Date: 11月 9th, 2011
Cate: ショウ雑感
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2011年ショウ雑感(余談)

ADAMのColumn MK3はトゥイーターとスコーカーに、
同社がいうところのX-ARTドライバーを採用している。
見てすぐにわかるようにエラックのスピーカーシステムに搭載されているJETドライバーと、ほほ同じものである。

ただしADAMがエラックのJET型を採用した、というよりも、
もともとこのドライバーを開発したのはADAMときいてる。
ところが一時期資金難に陥ったADAMがエラックに、このドライバーを売却したらしい。
だからADAMのほうがオリジナルともいえるのだが、
このドライバー(X-ARTと呼ぼうがJETと呼ぼうが)のオリジナルは、ハイルドライバーである。

オリジナルのハイルドライバーはドイツでは製品化されることなく、
開発者のオスカー・ハイル博士がアメリカに渡りESSで製品化している。
このオリジナルのハイルドライバーとADAMが開発したX-ARTの大きな違いは、
ユニットそのものの厚みである。

ハイルドライバーのオリジナルはフェライトマグネットを4本、
これをX字状に配置して、その中央(交叉点)にひだ(プリーツ)状の振動板ではなく振動膜を置く構造。
そのためどうしてもかなり厚みのあるユニットになってしまう。
これをドーム型ユニット並に薄くすることにADAMは成功している。

今回のショウで気になったのは、
このハイルドライバーをリボン型ユニットの一種として受け取っている人が意外にも多かったこと。
それもしかたのないことかな、とは思っている。
私がオーディオに興味をもち始めた1970年代は、オーディオの雑誌だけでなく技術書が豊富にあった。
ハイルドライバーの動作原理も、それらの本で知り得た。

いま、この手の本が少ない。ハイルドライバーについてきちんと解説してある本はあるのだろうか。
だから、ついリボン型のひとつと間違って受けとめてしまいがちなのだろう。

これがユーザー側であればしかたのないことですむが、
オーディオ関係者の中にもリボン型のひとつとして認識している人が少なくなかったのは、
しかたのないことではすまされない、と思う。

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