80年の隔たり(その8)
(その1)は、2008年9月に書いている。
10年以上前に書いているわけで、
1929年録音のティボーとコルトーによるフランクのヴァイオリン・ソナタは、
あと9年も経てば、録音から100年を迎えることになる。
あと9年くらいは、私もまだ生きているだろうから、
100年前の録音(演奏)を、その時、聴くことになる──、
そのことに数日前に気づいた。
私がオーディオに興味をもったころ、
100年前の録音といえば、エジソンが「メリーさんの羊」を録音・再生したものぐらいだった。
ティボーとコルトーのフランクよりも古い録音はあるが、
くり返し聴く録音として、私にとって最も古いのはティボーとコルトーの演奏である。
2029年までに、
どれだけのフランクのヴァイオリン・ソナタの録音がなされていくのかは予想がつかない。
これから先、2029年までに録音されるフランクのヴァイオリン・ソナタは、
ティボーとコルトーの演奏から90年から100年の隔たりをあることになる。
100年の隔たりを、その時、どう感じるのであろうか。