MQAのこと、オーディオのこと(その2)
「比較ではなく没頭を」──フルトヴェングラーの言葉である。
同じ書き出しで、しかも「比較ではなく没頭を」をタイトルにしたものを、
2008年9月に書いている。
オーディオには比較する楽しみが、はっきりとある。
いろんなモノを比較する。
スピーカーの比較もあれば、ほんのわずかな長さのケーブルの比較もある。
それからセッティングの違いの比較もある。
何かをかえれば音はかわるのだから、そこでどうしても比較という行為がいやおうなしにはいってくる。
それを面倒だ、と思うのか、楽しめるのかが、オーディオマニアかどうかなのかもしれない。
それでも「比較ではなく没頭を」を忘れてはならない。
比較することに没頭するのではなく、
没頭できるようになるための比較である。
MQAを、あいかわらず否定する人がいる。
MQAで音楽を聴いていて感じていることが、「比較ではなく没頭を」である。
いまでは、あるアルバムを複数のフォーマットで聴ける。
以前もそうだったけれど、いまの方が数は多くなってきている。
こっちがいい、あっちがいい。
そんなことが、いろんなところで書かれたり、いわれたりしている。
世評が高いのがどれでもいいじゃないか、となれないのだろうか。
自分で聴ける範囲で、もっとも没頭できるのを見つければいいだけである。