Archive for category ブランド/オーディオ機器

Date: 6月 11th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その6)

5月と6月のaudio wednesdayでは、最初から200Vで218を鳴らしていた。

喫茶茶会記は、喫茶室とaudio wednesdayの場となるL Roomは、
壁で隔てられている。

5月の時にも6月の時にも、喫茶茶会記の常連の方がいた。
5月の時にいた人は、「ここもこういう音がするんだ」と感心していた、とのこと。

壁といっても、防音、遮音処理がなされているわけではない。
けっこう音は喫茶室に抜けている。

壁を隔てて聴く音のほうがよくわかるところもある。

6月のときは、セシル・テイラーの「Solo」をかけていた。
喫茶室にいた常連の人(5月の人とは違う)は、
「ほんもののピアノが鳴っている、と思った」とのことだった。

音の浸透力が、100Vと200Vとでは、このくらい違ってくる。

そして、マリア・カラスを聴くと、その違いはよくわかる。
MQA Studio(96kHz、24ビット)でのマリア・カラスは、
どうがんばっても100Vでは聴けないマリア・カラスだった。

どこまでも声がのびる。
決してヒステリックになることはない。
まるで天井がないかのように、声が天へと向っていく。

私だけがひいき目でそう感じたのではなく、
6月2日の音がそうだった。
218はWONDER DACをめざす(番外)」でのことだ。

私のiPhoneに入っているマリア・カラスを、この日も鳴らした。
私を含めて四人いた。
みな、マリア・カラスに圧倒されていた。

20代のころ、私はマリア・カラスをうまく鳴らせなかった。
LPでもCDでも、どちらであっても、もっとすごいはずなのに……、
という思いがつきまとったままだった。

それがいま、こうもあっさりと鳴ってくれる。

Date: 6月 11th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その5)

コトヴェールのDMJ100BT、
iFi AudioのiPurifier SPDIFの次にやったのが、200V駆動である。

2月下旬に、アムトランスにルンダールの絶縁トランスLL1658を注文した。
届いたのはちょうど五週間後だった。

ぎりぎり4月1日のaudio wednesdayに間に合うように届いた。
けれど、コロナ禍のため、4月のaudio wednesdayは5月に延期した。

LL1658もそのまま使うつもりは最初からなかった。
とはいえ、手を加えることでどれだけの音が変化があるのかを自分の耳で確認したかったから、
最初は基本的な使い方・配線をして、しばらく聴いていた。

これまで100Vで218を使っていて、200Vに変更する。
内部配線を変える必要がないのはスイッチング電源の良さの一つだ。

とはいえ、最初は大丈夫かな、と少しは心配になったものの、
音が鳴ってきたきたら、そんな心配は霧散してしまった。

劇的に変化する、という人もいるだろうが、
私はそんな印象は受けなかった。

むしろ基本的な、大事なところがしっかりと変化した、という印象である。
それでも、そのまま使っていると、トランスを介在させることのデメリットも感じなくはない。

一週間ほど使ったあとで、CR方法をLL1568にも試す。
CR方法については、何度か書いているので、省略する。
巻線の直流抵抗は仕様書に載っているので、テスターも不要である。

抵抗はDALEの無誘導巻線抵抗を、
コンデンサーはディップマイカを使った。
どちらも秋葉原の海神無線で購入した。

この効果は大きかった、といえは確かにそうだが、
気にしない人にとっては、どうでもいい変化量なのかもしれない。

LL1658の端子にハンダ付けしながら思っていたのは、
最初から取り付けていたほうが楽だった──、ということ。
CR方法の効果はすでにわかったから、次回からは配線と同時に取り付ける。

218を使っている人たちから、私も200Vにしたい、ということで、
再びアムトランスにLL1658を、今度は五つ注文した。

Date: 6月 11th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その4)

iPurifier SPDIF用の省電力対応のモバイルバッテリーへの充電は、
これも「モバイルバッテリーという電源」で書いているように、
最初に購入したモバイルバッテリーから行っている。

なんかムダなことをやっている、と思われようが、
モバイルバッテリーを介しての充電のほうが、不思議と音がよく聴こえる。

先入観ゆえじゃないか、といわれれば、強くは否定しない。
モバイルバッテリーの充電時間、
使い切るまでの時間などから、厳密な比較試聴は難しいということもあるからだ。

それでも、そんな一手間を面倒だ、と感じないということは、
なんらの音質的メリットをどこかで感じとっているからだろう。

何も感じていなければ、面倒だと思い、やめているはずだから。
結局何がいいたいかというと、
iPurifier SPDIFは電源によってかなり音が変化する、ということだ。

私が使っている省電力対応のモバイルバッテリーは、
アンカー製だが、これがベストなのかというと、なんともいえない。
他にいい製品があるかもしれないし、
省電力対応でなくても、消費電力をなんらかの手段で増すことで対応もできる。

そちらのほうが音がいいかもしれない。

それからこまかなことだが、アンカーのモバイルバッテリーの置き方でも音は変化する。
どちらの面を上にするかで音は変化するし、コネクターは二つあるが、
どちらに接続しても同じ音というわけではない。

このあたりのことは一度セッティングをきちんと行ってしまえば、
特に変更することはない、というものの、安易に使っては安易な音になることだってある。

安易に使うといえば、iPurifier SPDIFは、その寸法の分後に突き出す格好になる。
コネクターはRCAだから、不安定といえばそうだ。
iPurifier SPDIFの下に何かをかませて、片持ちにならないようにする。

たったこれだけのことでも音は変化する。
下から支えるといっても、iPurifier SPDIFや端子にテンションを与えるくらいだと、
逆効果の面も出てくるから、ほどほどにしておいたほうがいい。

いまのところ、iPurifier SPDIFは気に入っている。

Date: 6月 10th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その3)

タンノイのコーネッタのことは、別項「程々の音」でも書いている。
ずっと心にひっかかってきている存在である。

コーネッタを、ほどよい大きさの真空管アンプで鳴らしたい、
そして、その音にずっと満足していきたい──、
そんなことを、いわば夢見ているところがあるからだ。

それでも、ながくオーディオをやってきて、
コーネッタの音が、真に求める音とは違うところに位置することもわかっている。

それでも、いつかは……、とおもい続けてきた。
コーネッタへの関心は、強くなったり、そうでなくなったりもした。

欲しいな、と思っていても、手に入れたい! と強い気持を持っていたとはいえなかった。
それが、急にどうしても、と思うようになったのは、
ここでもMQAが関係してくる。

私がコーネッタを聴いたのは、アナログディスクだった。
CDでの音は聴いていない。

MQAで鳴らしたら、コーネッタはどんな音、いや響きを聴かせてくれるのか。
それをどうしても聴きたくなってきた。

どこかで聴ける可能性は極端に低い。
それにメリディアンの218(version 9)+αで聴きたい。

期待しすぎると、がっかりすることになるかもしれない。
それでも、聴きたい、という気持を抑えることができなくなったときに、
タイミングよく、ヤフオク!にコーネッタの出品があった。

コーネッタで検索したわけではない。
なのに、なぜか、お探しの商品からのおすすめのところに、コーネッタが表示された。

それにしても、ヤフオク!の、このおすすめは、どうやって表示されるのだろうか。
どうでもいいモノばかりが表示されると思う時が多いのだが、
コーネッタだけでなく、他にもいくつかあったのだが、
コワイくらいにおすすめのモノが表示されるのは、
これはもう買え! ということだな、と解釈するようにしている。

もちろん価格で手が出せなくなることもあるが、今回はなぜだか違った。
違ったおかげで、コーネッタをMQAで鳴らせる。

Date: 6月 10th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その2)

HPDシリーズのユニットは、
タンノイがハーマンインターナショナル傘下時代の製品である。

そのことから推測するに、
HPD298のコーン紙の裏面に塗布されている特殊な塗料というのは、
JBLのランサプラス的な性質をもつものなのか。

それだけでなくIIILZ MkIIとHPD295とでは、ウーファーのコーン紙の形状も少し違う。
HPD295のほうが、奥に長くなっている。
つまり中高域のホーンの延長であるコーン紙の形状に変化があるということは、
途中からホーンの拡がり方に違いがある、ということにもなる。

こまかなことをいえば、エッジも違う。
HPD295はウレタンのロールエッジである。

なぜ、このような変更がなされたかについては、
「世界のオーディオ」のタンノイ号掲載の「わがタンノイを語る」のなかで、
タンノイのリビングストンが答えている。
     *
 モニターゴールドのとHPDのドライバーのエッジを見ていただくと、おわかりいただけると想うのですが、モニターゴールドの形態というのは波型になっていますが、HPDではこれがより単純な形態になっています。モニターゴールドで、なぜこのような奇妙な形になっているかというと、音のダンピング効果を出すためにこういう形にしたわけです。エッジにはダンプ剤をモニターゴールドまで塗布していたのですが、この工程は、1時間もかかるのです。それに対し、HPDのウレタンフォームのロール状の性能はむしろモニターゴールドよりもアップし、なおかつ生産工程の単純化が図れて、このエッジを作るのにわずか3分で済むというわけです。
     *
エッジの形状の変化、材質の変化、
どちらもハーマンインターナショナル傘下ゆえのことのようにも思える。

このエッジの変更も、ウーファーのコーン紙がホーンの延長となっていることを勘案すると、
ホーンの開口部の形状の変更といえるわけで、
中高域のみを鳴らした状態で、ユニットの新旧を比較試聴してみても、
かなりの変化が聴きとれるように思われる。

もっとも同程度のコンディションの、新旧のユニットが揃うことは、ほぼないわけで、
現実には、コンディションの違いも含めての比較試聴ということになる。

それでも違いは、現実には存在する。

どちらがいいのかは、個々人が決めることであって、
私としては、今回手に入れたコーネッタにはHPD295Aがついているという事実を、
そのまま受け入れるだけのことだ。

Date: 6月 8th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その1)

ステレオサウンド 37号、38号、39号掲載のMY HANDICRAFT、
コーネッタ(Cornetta)は、この記事で誕生している。

私が最初に手にしたステレオサウンドは41号だから、
コーネッタの記事を読んでいたわけではないし、
詳細を知っていたわけでもない。

1978年ごろのステレオサウンド別冊 HI-FI STEREO GUIDEのキットのページに、
このコーネッタは載っている。

ブランドはSSLで、型番はSSL-1。
SSLはStereo Sound Laboratoryの略である。

コーネッタは、このSSL1(エンクロージュア)に、
タンノイの10インチ口径の同軸型ユニットを搭載した状態での名称である。

SSL1に取り付けられるユニットは、IIILZかHPD295(A)のどちらかだろう。
私のところにやってくるコーネッタには、HPD295Aがついている。

なんだ、HPDか……、というマニアが少なくないのは知っている。
HPDシリーズのユニットは、タンノイがハーマンインターナショナル傘下時代のモノだ。

特徴的なのは、ウーファーのコーン紙の裏側に補強リブがある。
これにより振動系の質量は当然増す。
HPD295には、この補強リブはなく、
口径が大きくなる上級機、HPD315、HPD385だけの特徴だ。

HPD295は補強リブはないかわりに、コーン紙裏面の特殊塗料によって、
コーンの強度を増している。

ステレオサウンド 38号には、IIILZ MkIIとHPD295の実測データが載っている。
IIILZ MkIIの振動系の質量は、約24gと約29g、
HPD295となると、約52gと約54gと、ほぼ倍である。

その分f0はHPD295のほうが低い。
この質量差をどう考えるか。

同程度のコンディションのユニットが入手できるのであれば、
HPDよりも……、という気持は私にもないわけではない。

HPDシリーズのユニットを認めないタンノイの熱心なマニアの人たちは、
補強リブに関して、かなり否定的であったりする。

これもわからないわけではない。
けれど、タンノイの同軸型ユニットは、アルテックのそれと違い、
ウーファーのコーンが、中高域のホーンの延長となる。

ならばウーファーの補強リブは、ホーンの補強リブとも考えられるし、
コーン紙裏面の塗料による強度の補強は、
ある種のデッドニングとも考えられよう。

Date: 6月 6th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その3)

別項「モバイルバッテリーという電源」で書いていることは、
このiPurifier SPDIF用の電源のことである。

付属のスイッチング電源のiPowerの実力に、ちょっとは疑問を抱いた。
その時、手持ちのモバイルバッテリーが目に入った。

購入したモノではなく、auの長期利用者宛に、ずいぶん前に送られてきたもので、
かなり小型のモバイルバッテリーである。

とりあえず実験として接いでみるぶんには、これでもかまわない。
やってみると、音の冴えが感じられるようになる。

けれど「モバイルバッテリーという電源」で書いているように、
いい感じで聴いていると、わずか数分で電源が切れる。

まず疑ったのは、バッテリーそのものがかなり古いから、ということ。
なので、試しに比較的新しいモバイルバッテリーを買ってみた。

けれど、それでも数分よりも、もっと短い時間で同じ症状を示す。
iPurifier SPDIFの消費電力が少ないゆえの現象なのか、と思う。

facebookでのコメントで、そうであることがはっきりとしたし、
省電力対応のモバイルバッテリーがあることも知った。

立て続けに、別のモバイルバッテリーを購入。
省電力モードで接続すれば、電源が落ちない。

これはいい、と思っていたが、
二時間程度で、やはり電源は落ちてしまう。

それでも二時間持つし、
スイッチを入れ直せば、落ちることなく持続しての使用が可能。
私にとっては実用上問題ない範囲だ。

それでも最初のうちは、バッテリーとiPower、
比率としては半々ぐらいだった。

バッテリーのほうが、すべての面で優れているとはいえなかったからだ。
そうやって使ったり使わなかったりしているうちに、
いわゆるエージングが行われたのか、だんだんはバッテリーが聴く時間が増えてきた。

基本的にはiPowerを接いでいる。
常時、電源を入れっぱなしにしておくためである。

そのまま聴くことはけっこうある。
けれど、聴いているうちに、やっぱりバッテリーにしようと思い、
途中で接ぎかえることになる。

そういう使い方とiPurifier SPDIFの消費電力の少なさから、
一ヵ月経っても、モバイルバッテリーの残量は十分といえるほどだ。

Date: 6月 4th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その2)

コトヴェールの次に導入したのは、iFi AudioのiPurifier SPDIFである。

この手のアクセサリーには関心はあるけれど、
カタログやウェブサイトで謳われていることを素直に信じているわけではない。
iPurifier SPDIFもおもしろそうだな、とは思っていた。

でも手を出さずにいた。
なのに導入したのは、ヤフオク!を眺めていたら、
「お探しの商品からのおすすめ」のところに、iPurifier SPDIFが表示された。
関係してくるようなオーディオ用アクセサリーを、ヤフオク!で検索したことはないのに、
すぐに目に入る位置に表示された。

定価の半額くらいで出品されていた。
この値段で落札できたらいいなぁ、と思っていたら、
私以外の誰も興味をもたなかったのか、その価格で落札できた。

この価格だったら、たいした効果がなくても、少しの間は遊べるだろう──、
そのくらいの気持だった。

効果があるのか、といえば、確かにある。
iPurifier SPDIFが届いてから二日ほどは、使ったり外したりしたが、
それ以降はずっと使っている。

5月、6月のaudio wednesdayにも、
火曜日に行ったAさんのところにも持っていっている。

昨日のaudio wednesdayでは最初から挿しっぱなしだったが、
5月のaudio wednesdayでは、途中から挿したし、
火曜日にも同じように途中で使い始めて、いっしょにいた人たちも音の変化を確認している。

iPurifier SPDIFにはACアダプターが付属する。
スイッチング電源のACアダプターである。

iPurifier SPDIFのウェブサイトには、
《SPDIF iPurifierは5Vで駆動されるので、静かな電源で電力を供給することが不可欠です。そのため、すべてのSPDIF iPurifierは専用のiPower(5V)電源アダプターを同梱して出荷されます。1μVのノイズフロアと同程度のノイズフロアを達成したiPowerは、沈黙に近いほど静かな、新種のDC電源です。消費電力が少なく、低ノイズです。》
とある。

iPowerは、AC極性による音の変化が小さくない。
特にピアノを聴いてみると、かなりの変化が容易に聴きとれる。
だから、質が悪い、とはいわないけれど、
ここでふとバッテリーを試してみたら、どうなるのか、と思った。

iPurifier SPDIFの電源は5Vだ。
モバイルバッテリーがそのまま使える。

Date: 6月 4th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その1)

5月のaudio wednesdayで、
喫茶茶会記の店主、福地さんだけが、メリディアンの218(version 9)+αの音を、
私以外では聴いている。

今週火曜日に、Aさんのところに持ち込んで、私以外に三人が聴いている。
昨日のaudio wednesdayで、さらに数人が聴いている。

聴いた人たちの昂奮が伝わってきた。
もうはっきりと、218(version 9)+αの音は、WONDER DACといえる。

218(version 9)の詳細については、
言葉だけで伝えるのは無理があるし、
その人の力量がわからないことには、どこまで伝えたらいいのか迷う。

そのため、しっかりとわかっている人には教えることにしているが、
ヘタにいじって218を毀しそうだな、と感じた人には伝えないようにしている。

+αに関しては、218の内部をいじるわけではない。
あくまでも外付けに関することばかりである。

まずやったのは、以前書いているように、
LAN用のノイズフィルターである。
コトヴェールのDMJ100BTを使っている。

オーディオ用アクセサリーではない。
いまのところamazonで入手できる。

これも書いていることなのだが、音質面での変化もあるが、
それ以上に使い勝手がよくなった。

iPhoneアプリのIP Controlを起動した際に、
同一ネットワーク上のメリディアンの製品があるどうかを探す。

コトヴェールのDMJ100BT導入以前は、たびたび218を見つけられずに、
もう一度IP Controlを起動する必要があった。

たいした手間ではないのだが、一発で218を見つけて起動してくれたほうが、
精神衛生上いい。

導入してから、四ヵ月ほど使っているが、
これまで218を見つけられなかったことは一度もない。
一発で大丈夫である。

218がすぐには見つけられない現象は、私のところだけではなく、
218を使っている人にきいてみると、やはりそうである。

とにかく、この問題が解消する。
これだけでも、コトヴェールのDMJ100BT導入の価値はある。

Date: 6月 3rd, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(番外)

昨日は、メリディアンの218(version 9)+αを抱えて、
音楽好きの人のところに行っていた。

同世代の女性Aさんは、オーディオマニアではないけれど、たいへんな音楽好き。
先日、ヤマハのプリメインアンプ、A-S2100を購入したのも、このAさんである。

A-S2100と同時に、218も購入。
218(version 9)+αを聴いてみたい、という要望と、
購入した218に手を加えてほしい、ということだった。

218(version 9)+αは、先月のaudio wednesdayで鳴らしたのよりも、
さらに少しだけ進歩している。

手を加えた本人が、いくらよくなった、といっても説得力に乏しいわけだが、
本人としては、別にそれでかまわない。

誰かによくなった、といってもらわなくても、どれだけ良くなっているのかは、
自分で判断できる。

それでも、こうやって持参して、その音を聴いてもらうのは、
音楽をいい音で聴くことに目覚めてほしいからである。

田口スピーカーとであい、田口スピーカーの大型モデルと小型モデルを購入するくらいだから、
その素養はあるわけだが、そこから先に進むきっかけはなかったようである。

ノーマルの218の音に、すでに満足していたところに、
218(version 9)+αを聴いてもらう。

その場で比較試聴するまでもなく、圧倒的に218(version 9)+αはすごかった。
途中で200Vに変更した音も聴いてもらった。

218(version 9)+α、さらに200Vにしてほしい、ということになった。

「良い音で聴く世界にハマった」ということだった。
こういう時間を過ごせるのは、ほんとうに楽しい。

Date: 5月 24th, 2020
Cate: MERIDIAN, ULTRA DAC

メリディアン ULTRA DACと青春の一枚(その7)

「青春の一枚」ということで、
イーグルスの“Hotel California”のCDをかけることになった。

通常のCDなので、ULTRA DACの三種のフィルターを、
それぞれ約一分ほど、まず聴いてもらった。

そのうえで、どのフィルターにするのかを、CDを持参された方にきいてみた。
「音的にはlongかもしれないけど、shortで!」ということだった。

大滝詠一の「DEBUT AGAIN」とは違い、“Hotel California”はかなりの回数聴いている。
それでも、私にとっては青春の一枚とはいい難い。

ロック小僧ではなかった私が、“Hotel California”を知ったのは、
ステレオサウンド 44号、45号のスピーカーシステムの総テストで、
黒田先生が試聴ディスクの一枚として使われていたからだった。

そうでなかったなら、“Hotel California”を聴く機会はもっと遅くなっていたであろう。

CDを持参された方にとっては、“Hotel California”はまさしく「青春の一枚」なのだろう。
“Hotel California”の聴き手としての歴史がずいぶん違う者二人が聴いても、
“Hotel California”はshortの音ということで、一致する。

一致したからといって、二人の聴き手の心象風景が同じなわけではないだろう。
フィルターの選択が違っていたとして、心象風景が違うとも限らない。

誰ひとりとして、自分以外の人の心象風景をのぞきみることはできない。
言葉で表現されたとしても、そこで思い浮べる心象風景がどれだけ同じで違うのか、
それも誰にもわからないはずだ。

メリディアンのULTRA DACで聴くのならば、できるならばMQAで聴きたい、と、
その音をきいたことがある者ならば思うはず。

それでも通常のCDを、
short、medium、longの三種のフィルターを使い分けて聴く行為は、
ひじょうに興味深いものがある。

単にひじょうに音の優れたD/Aコンバーターで、青春の一枚を聴く行為と、
ULTRA DACのフィルターを、どう選択して聴くのか、とでは、
「青春の一枚」といれるディスクであればあるほど、
聴き手のなかに描かれる心象風景に、大きな違いが生じているような気がしてならない。

Date: 5月 20th, 2020
Cate: 930st, EMT

EMT 930stのこと(ガラード301との比較・その15)

その14)で引用した五味先生によるマッキントッシュのMC275とMC3500の音の違いは、
レンダリングの違いとも読める。

音の構図の確かさ(モデリングの確かさ)は、MC275もMC3500もあまり違いはないのではないか。
しっかりと音の構図を描いたうえで、
MC3500のように《音のすみずみまで容赦なく音を響かせている》のか、
MC275のように
《必要な一つ二つは輪郭を鮮明に描くが、簇生する花は、簇生の美しさを出すためにぼかしてある》のか。

この違いをどう読みとるのか、
人によって違ってこようが、私はモデリング(音の構図)ではなく、レンダリングの違いと読む。

簇生の美しさを出すためにぼかすためにも、
音の構図に曖昧なところがあってはならない。

モデリングを音の構図とすれば、
レンダリングは音色ともいえる。
音色のひとことだけですべてを表わしているわけではないが、
レンダリングは、オーディオ的音色につながっていくものといえるのは確かだ。

ここでも、優先順位が関係してくる。
人によって、どちらを優先するのか。

もちろん音の構図も音色も、高い次元で求めたい、というのがほんとうのところであっても、
そこへ行き着く過程では、どちらかを優先する場面が多々ある。

このことは、別項のフルレンジスピーカーの次なるステップとして、
トゥイーターなのか、それともウーファーなのかについて書いているが、
そこで歌い手の口の小ささを優先するのか、
それとも歌い手の肉体の再現をとにかく優先するのか─。

音の構図を優先する人ならば、歌い手の口の小ささよりも、
歌い手の肉体の再現を優先するのではないのか。
少なくとも私はそうである。

私にも音の構図よりも、好きな音色を優先していた時期がある。
ずいぶん若い時のことだ。

そこでは口の小ささは、とても重要だった。
肉体の再現の重要性を、「五味オーディオ教室」を読んでいて、
頭では理解していても、未熟なころの私は、口の小ささの優先順位は高かった。

Date: 5月 7th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その17)

手を加えたメリディアンの218を200Vで駆動して、
外付けにいくつかのモノを用意することで、どこまでULTRA DACで聴いた音、
具体的には、ULTRA DACでマリア・カラスの「ハバネラ」の音にどこまで近づけるのか。

昨晩(5月6日)のaudio wednesdayでの「ハバネラ」は、
WONDER DACといってもいいだろう、とそういえるだけの音が鳴ってくれた。

聴いていたのは私と、喫茶茶会記の店主、福地さんの二人だけだから、
信憑性なし、と思われてもかまわない。

井上先生がよくいわれていたことがある。
デジタルは、高いモノも安いモノも基本性能は同じだ、ということだ。

CDプレーヤーが確かにそうだった。
いまハイレゾ時代といわれているが、同じである。
ハイレゾ対応を謳っている機種であれば、基本性能は同じである。

数万円程度で買えるD/Aコンバーターであろうと、
その百倍ほどの高価なD/A今ハーターであろうと、
サンプリング周波数とビット深度によって決る基本性能は同じである。

だからといって、音が同じなわけではないことは、いうまでもない。
音は違う。
けれど基本性能は同じ。
だからこそ、「218はWONDER DACをめざす」というテーマが可能なのだ。

Date: 4月 28th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その16・補足)

1996年に出たステレオサウンド創刊30周年別冊「世界のオーディオブランド172」、
その巻頭鼎談の最後のほうでも、菅野先生は、こう語られている。
     *
僕は、21世紀を考えますと、ハイテクとローテクがどう結びついていくかにすごく興味があるわけです。
 それで、今のハイテクの象徴、一般的にそれはパーソナル・コンピューターですね。あんなチャチなプラスティッキーな作りのパソコンにも一流ブランドがあるか? 強いて言えば唯一あります。マック、アップルのマッキントッシュ。マックはほとんどアニミズムみたいに愛されているブランドです。ハイテクとアニミズム、いかにも人間らしい。
 アップル社の創業者たちは、あのブランドを、かのオーディオのマッキントッシュ社に使用権料を払ったほどのこだわったんです。素晴らしいことですよ。僕もあのアンディ・ウォーホールのアップル・マークには惹かれるし、マック・ファンの気持ちもわかりますね。テクノロジーは普遍的であり収斂性あるのみなのに、未発達の古いマックが愛される。奇妙なことです。人間って、奇妙なものですよ本来。
     *
ここでもハイテクとローテクについて語られている。
そしてハイテクとアニミズムである。

Date: 3月 12th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その16)

メリディアンの218に手を加えては、その音を聴く。
一ヵ月ほどして、また手を加えては音を聴く──、
こんなことを半年ほどくり返してきながら思い出していたことがある。

菅野先生が、ステレオサウンド 121号、
アキュフェーズのDC300の新製品紹介記事の最後に書かれていたことだ。
《ハイテクとローテクのバランスが21世紀のオーディオを創ると私は考える》とある。

218はハイテクのオーディオ機器といえる。
私が218に加えていることはローテクもローテクといえる。

菅野先生がDC300のところで書かれている「ローテク」が、
私がやっているローテクと、まったく同じなことではないことは承知している。

それでも私がやっているのは、メーカーが量産モデルにはなかなかやらないようなこと、
まさしくローテクであり、いくつかの注意事項さえ守れば、
特に手先が器用でなくとも多くの人が実行できることである。

それでもハイテクだけでは達成できない領域が、オーディオ(音)の世界にはある。
だからこそ、ハイテクとローテクのバランスは、
これから先、ますます重要なこととなるはずだし、
私がここまで218に手を加えてきたことは、
ハイテクとローテクのバランスをとっていく行為といえるかもしれない。