Biko [Live At Blossom Music Centre, Cleveland](その1)
2019年11月に、
ピーター・ガブリエルの全アルバムがMQAでの配信が始まったことは、すでに書いている。
そのなかに「Flotsam And Jetsam」がある。
LPもCDも発売されていないアルバムだ。
CDシングル、サウンドトラックに収録されていた曲を集めている。
「Biko」が二曲おさめられている。
Remix版とLive At Blossom Music Centre, Cleveland版である。
「Biko」はピーター・ガブリエルの三枚目のアルバムの最後の曲である。
そこでの「Biko」は静かに歌われていた。
だからこそ聴き手の胸に響く、ともいえる。
ライヴでの「Biko」は、違う。
ライヴでの「Biko」は、CDシングルで、ずいぶん前に聴いている。
私は基本的にはライヴ録音よりもスタジオ録音、という男だ。
それでも「Biko」は、圧倒的にライヴだ。
武道館での「Biko」は、その場で聴いている。
Live At Blossom Music Centre, Cleveland版は、もっと熱い。そして重い。
もっと顕になっているものが、ここにははっきりとある。
Bikoとは、スティーヴン・ビコだ。
映画「遠い夜明け」では、デンゼル・ワシントンがビコを演じている。
ライヴでの「Biko」を聴いたとき、12インチ・シングルで聴きたい、とも思った。
1980年代、12インチ・シングルの音に夢中になっていた。
ケイト・ブッシュの12インチ・シングルの大半は買って聴いた。
ケイト・ブッシュほどではないが、ピーター・ガブリエルの12インチ・シングルも集めていた。
でも「Biko」は持っていなかった。
CDシングルで聴いたとき、すでにアナログプレーヤーを手離していた。
その日から三十年以上。
昨晩、“Biko[Live At Blossom Music Centre, Cleveland]”を聴いた。
e-onkyoからダウンロードしたMQAで、聴いた。
ハイレゾといっても、サンプリング周波数は48kHzである。
「Flotsam And Jetsam」というアルバムの性格上、
こういうサンプリング周波数に統一されたのだろう。
でも、48kHzというサンプリング周波数は、もうどうでもいい。
12インチ・シングルでは、きっとこんなふうに鳴ったんだろうな、と思える音がしたからだ。