電源に関する疑問(その21)
ウェストレックスのパワーアンプ、A10の出力管の+B電圧は270V(電圧増幅段は375V)。
それに対し電源トランスの2次側のタップは525V。整流管は5R4Gで前述しているとおりチョークインプット。
そして出力管用の電源ラインには1kΩの抵抗が直列にはいっている。
出力管(6L6Gもしくは350B)のプレート電流は一本当たり64mA。プッシュプルで128mA。
それにスクリーングリッド用の電流を含めると、1kΩの抵抗が介在することで約140Vの電圧降下が生じている。
ここで生じる発熱も大きい。だから1kΩの抵抗は50Wというかなり大型のものが使われている。
伊藤先生の349Aプッシュプルアンプは、電源トランスのタップは310V。整流管はGZ34。
こちらはコンデンサーインプットでチョークコイルは使っていない。
ここでひとつ訂正しておきたいことがある。
伊藤先生の349Aのアンプにも1kΩの抵抗が使われていると書いた。
たしかに無線と実験に掲載された回路図には、1kΩとある。
1kΩの抵抗にかかる電圧は、コンデンサーインプットだから380V。
349Aのプレート電流とスクリーングリッド用の電流、その2本分は64mA。
すると1kΩの抵抗での電圧降下分は64Vになり、380V−64Vでは、316Vになってしまい275Vよりも41Vも高い。
つまり1kΩではなく、1.6kΩだった可能性が非常に高い。