2008年ショウ雑感(その1・余談 鉄について)
鉄は磁性体だから……、と10代のころは、音に悪影響を与えるものであるし、
システムからできるかぎり取り除けるものであるならば取り除いていくべきのだと信じていた。
だからステレオサウンドにはいったころ、
そのころ田舎で使っていたオーディオ機器は持ってこなかったから、
手持ちのオーディオ機器はSMEの3012Rだけだった。
とにかく、この3012Rに似合うターンテーブルをはやくなんとかしたい、と思っていた。
これはいちど書いているけど、トーレンスのTD124の美品があった。
TD124IIだったら、おそらく買っていた。けれど、そのTD124は最初のTD124で、
つまりターンテーブル・プラッターが鉄でできているものだった。
このときはターンテーブル・プラッターが磁性体だと、
マグネットが大きいMC型カートリッジを使うと、カートリッジからの漏れ磁束と鉄の関係から針圧が増えてしまう、
それに磁性体は音を濁すものだという先入観から、購入はあきらめた。
でも、いまはTD124IIよりも、鉄のターンテーブル・プラッターのTD124を聴いてみたい、と思っている。
良質の鉄のターンテーブル・プラッターの、どういう響きをアナログディスク再生に加味するのか。
使うにあたっては、非磁性体のターンテーブル・プラッターのものより気を使うところは出てくるだろうが、
そんなことは、いまはどうでもいいことだと思っている。
だから、いまは、中途半端な先入観をもっていたため、貴重な経験を逃してしまった、と悔いている。