Date: 11月 11th, 2011
Cate: ショウ雑感
Tags:

2011年ショウ雑感(続・余談)

リボン型のスピーカーユニットといえば、日本ではパイオニアのトゥイーターPT-R7が、
その代名詞のような存在だった。
PT-R7以前に、イギリスのデッカ(ケリー)からもリボン型トゥイーターは出ていたけれど、
1970年代の日本でリボン型トゥイーターといえば、多くの人の頭にまず浮ぶのはPT-R7だったはず。
私もそうだった。

そのPT-R7より数年おくれて、テクニクスから10TH1000というトゥイーターが登場した。
ステレオサウンドやその他のオーディオの雑誌に紹介された写真をみたとき、
テクニクスが出したリボン型トゥイーターだと思った。
だが、テクニクスは、10TH1000をリボン型とは呼ばず、リーフ型と呼んでいた。

PT-R7の、いわばライバル的存在のトゥイーターだけに、
その対抗心からリボン型と、あえて言わないのか、とそのころの私はへんな勘繰りをしていた。
でもカタログやテクニクスが発表している技術的な内容をきちんと読めば、
テクニクスがなぜリボン型と呼ばずに、リーフ型と名づけたのかが判る。

10TH1000の振動板の前面にヒレに似た形のイコライザーと思えるものがついている。
だがこれは音響的なイコライザーではなく、磁気回路の一部であり、
リボン型と違い、このイコライザーと思えるものを取去ってしまったら10TH1000は動作しなくなる。

PT-R7はリボン型トゥイーターで、振動板は厚さ9ミクロンのアルミ箔であり、
このアルミ振動板に直接音声信号を通している。
つまりリボン型であるためには振動板が導体であることが必要だ。

PT-R7の振動板の長さは約5cmほど。そのためPT-R7のインピーダンスは0.026Ωと極端に低い。
このアルミ振動板をそのままアンプの出力端子に接続すれば、ほぼショートしているのに等しい。
そのためインピーダンスマッチング用にPT-R7はトランスを使い、
通常のスピーカーユニットと同じ8Ωに仕上げている。
デッカのDK30、London Ribbon、ピラミッドのT1もトランスを搭載している。

テクニクスの10TH1000にはトランスは、ない。
ADAMのX-ARTドライバー、エラックのJETドライバーにも、トランスはない。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]