リファレンス考(その6)
いまは元麻布に移っているが、私がいたころは六本木五丁目、
外苑東通りに面したビルに、ステレオサウンド編集部はあった。
試聴室は三階にあった。
ビルの窓から身を乗り出せば東京タワーが正面に見えた、
まわりは夜ともなればネオンがまぶしい繁華街である、
目にこそ見えないけれど、オーディオ機器を取り巻く環境としては、かなり悪かった。
こういう環境では、思わぬ症状が発生することがある。
そのひとつに、アンプがバズって、満足な音出しが出来なくなる機種があった。
もう製造中止になった機種だが、
そのメーカーのアンプはいまではそんなことはないから、どのメーカーとは書かないが、
海外製のアンプの一部は、
国産メーカーのアンプよりも、以前のステレオサウンドの試聴室のような悪条件には弱いところがあった。
おそらく、海外にある、そのメーカーの試聴室では出なかったトラブルが出ることがあった。
オーディオ機器を取り巻く環境は常に一定ではない。
雑多なノイズがそれぞれ変動している。
それらの影響をまったく受けないのが理想だが、そんなモノはない。
できるだけ影響を受けないことが、リファレンス機器には要求される。