オーディオの楽しみ方(つくる・その32)
ではアルテックの811B、511Bはバッフルに取り付ければ、
それで十分なのか、と問われれば、検討しなければならないことはまだまだある。
バッフルの材質、サイズ、厚みも関係してくるけれど、
そのバッフルを、どう置くかも非常に重要なポイントである。
以前に書いていることだが、エンクロージュアの天板の上に、
アナログディスク再生に使うスタビライザーを乗せてみる。
できれば同じスタビライザーを、左右のスピーカーの天板の上に一つずつ、同じ位置に乗せる。
スタビライザーの重量はいろいろあるが、500g程度のモノでも、ずいぶんと音は変化する。
スタビライザーを乗せることによって、天板の振動モードが変化するためである。
同じスタビライザーでも置く位置を変えたり、
同じ位置でももっと重いモノ、軽いモノにすれば、またはまた変化する。
もちろんスタビライザーの材質による変化もある。
スタビライザーの大きさ、重量程度でも、音の変化は大きい。
ホーン型スピーカーをともなると、ホーンとドライバーの重さだけでもスタビライザーよりもずっと重い。
アルテックの811Bはカタログには4.1kg、806-8Aは2.6kgとある。
トータルで6.7kg。
これだけでもスタビライザーよりもずっと重いし、
エンクロージュア天板との接触する面の形状、面積も違う。
それにスタビライザーはほぼ均一に重量がかかるのに対し、
ホーンとドライバーの組合せでは、そういうわけにはいかない。
つまりホーン型スピーカーを鳴らさない状態、
つまり天板に、スピーカーケーブルを接続せずに乗せただけの状態での音を、
まず聴いてみると、よくわかる。
そのうえで、ホーンとドライバーの位置を前後、そして左右に動かしてみる。
これだけでも音は変化していく。
ホーン型の場合、ウーファーとホーン(ドライバー)との音源の位置あわせということがいわれる。
この場合、音源の位置の相互関係によって音は変化するだけでなく、
天板の振動モードも同時に変化しての音の変化としてあらわれる。
つまり位置を変えるということは、少なくとも二つのパラメーターを変化させていることを、
まず認識しておくべきだ。