Archive for category テーマ

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: 「ルードウィヒ・B」

The Citi exhibition Manga

ヘッドフォン祭で、ある出展社の方から、
5月に大英博物館で赤塚不二夫の展示が開催される、ということを聞いた。

検索してみると、大英博物館で5月23日から8月26日にかけて、
The Citi exhibition Mangaが開催される。

日本のマンガの展覧会であり、赤塚不二夫だけではなく、
約50名のマンガ家、
約70タイトルによる総計約240点の原画および複製原画、
描き下ろし作品などが6つのゾーンに分けて展示される、とのこと。

詳細はコミックナタリーの記事をお読みいただきたい。

知人に、絶対にマンガを読まない男がいる。
音楽は、どんなジャンルでもボクは聴きます、といっている。
クラシックも聴けば、ジャズも聴くし、ロック・ポップスも聴く、というわけだ。
でも知人は演歌もそうだが、絶対に聴かないジャンルの音楽がある。

別にそれはそれでいい。
私だって聴かない音楽、関心のない音楽はけっこうある。

でも、知人は、どんなジャンルでも聴く、と普段から言っている。
そんなこと言わなければいいのに……、と思うけれど、
如何にも彼は「私は理解ある人物です」といいたげである。

そういう男だから、知人はマンガを読まない。
低俗だ、と頭からバカにしているところがある。
いくつかのマンガを薦めた(本を貸した)ことがあるが、手にとろうともしなかった。

その男は権威が好きである。
権威が好きなのは、それはそれでいい。

その男は、今回の大英博物館でのThe Citi exhibition Mangaのニュースを知ったら、
どんな反応をするだろうか。

ころっと手のひらを返して、マンガは素晴らしい、とか言ったりするようになるのか。
私は、ずっと以前、その男のそういう態度を、手のひら音頭ですね、と茶化したことがある。

手のひら音頭男である。
そういうところは、その男の本性のようだから、生涯変らないだろう。
手のひら音頭男とのつきあい、九年前に終った。

手のひら音頭男は、The Citi exhibition Manga開催を知っても、
ふーん、というぐらいの反応しかしないはずだ。

それでいい、とおもうようになった。
The Citi exhibition Mangaによって、手のひら音頭男がマンガに関心をもつようになるほうが、
私には気持悪く感じるからだ。
よしてくれ、といいたくなるに決っている。

大英博物館でThe Citi exhibition Mangaが開催されるからといって、
マンガが権威付けされるとは思っていない。

手のひら音頭男だけでなく、
今回のことでマンガが権威付けされると受けとる人はいるだろう。

オーディオだって、いまだに毎年暮には各オーディオ雑誌の特集は「賞」である。
手のひら音頭男は、私に以前、
オーディオ雑誌を創刊しましょう、といってきた。

手のひら音頭男は、創刊したばかりの号で、賞をやりましょう、と力説した。
創刊したばかりのオーディオ雑誌が賞をやって、どうする?
何の意味がある? と私は反対した。

創刊の話は流れた。
創刊できたとしても、手のひら音頭男とは一緒に仕事はできなくなっていたことだろう。

マンガは、そんな権威から無縁であってほしい。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: きく

新製品を聴くことについて考えた(その1)

別項「第100回audio wednesdayのお知らせ(メリディアン 218を聴く)」で、
オーディオ店やオーディオショウで新製品を聴くことについて、少しだけ触れた。

わずかな例外はあるものの、
新製品を聴くどきどき、わくわくという感情が伴わない。

以前はそうではなかった。
まだ熊本に住んでいたころ、
瀬川先生がオーディオ店の招きで定期的に来られていたころ、
瀬川先生が鳴らされる新製品を聴くのは、ほんとうに楽しみで楽しかった。

新製品を聴くどきどき、わくわくという感情が常にあった。
ここでの新製品とは出たばかりのオーディオ機器だけでなく、
定番の製品であっても、当時の私にとって初めて聴くモノは新製品といえた。

ステレオサウンドの試聴室でも、新製品を聴いてきた。
これも楽しかった。
中には例外的な製品もなかったわけではないが、
新製品を聴くどきどき、わくわくという感情がきちんと持っていた。

それがいつのまにかなくなっていることに気づいた。
こちらが歳をとったからなのか、
出てくる新製品に原因があるのか、
どこに理由があるのだろうか……、と思う日がずっと続いていた。

2011年2月から、
喫茶茶会記でaudio wednesday(当時はaudio sharing例会だった)をやるようになった。
2016年から音を鳴らすようになった。
2018年9月、audio wednesdayで、新製品を鳴らすようになった。

そうやってやっと気づいた。
新製品を聴くということは、
私にとって新製品のプレゼンテーションであり、
それは自分の手で鳴らす、ということにつながる、と。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: audio wednesday

第101回audio wednesdayのお知らせ

6月のaudio wednesdayは5日。
音出しの予定でいる。

テーマは一つ考えているのがあるけれど、
そのためには工作の時間と私のやる気が必要なので、どうなるかはなんともいえない。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。
19時からです。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(都心のノイズ事情)

昨晩のaudio wednesdayに、
電流帰還アンプ(キットで市販されている)を持ちこまれた。

電流帰還アンプで検索すればすぐに見つかる製品で、
六千円前後で入手でき、出力は0.5W+0.5Wである。

このアンプを、通常の電源ではなく太陽光電池に接続しての音出しというものだった。
このアンプは知っていた。
値段も手頃だし、実験してみるのも面白い、と思っていた。

ちょうどいいタイミングで持ち込まれた、と内心思っていた。
ここで、音はこうだった、と書きたいところだが、
残念なことにひどくバズが出てしまい、音を聴くにはいたらなかった。

このアンプはプリント基板に入出力端子がついているので、
シャーシーなしでも使える。
昨晩はシャーシーなし、つまり裸の状態での試聴であった。

電源は商用電源を使っていないから、ここからのノイズの侵入はない。
それでもシャーシーなしのアンプは、周囲のノイズを拾ってしまったようだ。

喫茶茶会記は四谷三丁目にある。
山手線の内側であり、都心の真ん中に近い。

別項「reference考」の(その6)と(その7)で書いてるように、
強電界地区といえる都心では、このようにバズってしまうアンプがいくつかある。

海外製のアンプでも国産アンプでも、そういうのがあるのを体験しているし、
実際の製品名を聞いてもいる。

今回のアンプも、千葉から来てくださった方のところでは、
まったく問題なく鳴っていた、とのこと。
そうであろう。

それでも山手線の中では、オーディオ機器を取り囲むノイズ事情は、大きく違うし、ひどい。
問題なく鳴るモノでも、問題が発生してしまう。

だからこそノイズとうまいつきあいを見つけ出す必要がある、と考えている。

Date: 5月 1st, 2019
Cate: audio wednesday

第100回audio wednesdayのお知らせ(メリディアン 218を聴く)

今日(5月1日)のaudio wednesdayは、
メリディアンの218を聴く、がテーマである。

218は少し前に出た新製品である。
昨年9月のaudio wednesdayでメリディアンのULTRA DACを聴いて以来、
audio wednesdayで新製品を聴けることが、私自身、とても楽しみになってきている。

新製品を聴ける場所といえばオーディオ店、それからオーディオショウの会場がある。
オーディオショウでも新製品、
しかも登場したばかりの新製品が鳴っている。

鳴っているけれど、それを聴いた、とは言い難い面もある。
だからなのか、新製品をことさら聴いたという感じを、なかなか持てない。
持てないことが続く、というか、それが当り前のようになっているから、
新製品を聴くどきどき、わくわくという感情が伴わない。

一言でいえば、それほど楽しくない。
しばらく、そういう楽しい気持をあまり持てずにいた。

それがここに来て大きく変った。
メリディアンの製品ということだけで、新製品を聴く楽しみが、私のなかに戻ってきたわけではない。
もちろん、それもあるが、
自分の手で新製品を鳴らせる、というのが、私にとっていちばん大きなところなのだろう。

新製品とは未知の製品であり、未知の音である。
なのに聴く前からわかってます的な顔をする人がいないわけではない。
そんな顔(気持)で聴いても、
目の前にあるのは確かに新製品であっても、
そんな人には、どのようなモノをもってこようと新製品になりっこない。

未知の製品、未知の音に接する楽しさを、
数時間後にたっぷりと楽しめる。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。
19時からです。

Date: 4月 30th, 2019
Cate: 使いこなし

続・何度でもくりかえす

二ヵ月ほど前に「何度でもくりかえす」を書いた。
そこで、瀬川先生の「My Angle いい音とは何か?」からの、
使いこなしに関する大事なことを引用した。

そのうえで、どうも伝わりにくい(理解され難い)ようでもあるから、
これからも何度でもくりかえそうと考えている、とも書いた。

そして二ヵ月が経って、
やっぱり伝わっていなかった(理解されていなかった)と感じている。

本人は伝わった、理解した、というだろうが、
私からみれば、何ひとつ伝わっていない(理解していない)としか思えない。

本人は頭では理解しているつもりなのだろう。
けれど、やってしまう。
なぜだろうか。

結局、無為に耐えられないのではないのか。
無為に耐えられないから、ついつい手を出してしまう。

ケーブルを変えてみたり、置き台を工夫してみたり、あれこれやってみる。
しかも屋上屋を重ねる的なことをやらかす。

無為に耐えられないからやらかす。

無為に耐えられないのがオーディオマニアなのかもしれないし、
無為に耐えられるようになってこそオーディオマニアだと断言できる。

Date: 4月 29th, 2019
Cate: 3D Printing

PSoC

いま書店に並んでいるトランジスタ技術 5月号で、
PSoC(ピーソック、Programmable System-on-Chip)の存在を知った。

各社のD/Aコンバーターに搭載されることが増えてきているFPGAも、
便利なモノが登場してきたな、と思っていたけれど、
PSoCは、私にとってFPGA以上の驚きである。

回路シミュレーターのSpiceが登場し、
家庭用のパソコンでも使えるようになってきたころ、
シミュレーションした回路をそのまま実際の回路としてプリントアウトできたらどんなに便利だろう、
と夢みたいなことを考えたことがある。

たとえばOPアンプ。
一般的なOPアンプのICのサイズに治まる規模の回路であれば、
未使用のフィルムのようなICがあり、
なんらかの機械を使って、シミュレーションした回路をそこに生成する。

そんなことは無理だと思ったし、
登場することはないものだと決めつけていた。

けれどいつの間にかPSoCが登場していた。
私が夢見ていた(妄想していた)レベルのモノにはいたっていない。
それでもそこへの一歩が踏み出されている、といえる。

トランジスタ技術でも、電子ブロックという表現を使っているが、
PSoCの内部にある電子ブロックを、外部からプログラミングで接ぎかえていくことで、
電子回路を構成する。
それゆえ制約も多いようだ。

とはいえ、これから進歩していくはずである。
私が夢見ていたモノに近い、もしくはさらに上をいくようなモノが登場してきてもおかしくない。

Date: 4月 29th, 2019
Cate: 会うこと・話すこと

会って話すと云うこと(その22)

その20)で、ヘッドフォン祭が開催される中野は、
その後が楽しいところである、と書いた。

今回も、いつもの三人で中野をぶらついていた。
食事を終えて、もう一軒、ということになった。

ヘッドフォン祭の前に少し中野をぶらついていた。
その時、ある店が、というより、JBLのバイラジアルホーンが目に入ってきた。
店の入口に、大きなホーンが一本だけ飾ってある。

これで、普通の、なんてことない店なわけがない。
それで、そこに行くことになった。
ミュージックイン(Music-IInn)という店である。

入る前から気になっていたのは、
どんなスピーカーを鳴らしているか、である。
バイラジアルホーンを飾っているくらいだから、JBLのホーン型のはずだ、と期待しつつも、
まったく違うスピーカーの場合だって考えられる。

入れば、すぐにスピーカーがある。
JBLの4430だった。
表のホーンは、4430と確かにつながっている。
どちらもバイラジアルホーンである。

ここで紹介しているからといって、
ものすごい音を期待されていくと、がっかりされるかもしれない。
アンプはアキュフェーズだ、そうだ。

これみよがしの音ではないし、
際立った特徴のある音でもない。
けれど、私たち三人は、流れてくる音楽を聴きながら、まったりしていた。

店内には、店主の好きなモノが、あちこちに飾られている。
トイレもそうである。
洗練されたおしゃれな店ではない。

昭和生れの三人は、この空間でまったりしていた。
他に客はいなかったおかげもある。
かかっている音楽も、店主の好きな音楽なんだろう、と感じる。

どこも無理していない、そんな雰囲気だからまったりできたのかもしれない。

こんな店があるから、確かに中野はいいなぁ、とまた思っていた。

Date: 4月 28th, 2019
Cate: ショウ雑感

2019年ショウ雑感(その2)

(その1)を書いたあとにfacebookを眺めていたら、
初日にヘッドフォン祭にいかれたMさんの投稿が目に留った。

Mさんは、すごい熱気を感じた、と書かれていた。
二日目(今日)に行かれたMさんの知人と、Mさんとでは話が噛み合わなかったらしい。

昨日と今日では、そんなに会場の雰囲気が違っていたのか……、と思うとともに、
初日に熱気があるのは、即売会が理由のひとつのような気もする。

Mさんの投稿を読むと、昨日は海外からの人も多かったそうだし、
制服姿の高校生、それに出展社と来場者の女子率など、いい感じだったそうだ。
確かに、今日とはかなり違っている。

なので即売会だけが理由ではないのはわかっていても、
即売会だけを目当てに来ている人が相当数いるということなのか──、と思う。

欲しいモノを確実に手に入れたければ初日に行くしかない。
即売会には行列が出来る、ときいている。

今日も即売会はやっていた。
目ぼしいモノは、昨日売れてしまっていたのだろう(即売会は覗いていない)。

ヘッドフォン祭の主催社がどこかを考えれば、即売会をやめるべきだ、とはいえない。
けれど即売会が集客の目玉になったままでは、ヘッドフォン祭の先行きは明るいとはいえないはずだ。

Date: 4月 28th, 2019
Cate: ショウ雑感

2019年ショウ雑感(その1)

今日(4月28日)、ヘッドフォン祭に行ってきた。
今回は十連休というゴールデンウィークと重なっていたこともあるのだろうか、
これまでよりも来場者が少なくなっているように感じた。

ある出展社の方と話したけれど、やはり少なくなっているようだった。
この少なさ(といってもがらがらだったわけではない)は、
ほんとうに連休の影響なのだろうか。

ヘッドフォン祭の会場近くでは、オクトーバーフェストがやっていた。
こちらは人であふれていた。
連休中なのに……、と思うほどに人が集まっていた。

そのあとでのヘッドフォン祭だっただけに、よけいに連休のせいなのだろうか、と思う。
それに感覚的なことでしかないが、
これまでのヘッドフォン祭にあった独特の熱気みたいなものが薄れたように感じた。

この独特な熱気みたいなものは、いい意味も悪い意味も含んでのことなのだが、
それでも熱気みたいなものが薄れて感じたことが、
来場者が少なくなっていることよりも、これから先深刻になっていくのかもしれない。

私が話した出展社のかたは、緊張感が薄れてきている、ともいわれた。
別の出展社の方は、ヘッドフォン本体、アンプなどの価格の上昇が、
これから影響してくれるのではないか──、そんなことを話された。

ある出展社は出展を取りやめている。
理由はわからない。
もしかすると……、と思い浮ぶことはある。

ピークは終ったのかもしれない。
つまりブームは終ろうとしているのかもしれない。

Date: 4月 28th, 2019
Cate: オーディオ評論

オーディオ評論家の「役割」、そして「役目」(サービス業なのか・その7)

K+HのO500Cは、きわめて優秀なだけに留まらぬ魅力ある音を聴かせてくれるかもしれない。
そうだとしたら、私は聴き終ってどう思うだろうか。

測定データの優秀さを、そこで思い出すのかどうか、である。

(その5)へのコメントがfacebookにあった。
そこには、測定データをみていろいろ考えて、
その上でそのことを思わなくなるような音が聴ける、というの素晴らしいことだと思う、とあった。

このコメントがなくても、K+HのO500Cについて書くつもりだった。
O500Cの測定データを見て、当時、私はいろいろ考えていた。
O500Cは聴いていないからこそ、
このコメントはそうなんだよなぁ、とひとりで頷いてもいた。

コメントには、続けて、
素晴らしい音を聴いたあとで測定データをみて、
こんなだったのか、と思うのもまた楽しい、とあった。

これもそのとおりである。

ステレオサウンドは、以前スピーカーもアンプもアナログプレーヤー、カートリッジも測定をやっていた。
長島先生が、他ではやっていない測定方法を考え出しての測定もあった。

それらの測定データをみて、いろいろ考えるのも楽しい。
新技術を採用したモデルの場合だと、いろいろ考える楽しさはさらに増す。

そうなのである。
私の場合、測定データは、いろいろ考えるためにある。
音を判断するためにあるわけではない。

Date: 4月 28th, 2019
Cate: オーディオ評論

オーディオ評論家の「役割」、そして「役目」(サービス業なのか・その6)

別項「BBCモニター考(余談・K+Hのこと)」で、
K+HのモニタースピーカーO500Cのことを書いている。

O500Cは残念ながら数年前に製造中止になっているし、
どうも日本には輸入されていないようである。
聴く機会は、おそらくないであろうが、いまでも聴いてみたいスピーカーであるし、
O500Cの後継機をK+Hが出してくれることを期待もしている。

O500Cは、素っ気ない外観のスピーカーシステムである。
写真を見ただけでは、聴いてみたいと思うようなスピーカーではない。

でもO500Cの測定データを、
O500Cが開発された時点で、ここまでの性能をスピーカーで実現していたのか、
と驚くしかない。

どこに驚いたかは、「BBCモニター考(余談・K+Hのこと)」で書いているので、
そちらをお読みいただきたいが、
測定データを見て、ぜひ聴いてみたい、と思ったオーディオ機器はほとんどない。

ここ20年では、O500Cぐらいしか思い浮ばない。
そのくらいO500Cの性能はきわめて優秀である。

オーディオマニアとしては、モノとしての魅力は乏しく感じられるO500Cだが、
測定データを見れば、少なからぬ人が一度聴いてみたい、と思うのではないのか。

このO500Cを聴く機会が訪れた、としよう。
その時、どう思うだろうか。

どんな音がするのか、想像できないところがある。
きわめて優秀な音ではあるはずだ。
外観と同じような素っ気ない音なのかもしれないし、
K+Hのスピーカーといえば、ステレオサウンド 46号の特集で、
瀬川先生がOL10の音について、
《ブラームスのベルリン・フィル、ドヴォルザークNo.8のチェロ・フィル、ラヴェルのコンセルヴァトワル、バッハのザルツブルク……これらのオーケストラの固有のハーモニィと音色と特徴を、それぞれにほどよく鳴らし分ける。この意味では今回聴いた17機種中の白眉といえるかしれない》
と書かれているし、
47号では、《ほとんど完璧に近いバランス》とまで書かれている。

そういうスピーカーだから、つまらない音のスピーカーであるはずがない、とも思っている。

Date: 4月 27th, 2019
Cate: オーディオ評論

オーディオ評論家の「役割」、そして「役目」(サービス業なのか・その5)

メリディアンのULTRA DACを2018年9月にはじめて聴いて、
特に通常のCD再生時のDSPによるフィルターの切り替え、
それによる音の変化は、さまざまな録音を聴く音楽好きにとっては有用な機能と感じるとともに、
short、medium、longの三つのフィルターは測定してみると、
いったいどういう特性なのか──、
そのことに関心がわいた。

昨年12月に検索してみると、
海外のオーディオ雑誌のサイトにULTRA DACの測定データが公開されていた。
見つけた時は、おっ、と思ったし、日本とは違うな、とも思っていた。

フィルターの切り替えで特性がどう変化するのかが、おおよそわかった。
けれど、だからといって、その測定データを見て、
聴きなれたディスクを鳴らす際、どのフィルターを選択したらいいのか、
それが聴く前にわかるわけではない。

正直、まったく役に立たない。
結局、short、medium、long、三つの音を聴いて選ぶしかない。

測定データを見たあとでもULTRA DACは聴いている。
フィルターの切り替えもやっている。
その時に、私の頭のなかには、測定データのことはまったくなかった。
フィルターによる音の違いを聴いているときも、測定データのことなんかすっかり忘れていた。

たとえばshortフィルターの音を聴いているときに、
ああいう特性のshortフィルターだから、こういう音になるんだなぁ……、
なんてことは微塵もなかった。

ほとんどの人がそうなのではないだろうか。
測定データが音の何を語ってくれるというのか。

日本のオーディオ雑誌には測定がない──、と不満をいう。
けれど、この時代、インターネットで海外のオーディオ雑誌のサイトもすぐに見ることができる。
そこには測定データがあったりする。

それを見ればいいじゃないか、と思う。

なにも測定する必要がないとはまったく思っていない。
MQA再生時におけるノイズがいったいどうなのか、
どこか測定してくれないか、と思っている。

DSD、MQA、それからWAV、FLACなど、
それぞれの再生時にノイズはいったいどのくらいの量で、どういう分布をしているのか。
いま一番知りたいことである。

それでも、どこかが測定してくれた、としよう。
その結果を見たとしても、そうなのかと納得したとしても、
次の機会に音を聴いた時にはすっかり忘れている。

Date: 4月 27th, 2019
Cate: オーディオマニア

平成をふり返って(その5)

東芝クレーマー事件の数年前あたりから、
マルチメディアという言葉がよく使われるようになっていた。
CD-ROMが登場してからである。

しばらくしてパーソナルメディアという言葉を、何かで目にした。
アメリカの女性による言葉だった、と記憶している。

マルチメディアにはピンとこなかった私だったが、
パーソナルメディアは、確かにそうかも、と頷けた。

とはいっても、具体的にどういうものがパーソナルメディアなのか、
パーソナルメディアといっても、個人が作れるものなのか、
そんな疑問ももっていた。

そこに東芝クレーマー事件があった。
それまでにも個人サイトはいくつもあった。

それは趣味のことを書いたものであったり、
専門家の個人サイトでは、専門分野のことであったりした。

そこに東芝クレーマー事件の個人サイトが登場した。
東芝クレーマー事件の真相がどうだったのかは、実のところはっきりしないところもある。

それでも東芝クレーマー事件の個人サイトは、
それまで公開されていた個人サイトとは、はっきりと毛色が違っていた。

私にとって、東芝クレーマー事件の個人サイトは、パーソナルメディアの具体例、
それも最初の具体例であった。

東芝クレーマー事件の一年以上前から、
オーディオのウェブサイトをつくろう、と思ってきていた。

ただつくろう、つくりたい、と思っていただけで、
具体的な内容についてはほとんど考えていなかった時期に、
東芝クレーマー事件のサイトの登場であったわけだ。

Date: 4月 27th, 2019
Cate: 真空管アンプ

Western Electric 300-B(Good Reproductionの和訳・その2)

Good Reproductionを、居心地のよい音、響きとすれば、
居心地のよい部屋というものを考えてみれば、
居心地のよい音、響きがどういうことなのか浮んでくる。

居心地のよい部屋といっても、たとえば真夏と真冬では、
ベースとなる部屋は同じ空間であっても、
何から何まで、真夏と真冬が同じままでは、居心地のよい空間(部屋)とはいえない。

カーテンひとつにしても、真夏と真冬とでは色を変えたくなるし、
花瓶に挿いた花にしても、季節によって変ってくる。

こまかなところが、四季によって変化していってこそ、
居心地のよい部屋へと近づいていくのであれば、
居心地のよい音というものも、そうであるはずだ。

以前書いているように、井上先生は四季によって聴きたい音は変っていく、といわれた。
真冬は真空管アンプ、それもマッキントッシュの真空管アンプの音が恋しくても、
真夏になるとすっきりとした音のトランジスターアンプに切り替える──、
そんな話をよくされていた。

音の季節感について話されていたわけだが、
実のところ、井上先生が話されていたのは、
Good Reproductionについてだったのか、と、いまごろ気づいている。