2010年ショウ雑感(その4)
“The Sonus faber” を鳴らしていたパワーアンプはソウリューションのモノーラルタイプだったから、
おそらくコントロールアンプもCDプレーヤーもソウリューションだったであろう。
アナログプレーヤーは、トーレンスのTD550だった。
CDのときとアナログディスクのときとでの音の違いは、
ソウリューションのCDプレーヤーとトーレンスのアナログプレーヤーとの音の差によるものだったのか、
それともアナログディスクとCDという、プログラムソース側の特質の差によるものだったか、
どちらなのかを判断することは、あの場ではできない。
それでも、ただ直感だけでいわせてもらえるなら、
CDとアナログディスクの違いによるものが大きいように思っている。
もちろんトーレンスとソウリューションという違いもそこに加わってものだということはわかったうえで、
それでもトーレンスのプレーヤーでアナログディスクを鳴らしているときの “The Sonus faber” は、
楽しい音、と書くよりも、愉しい音、としたほうがぴったりくる。
さきほど聴いたスピーカーとは思えないほど、その表情が違っている。
私が聴くことのできたアナログディスクは2枚でおわった。
そのあと、またCDで鳴らされている。たしかに、これは、さきほど聴いた音である。
何が悪い、というわけではないけれど、アナログディスクでの音を聴いた直後では、
よけいに魅力を感じにくくなっている。<
アナログディスクで鳴っている "The Sonus faber" の音を聴いていて想いだしていたのは、
1980年前後のオーディオの愉しさだった。
なぜだか、あのころのオーディオへのひたむきな気持がよみがえってきたような感じもあって、
「あぁ、これだ!」と心の中でつぶやきながら聴いていた。
それは決して "The Sonus faber" の音が、その当時の音だということではない。
ただ、アナログディスクでの "The Sonus faber" から出てきた音のなにかがトリガーとなって、
そういう気持になっただけのことかもしれない。
さすれば個人的な印象の領域を一歩もでないことゆえに、
読んでくださっている方の参考にはまるでならないことだろう。
それでも......、それだからこそ、今回のショウで聴くことのできた音の中では、
"The Sonus faber" の音がもっとも印象的ではあった。