営業)方針ゆえに、フットワークの軽さのようなものがあるとも感じていた。

それにNet Audioが取り組んでいることに関して、
ステレオサウンドはいまのところ、さほど積極的ではない。
やりようによって……、そんなことも思っていたけれど、突然の休刊の発表だった。

休刊の理由はいくつかあるのだろう。
勝手な想像でしかないが、Net Audioがやろうとしていたことは、
これからのびていくことが期待されている(はずだ)。

なのに休刊。
それは、日本ゆえ……、なのか。

Date: 1月 21st, 2020
Cate: High Resolution

MQAのこと、オーディオのこと(その2)

「比較ではなく没頭を」──フルトヴェングラーの言葉である。

同じ書き出しで、しかも「比較ではなく没頭を」をタイトルにしたものを、
2008年9月に書いている。

オーディオには比較する楽しみが、はっきりとある。
いろんなモノを比較する。

スピーカーの比較もあれば、ほんのわずかな長さのケーブルの比較もある。
それからセッティングの違いの比較もある。

何かをかえれば音はかわるのだから、そこでどうしても比較という行為がいやおうなしにはいってくる。
それを面倒だ、と思うのか、楽しめるのかが、オーディオマニアかどうかなのかもしれない。

それでも「比較ではなく没頭を」を忘れてはならない。
比較することに没頭するのではなく、
没頭できるようになるための比較である。

MQAを、あいかわらず否定する人がいる。
MQAで音楽を聴いていて感じていることが、「比較ではなく没頭を」である。

いまでは、あるアルバムを複数のフォーマットで聴ける。
以前もそうだったけれど、いまの方が数は多くなってきている。

こっちがいい、あっちがいい。
そんなことが、いろんなところで書かれたり、いわれたりしている。

世評が高いのがどれでもいいじゃないか、となれないのだろうか。
自分で聴ける範囲で、もっとも没頭できるのを見つければいいだけである。

Date: 1月 20th, 2020
Cate: 井上卓也

marantz Model 7K, Model 9K(その1)

ステレオサウンド 49号の巻末に近いページに、
「マランツ♯7K/9Kキットの意味あいをこう考える」という記事が載っていた。

マランツから、Model 7とModel 9のキットが発売になった。
1978年のことだ。
好評だったようで、しばらくしてからModel 8Kも発売になった。

キットといっても、ダイナコやラックスキットとは難易度が違う。
ラックスキットも真空管アンプは初心者にはちょっと無理なモノもあったが、
マランツのこれらのキットはさらに難しい、
おそらくこれまで発売されたオーディオのキットのなかで、最も大変なキットといえる。

高校生だったけれど、欲しい、と思った。
とはいえ手が出ない価格だった。
仮に買えたとしても、きちんと完成させられるかといえば、まず無理だった。

それでも欲しい、と思ったのは、
いいかげんなメインテナンスがなされた中古のマランツを買うよりも、
じっくりと時間をかけて組み立て技術を磨いていけば、
いいコンディションのマランツのModel 7を自分のモノとすることができる──、
そう思ったからだ。

今日、吉祥寺のハードオフをのぞいてみたら、
なんとマランツのこれらのキット、それも未開封のモノがあった。

Model 7K、Model 8BK、Model 9K、
すべて揃っていた。
未開封なので、箱のままの展示である。

四十年ほど保管されていたモノだ。
中がどんな状態なのかは、買った人でなければ確かめられない。
ついていた価格は、ほぼ発売時の価格と同じだった。
お買い得ともいえるし、そうでない可能性もないわけではない。

こんなことをなぜ書いているか、というと、
このマランツのキットは、もしかすると井上先生が所有されていたモノかもしれない──、
そう思えたからだ。

ステレオサウンドにいたころ、何度かマランツの話を井上先生からきいている。
キットのこともきいている。

すべて持っている、と話されていた。
でも買ったままだ、ともきいている。

いつか暇になったら作ろう、と思っている──、
そんなこともきいている。

結局作られなかったのだろう。
そういえば昨年、井上先生所有のオーディオ機器が売りに出された、というウワサを耳にした。
ほんとうかどうかはわからない。

そんなことがあったから、ハードオフにあったマランツのキットを見て、
私がまず思ったのは、そういうことだった。

Date: 1月 20th, 2020
Cate: アクセサリー

仮想アース(こういう方法も……・その5)

オーディオ機器のアース電位を測っていると、いろいろ気づくことがある。
手持ちのオーディオ機器だけでなく、
ステレオサウンドの試聴室で数多くのオーディオ機器のアース電位を測っていた。

それから、いまでは同じ機器のアース電位を、場所をかえて測ったこともある。

ACの極性をかえると、アース電位が大きく変るオーディオ機器がある。
ほとんど変らないオーディオ機器もある。

それからアース電位がなかなか安定しないオーディオ機器もあった。
ほとんど変動しないオーディオ機器もある。

それから同じオーディオ機器であっても、
場所が大きくかわると、アース電位も変ってくる。

ここ数ヵ月、メリディアンの218をもってaudio wednesdayの音出しを行っている。
喫茶茶会記にも218は導入されているけれど、
ほぼ毎月218に手を加えているから、結局、218を持ち運ぶことになる。

喫茶茶会記で218のアース電位は、これまで三回測っている。
多少の誤差はあるものの、毎回ほぼ同じ値を示す。

同じ個体の218を持ち帰って測ってみると、1Vほど低い値であり、
しかも喫茶茶会記では、ややアース電位がふらつきがちなのだが、
私のところではほぼ安定している。

もちろん同じテスターで測っているし、同じ端子での測定である。
条件は常に揃えていて、こういう違いが生じている。

喫茶茶会記は四谷三丁目、山手線の内側にある。
私のところはそこから西に20数km離れている。

電波環境やノイズ環境は、喫茶茶会記よりもいいといえるだろう。
そのことが影響してのアース電位の違いのように思われる。

喫茶茶会記では218だけでなく、マッキントッシュの製品もアース電位はふらつきがちになる。

Date: 1月 19th, 2020
Cate: 録音

80年の隔たり(その8)

その1)は、2008年9月に書いている。
10年以上前に書いているわけで、
1929年録音のティボーとコルトーによるフランクのヴァイオリン・ソナタは、
あと9年も経てば、録音から100年を迎えることになる。

あと9年くらいは、私もまだ生きているだろうから、
100年前の録音(演奏)を、その時、聴くことになる──、
そのことに数日前に気づいた。

私がオーディオに興味をもったころ、
100年前の録音といえば、エジソンが「メリーさんの羊」を録音・再生したものぐらいだった。

ティボーとコルトーのフランクよりも古い録音はあるが、
くり返し聴く録音として、私にとって最も古いのはティボーとコルトーの演奏である。

2029年までに、
どれだけのフランクのヴァイオリン・ソナタの録音がなされていくのかは予想がつかない。

これから先、2029年までに録音されるフランクのヴァイオリン・ソナタは、
ティボーとコルトーの演奏から90年から100年の隔たりをあることになる。

100年の隔たりを、その時、どう感じるのであろうか。

Date: 1月 19th, 2020
Cate: High Resolution

MQAのこと、MQA-CDのこと(その7)

ユニバーサルミュージックのMQA-CDのサンプリング周波数が、
帯に記載してある176.4kHzではなく、出荷されたMQA-CDは352.8kHzだったこと、
変更理由は、音質的優位が認められたから、らしい、と(その6)に書いた。

192kHzと352.8kHzとでは、後者のほうが音がよくて当然と受け止められがちだ。
私もそう思う。

けれど、このユニバーサルミュージックのMQA-CDで考えたいことは、
マスターには2.8MHzのDSDが使われている、ということだ。

2.8MHzと表記されることが一般的だが、
正確には2.8224MHzである。
CDのサンプリング周波数の44.1kHzの64倍である。

196kHzは48kHzの4倍であって、44.1kHzの4.444…倍である。
48kHzの整数倍であっても、44.1kHzの整数倍ではない。

352.8kHzは、44.1kHzの8倍(整数倍)である。
2.8224MHzは352.8kHzの8倍だから整数倍の関係でもある。

なので私が聴いてみたいのは、
DSDマスターからつくられた176.4kHzのMQA-CDと192kHzのMQA-CDの比較試聴である。

数値的には後者のほうが上だが、音は前者のほうが上かもしれない。
ここにも、別項「Hi-Resについて(その14)」で引用したジョン・デイヴィスの、
《時々オーディエンスは数字が大きいほど良い音だと誤解している》があらわれている、
といえそうだ。