2010年ショウ雑感(その3)
ノアのブースでは、ソナス・ファベールの “The Sonus faber” が鳴っていた。
ノアのサイトでも、ある個人サイトでも書かれているように、
この、全世界で30セットの限定発売のスピーカーシステムが、
今年のステレオサウンド誌のグランプリに選ばれている。
ショウの前にそのことは知らされていたから、やはり興味は増す。
正直にいうと、最初にブースに入ったとき鳴っていたのは拍子抜けするような音で、
早々に他のブースに移ってしまった。
別にどこが悪いとか、欠陥があるとか、そういう意味合いではなくて、グランプリに選ばれた、ということ、
それに1組2千万円という価格──、これらによって期待度は自然とふくらむ。
そうやって聴くものだから、
それにこれだけのシステムがそう易々と本領発揮という鳴り方をするわけでもなかろう。
そんなことはわかっていても、最初に耳にした、その音は、こちらの勝手な期待には達していなかった。
それに、いままでのソナス・ファベールの他のスピーカーシステムとはやや趣がちがって、
武骨な面も外観に感じられて、同社のスピーカーとしては、やや異色な存在とも感じていたところもある。
それでもぐるっと他のブースを廻ったあとで、ノアのブースの前を通ったとき、ドアが開いて音が聴こえてきた。
さっき聴いた音とはあきらかに、感じが違う。そう感じて、ふたたびノアのブースに入っていた。
最初のときは、椅子に空きがあってもべつに坐って聴こう、とは思わなかった。
今度は、空きを見つけて、さっと坐る。
坐ってすぐに気がついたことは、アナログディスクが鳴っていたということ。
さっき聴いた音は、CDで鳴っていた。