2010年ショウ雑感(その5)
“The Sonus faber” にしても、XRT28とMC2KWのペア、どちらかが欲しい、というわけではない。
機会があれば、また聴きたいと思っている。
今年の同じ音が聴ける保証はないけれど、
おそらく来年のショウでもXRT28とMC2KWのペアの音は聴けるだろう。
“The Sonus faber” は全世界で限定30セットということで、
すでにほとんどが売れてしまっているということだから、
おそらく聴く機会はない、と思われる。
もういちど、というか、もう数枚、好きなアナログディスクを聴いてみたいという気持はつよくあるけれども、
それでは、”The Sonus faber” を自分のモノに、いつかしたい、という気持はまったくない。
手が届かない価格ということは、もちろんあるけれど、それ以上に、どちらもスピーカーシステムも、
いったいどれだけ広い空間を要求するのだろうか。
そのことを考えると、私の、すくなくともいまの音楽の聴き方には、
このふたつのスピーカーシステムの世界は似合わない。
“The Sonus faber” はエンクロージュアの片側の側面に38cm口径のウーファーがある。
ウーファーを外側にした場合、側面の壁との距離は最低でも1.5mは確保しなければならないらしい。
内側にしたら、最低でも左右のスピーカーの間隔は3mは必要となる。
メーカー側からは、最低でも床面積50㎡は必要、とのこと。
この50㎡は、おそらくぎりぎりのものかもしれない。
昔の感覚でいえば、JBLの4343を6畳間にいれているようなものに近いのかもしれない。
以前にも書いているように、使いたい、鳴らしたいスピーカーシステムであれば、
部屋にはいりさえすれば、かなり大きくても……、という考えをもっていても、
マッキントッシュとソナス・ファベールの、それぞれのシステムは、最低でも30畳、
もっと広い空間を要求してくれように感じている。
たとえそれだけの空間が自由にできる環境にあったとしても、
音楽を親密に聴くために、それだけの空間は、むしろ広すぎるようにも思う。
だから、ショウで1年に一度聴ければ、それで私は満足できる。
そして、その意味で、このふたつのスピーカーシステム、
特にひじょうに高価な “The Sonus faber” は、夢のあるオーディオ・コンポーネントといえるのだろうか。
そういう疑問もわいてくる。