Date: 9月 10th, 2010
Cate: the Reviewの入力
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the Review (in the past) を入力していて……(その45)

プログラムソースからテープデッキ、アンプはもちろんのこと、
スピーカーに至るまですべてマーク・レヴィンソンの手によるHQDシステムに対する、瀬川先生の試聴記を読むと、
やはりマークレビンソンは、アメリカ東海岸のメーカーだということを感じてしまう。

1970年代の後半、わが国では瀬川先生の文章によって、
JBLの4343(4341)とマークレビンソンのアンプの組合せから得られる音こそ、
最尖端であると受けとめられていたはず。すくなくとも私は、そう受けとっていたし、
いまもあの時代を代表する音だと言い切れる。

JBLはいうまでもなくアメリカ西海岸のメーカー。
対する東海岸には、ボザーク、AR、KLHなどのスピーカーメーカーがあった。

これもよく云われていたことだが、同じアメリカのスピーカーでも、西海岸と東海岸の音は大きく異る。
たしかKLHのスピーカーだったはずだが、レベルコントロールにふたつのポジションがある。
ひとつはFLATで、もうひとつはNORMAL。
FLATポジションは無響室での周波数特性(正しくは振幅特性)が、
ウーファーとトゥイーターがほぼ同じレベルであるのに対して、
NORMALではトゥイーターのレベルを明らかに抑えてある。

つまり、少なくともKLHの技術者たちは、特性上のフラットレスポンスよりも、
聴感上でもトゥイーターのレベルを抑えてあることがすぐにわかるレベルを「ノーマル」と判断した、というよりも、
そう感じているのだろう。

そういう傾向はKLHだけでなく、東海岸の、少なくともこの当時のスピーカーシステムには共通していたこと。
その東海岸にあって、マークレビンソンのLNP2やJC2の、とくにJC2のアナログディスク再生の、
あきらかに高域にウェイトのおかれた、ともいいたくなる性質は、異質だったのではなかろうか。

このことは、マーク・レヴィンソンとジョン・カール、
マーク・レヴィンソンとトム・コランジェロという因子とも深くかかわってくる。

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