オーディオ評論家の「役割」、そして「役目」(サービス業なのか・その6)
別項「BBCモニター考(余談・K+Hのこと)」で、
K+HのモニタースピーカーO500Cのことを書いている。
O500Cは残念ながら数年前に製造中止になっているし、
どうも日本には輸入されていないようである。
聴く機会は、おそらくないであろうが、いまでも聴いてみたいスピーカーであるし、
O500Cの後継機をK+Hが出してくれることを期待もしている。
O500Cは、素っ気ない外観のスピーカーシステムである。
写真を見ただけでは、聴いてみたいと思うようなスピーカーではない。
でもO500Cの測定データを、
O500Cが開発された時点で、ここまでの性能をスピーカーで実現していたのか、
と驚くしかない。
どこに驚いたかは、「BBCモニター考(余談・K+Hのこと)」で書いているので、
そちらをお読みいただきたいが、
測定データを見て、ぜひ聴いてみたい、と思ったオーディオ機器はほとんどない。
ここ20年では、O500Cぐらいしか思い浮ばない。
そのくらいO500Cの性能はきわめて優秀である。
オーディオマニアとしては、モノとしての魅力は乏しく感じられるO500Cだが、
測定データを見れば、少なからぬ人が一度聴いてみたい、と思うのではないのか。
このO500Cを聴く機会が訪れた、としよう。
その時、どう思うだろうか。
どんな音がするのか、想像できないところがある。
きわめて優秀な音ではあるはずだ。
外観と同じような素っ気ない音なのかもしれないし、
K+Hのスピーカーといえば、ステレオサウンド 46号の特集で、
瀬川先生がOL10の音について、
《ブラームスのベルリン・フィル、ドヴォルザークNo.8のチェロ・フィル、ラヴェルのコンセルヴァトワル、バッハのザルツブルク……これらのオーケストラの固有のハーモニィと音色と特徴を、それぞれにほどよく鳴らし分ける。この意味では今回聴いた17機種中の白眉といえるかしれない》
と書かれているし、
47号では、《ほとんど完璧に近いバランス》とまで書かれている。
そういうスピーカーだから、つまらない音のスピーカーであるはずがない、とも思っている。