80年の隔たり(その1)
フランクのヴァイオリン・ソナタの、有名なのは、ティボー/コルトーの演奏だろう。1929年の録音だ。
アルゲリッチの、アヴァンティ・クラシックへのフランクの録音は、2005年、
ティボー/コルトーの演奏から約80年の隔たりがある。
1925年にウェスタンが電気によるディスク録音を開発したばかり、
それ以前は、アコースティックによるディスク録音、
ティボー/コルトーの録音はそういう時代に行なわれている。
2005年のアルゲリッチになると、デジタル録音、それもDSD方式で、5.1チャンネルでの収録。
言葉で書く以上に、その差は大きい。
ティボー/コルトー盤は、いまでもよく聴く。
フランクのヴァイオリン・ソナタが聴きたいときはもちろん、
音が良くなったときにも必ずかける。
古い古い録音だが、音が良くなると、コルトーのピアノの音に驚く。
素晴らしいピアニストだと思っていたが、こんなに素敵なピアニストだったのか、と、
その音の美しさに聴き惚れる。