Archive for category きく

Date: 7月 22nd, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その17)

7月3日のaudio wednesdayで、カセットテープ、カセットデッキをやる以前は、
カセットのことについて、これだけ書いていけるとは思っていなかった。

しかもまだミュージックテープの再生のことだけである。
カセットデッキとカセットテープは、録音できる器械とメディアだ。
録音については、いまのところ試していない。

録音にはカセットテープが必要になる。
ナガオカからノーマルテープの新製品が登場した。
一度は試してみたいと思うけれど、
やはり一度はメタルテープを試してみたい。

以前書いたように、私が以前使っていたカセットデッキはメタルテープに対応していなかった。
なのでメタルテープを自分自身で使ったことは一度もない。

メタルテープの音は、何度か聴いている。
でもTDKのMA-Rの音は聴いていない。

型番を忘れてしまったが、ソニーからもリファレンス的なメタルテープが登場していた。
こちらも聴いたことはない。

カセットデッキをヤフオク!で手に入れたように、
カセットテープもヤフオク!には、かなりの数出品されている。

未開封のテープも少なくなく、少々驚いている。
それにMA-Rの未開封品につく価格に、また驚く。

MA-Rは、46分テープが1,750円、60分用が2,000円、90分用が2,600円していた。
同じTDKのADの60分用が550円、SAの60分が750円だったのだから、
MA-Rは、というよりもメタルテープはどのメーカーも高価だった。

しかもいまはどこも製造していないのだから、高くなるのはわかる。
それでも高すぎないか、とちょっと思う。
なにせカセットデッキを一万円を切る価格で手に入れることができただけに、
メタルテープが高く感じてしまう。

Date: 7月 20th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その16)

1980年の秋ごろのFM fanに、瀬川先生がカセットデッキについて書かれていた。
     *
 私の考えていたカセットの音質の基準とは、どういうものなのか。
 答えは簡単だ。日常接することのできるFM放送やレコードで、容易に得られる音質と同水準の音。これだけのことだ。
 それだけのこと、には違いないが、しかし、数年前のデッキやテープが、果たして本当に、FMやレコードの優れた音質と同水準にあったと言えるだろうか。私の答えは、むろん「否」だ。
 念のために補足しておくと、例えばFMチューナーなら5万ないし8万円ぐらい。レコードプレイヤーなら、カートリッジと合わせてやはり7~8万円前後。つまりいわゆる「中級機」、あるいはコンポーネントとしてはごく標準的な価格の範囲で入手できるチューナーやプレイヤーで、音質の優れた放送を受信し、また録音の良いレコードをプレイバックしたときに得られる程度の音質を頭に浮かべてみる。そして、それらとほぼ同等の価格のカセットデッキで、録音・再生した際の音質、および、数年前のミュージックテープをプレイバックしたときの音質を、もう一方に置いて比較してみる。
 すると、上記のチューナーやプレイヤーで得られる音質は、仮に(突拍子もない例かもしれないが)JBLの♯4343のような、特性の優秀で鋭敏なモニター・スピーカーで聴いてみても、けっこう、なかなかの音が楽しめる。
 けれど、カセットの音となると、もしもJBL♯4343のようなスピーカーで聴いたとしたら、まず音の強弱の比(ダイナミックレンジ)が押しつまってしまい、音に伸び伸びとした感じの不足することがわかる。また、何となく歪みが多い感じで、再生音に本当の美しさ──聴き手が思わず耳をそば立てるほどの、美しく滑らかで透明な音──が感じとりにくい。テープヒス等の雑音は相当に耳ざわりになる。そこでドルピーを使う。すると、ノイズは耳につきにくくなるが、それとひきかえに、音の鮮明さや輝かしさ、あるいは微妙なディテールのニュアンス、等が失われてしまう。
 7~8万円のカセットの音を、JBLの♯4343で聴くとは、気違いざただ、というのなら、しかし、同じスピーカーで、同じく 7~8万円のチューナーやレコードプレイヤーの音を聴いてみれば(むろん高級機のような緻密で充実感のあるすばらしい音はしないまでも)、価格を考えれば十分に満足のゆく音がするのだから、そういう音を出さないカセットは、やっぱりまだ本当の意味で完成の域に達していない、と、私はがんこに言い張っていたわけだ。
 だから、専門誌などから、カセットのテストをしてみないか、と言われると、「いいよ、だけどおれがテストしたら、カセットについてクソミソに言うが、それでもいいかい?」と聞き返す。当然、編集者は逃げで行ってしまう。
 ともかく、これが数年前のカセットについての、私の感じ方であった。
 しかし、繰り返しになるが、この1~2年(というより、もっと厳密にいえば、ほんの去年の後半あたり以後から)本当の意味で、カセットの音が、FMやレコードの音質と、十分太刀打ちできるようになってきた。
 だから私自身も、この辺でそろそろ、カセットを本気でとり上げてい、い、という考え方に、ようやくなってきた。
 振り返ってみると、カセットテープやデッキの評価については(チューナーやレコードプレイヤーに比べて)、誰もが無意識にハンディをつけて、甘やかしてきたように思う。カセットにしては……、あのテープのトラック幅にしては……、これほど扱いの簡便なテープにしては……、というように。
 だが現実に、ミュージックテープはLPレコードと同じような価格で売られている。それなら、レコードと同程度の音質が保証されなくてはおかしいのではないか?
 そしてLPレコードは、5万円前後のカートリッジなしのプレイヤーに、市価2~3万円程度の良いカートリッジを選んでプレイバックすれば、前述のようにごく高級なスピーカーでさえ、相当に満足のゆく美しい音質が楽しめる。
 FMチューナーにしたって、キー局で注意探く送り出される良質の番組を聴くかぎり、きわめて鮮度の高い音質が保証されている(中継を重ねて劣化した音を聴かされている地域については、改めて問題としてとり上げる必要があるが……)。
 そういう状況に比べて、カセットだけが甘やかされていたのは、少しおかしいのではないだろうか。
 むろん理由はある。カセットは、それ以前に普及しかけていた、そしていまでもプロの現場では主力になっているオープンリールテープに比べて、何となく、簡便型のテープ、という受けとめかたが、専門家の頭の中に根強く残っていたからだ。私自身も、ずいぶん長いこと、その考えを捨てきれずにいた。
 カセットの性能があまりに悪いものだから、結局、この方式には限界があるのだろうか、と、半ば絶望的になりかけてもいた。
 けれど、前述のように、ごく最近のデッキとテープは、そういうハンディなしに、十分の水準に達し始めた、と言える。
 少し前までのカセットデッキに比べて、最近の製品のどこが良くなったのか。まずテープ。少し前までは、巻き始めと巻き終わり近くの1~2分の部分は、リールのクセがついて、音飛びや音のふるえを生じるものがほとんどだった。しかし最近のテープは、リーダーテープの終わった直後から、相当に難しい音を録・再しても、まず大丈夫になってきた。第2に、カセットハーフの精度の向上のおかげで、テープの走行が非常に安定してきた。第3に、音のダイナミックレンジが向上した。相当に強い音を入れても、音の歪みが耳につきにくい。そして音の美しさ。とても透明な感じの、つまり歪みとノイズの少ない音がする。少し前のテープが、何となく汚れっぼい音のしがちだったのに比べて、大変な向上だ。第4に、いまもふれたノイズの減少。
 いろいろのメーカーの各種のテープについては各論をくわしく展開しなくてはとても言いきれないにしても、一応、音楽の録・再を特に考慮した中級以上のテープに関するかぎり、上のことは言えると思う。
 ではデッキの方はどうか。最も目立つのはダイナミックレンジの向上だ。これにはメタルテープの出現が大きな刺激材になっているが、私自身は、クロームやLHテープの時代から、各メーカーの作るアンプの性能に比較してデッキに内蔵された録・再アンプの能力の目立って劣っている点がひどく気になっていた。メタルテープでようやくこの点が検討されたのは、むしろ遅すぎたと言いたい気持ちだ。
 アンプと共に、ヘッドの性能も向上して、結局そのことが、周波数特性やダイナミックレンジや歪みやノイズなど、あらゆる意味での音質の向上に大きく寄与している。むろん、メカニズムの改良による走行のスムーズさ(カセットハーフ側の精度ともあいまって)も大いに音質を向上している。
 細かく書けばまだいろいろあるにしても、ともかく、以上のような理由で、カセットデッキを、私自身の再生システムの中に、常用機としてとり入れようと、一応本気で考え始めたのが、ほんのつい最近のことなのだ。ひとと比べて、ずいぶん遅いスタートだったが、私はどうしても、以前のあのカセットの音質では納得できなかった。
     *
《この1~2年(というより、もっと厳密にいえば、ほんの去年の後半あたり以後から)本当の意味で、カセットの音が、FMやレコードの音質と、十分太刀打ちできるようになってきた》
とある。

私がカセットデッキの普及機を買ったのは、1977年秋ぐらいだった。
私が使っていたアイワのカセットデッキは、
《本当の意味で完成の域に達していない》製品だった、といえよう。

私がカセットテープに感じていた不満の多くは、
1980年からのカセットデッキとカセットテープ、
それも中級クラス以上であれば、かなり解消されていたようだ。

《クロームやLHテープの時代から、各メーカーの作るアンプの性能に比較してデッキに内蔵された録・再アンプの能力の目立って劣っている》、
そういう時代のカセットデッキしか自分用としては使ってこなかった。

そのころのアイワの普及機と直接比較するまでもなく、
ヤマハのK1dは、確かに優秀である。

瀬川先生が《私自身の再生システムの中に、常用機としてとり入れようと、一応本気で考え始め》、
実際にとり入れられたのがヤマハのK1(もしくはK1a)といえよう。

Date: 7月 20th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・「BEM」)

アナログディスクに続いて、カセットテープもブームとはいわれている。
ナガオカが、22日からカセットテープを発売することが、昨日ニュースになっていた。

ノーマルタイプで、60分テープが220円という安さである。
私が中学生のころ、近くの電器店に100円テープが入荷していた。

ブランドは表記してなかった。
中国製だったのかもしれない。
とにかく製品情報が何もなかった。

60分で100円は、安かった。
安かろう悪かろう、とわかっていても、一本買ってみた。
まぁ、ひどかった。

中国では、いまもカセットテープは生産されている。
AliExpressで検索すると、ノーマルテープが表示される。

なので、最初ナガオカがカセットテープを出す、と聞いたときは、
中国製なのかと思ってしまったが、国内生産とある。
四十年前と物価はずいぶんと違ってきているのに、
この価格で利益が出るのか、とちょっと心配にもなるが……。

ナガオカのカセットテープがそこそこヒットしたら、
以前カセットテープを生産していたメーカーも続いてくるのだろうか。

そういえば昨年は「妖怪人間ベム」50周年だった。
つい先ごろ、「BEM」の放送が始まった。

若者が街中で踊っているシーンで、大型のステレオラジカセが登場する。
カセットテープである。

登場人物はスマートフォンを使っているのに、
そのシーンではラジカセというのも、カセットテープがブームになりつつある、といえるからなのか。

Date: 7月 20th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その15)

私がグラシェラ・スサーナのミュージックテープを買っていた1976、77年は、
LPよりもミュージックテープの方が高かった。
3,800円とか3,200円していた。

3,000円を切るミュージックテープは、当時、グラシェラ・スサーナに関してはなかった。
高いなぁ──、と感じていた。

高い割には、テープヒスが多いじゃないか……、
そんなことも、実は思っていた。

ミュージックテープの製作は、手抜きしているんじゃないか、とさえ思ったこともある。

LPよりもミュージックテープが高くなるのは、理解はしていた。
LPはスタンパーを作れば、あとはプレスで大量生産できる。
テープはそうはいかない。

一本のミュージックテープのために一台のデュプリケーターが必要になる。
高速ダビングしているであろうが、それでもそこそこの時間はかかってしまう。
定価が高いのはわかっていた。

それならば、もっとクォリティが高くてもいいんじゃないか、と勝手に思っていた。

でも今回K1dでグラシェラ・スサーナのミュージックテープを聴いて、
単に私の再生環境(テープデッキ)が良くなかっただけだったのかもしれない。
そんなことも思いはじめている。

そのころの普及クラスのカセットデッキは、そういうレベルだった、ともいえるし、
そういえば、と思い出すのは、以前瀬川先生がFM fanで書かれていたことだ。

Date: 7月 20th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その14)

そのころステレオサウンドにはテープサウンドという隔月刊誌があった。
テープに特化したオーディオ雑誌であるから、
ステレオサウンドでは、ナカミチの1000ZXLクラスになると、
カラーページで新製品紹介することはあっても、
新製品のすべてを取り上げることはなかった。

というよりも取り上げる機種はわずか、といってよかった。
なのでステレオサウンドの試聴室で、カセットデッキを試聴したのは、多くはない。

カセットデッキの全盛時代にステレオサウンド編集部にいたにも関らず、
この時期におけるカセットデッキ、カセットテープの推移をほとんど知らない。

だから、いまごろになってヤマハのK1dのS/N比の良さに驚いている。
K1dの後に登場した各社のカセットデッキは、どうだったのか。

K1dクラスのS/N比を実現したいたのだろうか。
単なるカタログスペック上だけでなく、実際に音を聴いた場合にどうだったのか。

K1dは中級クラスのカセットデッキである。
K1dよりも高価なカセットデッキは、当時はいくつもあった。
それらの機種はどうだったのか。

いまごろになってK1dの音を聴いて、
しのころ私が気にしていたテープヒスとはなんだったのか、と考える。
録音アンプの残留ノイズ、再生アンプのノイズが加わっての、
全体としてのテープヒスだったのか。

録音アンプ、再生アンプのS/N比が優れていれば、
テープヒスはさほど気にならないものなのか。

私の乏しいカセットデッキの経験では、はっきりとしたことは言えないが、
それでも小さくないはずである。

Date: 7月 20th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その13)

ステレオサウンドの試聴室でカセットデッキ、カセットテープの音を聴いたのは、
ナカミチの700ZXLが最後である。

それ以降、きちんとした環境でカセットデッキ、テープの音を聴いた記憶はない。
700ZXLの音を聴いた時、ドルビーはかけていた。
テープヒスは少なかった、と記憶している。

テープヒスが気になった、という記憶がないからだ。
ドルビーをかけない音は、つまり聴いてない。
ドルビーをかけない状態でのテープヒスがどのくらいだったのかは、
そしてドルビーのかかっていないミュージックテープを再生した場合のテープヒス、
これがどうなのかは聴いていない。

そのころの私にとっては、ドルビーはかけることが前提だった。
ドルビーによる音への影響はもちろん知っていたし、
ある程度は自分の耳でも確認していた。
それでもノイズが大幅に減ることのメリットは大きかったし、
ドルビーも、登場したころよりも良くなってきている、という話を、
瀬川先生が、熊本のオーディオ店でカセットデッキの試聴の際に話されていた。

この時も、ドルビー使用での試聴だった。

ミュージックテープも、1980年代になってからである、ドルビーが使われるようになったのは。
それまではドルビーはかかっていなかった。

グラシェラ・スサーナのミュージックテープを買ってきて聴いたのは、
ラジカセであった。モノーラルのラジカセである。

テープヒスがけっこう気になった。
その後、アイワの普及クラスのカセットデッキを購入した。

そこでもテープヒスは、気になっていた。
FM放送をエアチェックする際には、必ずドルビーをかけていたから、
グラシェラ・スサーナのミュージックテープもドルビーがかかっていたら……、
何度そう思ったことか。

つまり、グラシェラ・スサーナのミュージックテープを聴いたのは、
ここで一旦終っている。
そしてテープヒスに関しての記憶も、ここでのものがずっと残っていた。

Date: 7月 19th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その12)

41号が初めて買ったステレオサウンドだった。
続く42号は、プリメインアンプの特集だった。

ここでのヤマハのプリメインアンプ、CA1000IIIとCA2000は、
群を抜く優秀性だった。
特にS/N比の高さは、他社のどのアンプもかなわなかった、といえる。

しかもヤマハのアンプのS/N比の高さは、入力ショート時だけではなく、
カートリッジを実装した状態でも、S/N比の高さを維持していた。

入力ショート時では、高S/N比のプリメインアンプは他社製でもいくつかあった。
けれど、そのほとんどがカートリッジ実装状態では、芳しくない。

この時(1977年3月)から、私のなかでは、
ヤマハのアンプはS/N比が、単にカタログスペック上だけでなく、
実際の使用条件においてもそうである、という印象ができあがった。

この二つのプリメインアンプだけではない。
ヤマハの他のプリメインアンプ、コントロールアンプもS/N比はいずれも優秀である。
そんなことはわかりきっていることでもあった。

なのに、今回K1dを聴いて、そのことを思い出していた。
アンプだけでなく、カセットデッキでも、ヤマハはS/N比を優秀性を誇っている。

ステレオサウンド 6号での、
菅野先生がK1dのS/N比にびっくりされたことは忘れていなかった。

それでも実際に自分の耳で確認して、ほんとうにそうだ、と実感している。
k1dが、ナカミチの1000ZXLのように五十万円を超えるカセットデッキだったら、
それほど驚かなかったけれど、K1dは中級機である。

今回聴いたのは、グラシェラ・スサーナのミュージックテープである。
ドルビーはかかっていない。

Date: 7月 19th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その11)

十年以上前、ヤフオク!で、そこそこの価格でアンプを落札した。
写真では、かなり程度は良さそうだった。
説明文もそんなことが書かれていた。

期待して、届くのを待っていた。
開梱して、ずいぶん写真とイメージが違うことに、まずがっかりした。
細部をじっくり見るまでもなく、けっこうくたびれているな、と感じた。

実物を見ることができるわけではないインターネットオークションなのだから……。
それっきりヤフオク!は、思い出したときに眺めて楽しむぐらいがちょうどいい──、
そんなふうにしていた。

そんなことがあったものだから、K1dが到着するまでは、
あれこれおもっていた。
私が予想していたとおりのK1dなのか、それ以下の程度のK1sか、
もしかすると予想よりもいい状態のK1dなのか。

結果は予想していたよりも、ずっと、とまではいかないが、
いい状態のK1dだった。
細かな傷は確かにあるが、全体的に眺めた時にくたびれた印象が、まずないことが嬉しかった。

1981年に登場している。
私のところに届いたK1dがいつごろ製造されたものかはわからないが、
三十数年以上経っているわけで、そんな感じがしなかった。

ヤフオク!で上限を決めて入札するのは、
修理のことを想定しているからだ。

ただ音が出れば、それで満足できる人ならば、
それにふところに余裕のある人ならば、高値で落札するのもいいだろう。

でも、製造されて十年以上経過しているオーディオ機器(特に電子機器)は、
ひどい状態のことも考慮したほうがいい。

今回、私はいい出品者と出会えたからであり、
いい出品者というのは、ヤフオク!の評価高いから、ここでいういい出品者とはかぎらない。

今回のK1dは、私にとって初めてのヤマハのオーディオである。

Date: 7月 18th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その10)

7月3日のaudio wednesdayから、カセットデッキのことが気にかかっていて、
ヤフオク!をほぼ毎日のように眺めていた。

いったい、どの程度のコンディションのカセットデッキが、
どのくらいで購入できるのだろうか。
ヤフオク!には、どんなカセットデッキが出品されているのか──、
そういったことが知りたくて、iPhoneにインストールしたヤフオク!のアプリを眺めていた。

結局、当り前のことなのだが、売れたカセットデッキは出品されているし、
あまり売れなかったであろう、たとえばラックスのカセットデッキはみかけなかった。

なんとしてでも、あのカセットデッキが欲しい、手に入れる、
という強い気持を持っているわけではない。

これまで挙げたいくつかのカセットデッキのなかで、
程度が良くて、価格もほどほどといった虫のよいことが前提としてあった。

完動品といえるコンディションであれば、それなりの価格になるのもわからないわけではないが、
動作品ぐらいのレベルのモノに応札合戦する気はまったくなかった。

上限も決めていた。
その範囲内で落札できるモノ──、
そんなモノが見つかるのか、と思われるだろうが、
結果をいえば、見つかった。

ヤマハのK1dである。
ブラックパネルのK1dだった。

説明文には動作品とあった。
写真では、小さいな傷がないわけではないが、状態は良さそうである。
上限は12,000円と決めていた。

9,500円で落札できた。
送料を含めても、予算の12,000円以内でおさまった。

Date: 7月 18th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その9)

ヤマハのカセットデッキといえば、私にとってはTC800GLである。
マリオ・ベリーニのデザインのカセットデッキは、
中学生の私でも、
他のカセットデッキとははっきりと違うデザインということはわかった。

マリオ・ベリーニはMario Belliniである。
ずいぶん後になって気づくのだが、
作曲家ヴィンチェンツォ・ベルリーニはVincenzo Belliniであり、
カタカナ表記は少し違うものの、二人ともBelliniである。
遠縁だったりするのだろうか。

TC800GLは、類型的になりがちなカセットデッキにおいて、
とにかく光っていた。
似た形態のナカミチのデッキも存在していたけれど、TC800GLは光っていた。

このころのヤマハのカセットデッキの型番はTCから始まっていた。
それがKから始まる型番に変った。

その一号機がK1だったはずだ。
TC800GLからは様変りした。
類型的になったわけだが、それでもヤマハのオーディオ機器らしいパネルである。

目立つことはないし、地味な印象を持っていた。
それにヤマハのカセットデッキの最上級機であるのに、
十万円を切る価格は、優れた製品がほどほどの価格で買えるのはありがたいことなのに、
なんとなく中級機どまりの印象もあったりした。

ヤマハのセパレートアンプ、プリメインアンプはもっと価格帯が上であった。
メカニズム、録音アンプ、再生アンプなどから構成されるカセットデッキが、
これだけの価格ということは、どこかでうまくコストダウンしているに違いない──、
そんなことを思ったりもした。

そんな印象を勝手にもっていただけに、瀬川先生のリスニングルームにも、
菅野先生のリスニングルームにも、K1aかK1dがあることは、ちょっとした驚きだった。

Date: 7月 18th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その8)

ステレオサウンド 50号で、
瀬川先生の「ひろがり溶け合う響きを求めて 私とリスニングルーム」の連載が始まった。

瀬川先生の新しいリスニングルームは、ステレオサウンド以外のオーディオ雑誌でも、
それからしばらくしてから誌面に登場するようになった。

FM fanのカラーグラビアもそのう一つだった。
穴が開くほど見た。

そこにヤマハのK1、カセットデッキがあった。
時期からすればK1aだったかもしれない。

K1かK1aなのか、写真だけでは判断できなかった。
ステレオサウンド 55号、ベストバイの特集で、
カセットデッキのMy Best3として、
テクニクス RS-M88(145,000円)、サンスイ SC-77(73,800円)、
ヤマハ K1a(98,000円)の三機種を挙げられていた。

ステレオサウンド 60号で、
「プロが明かす音づくりの秘訣」が始まった。
一回目は菅野先生で、菅野先生のリスニングルームのアンプ棚にも、
ヤマハのカセットデッキがある。K1dである。

K1aにdbxのノイズリダクションを搭載したモデルである。
60号、270ページに、K1dの写真があり、その下の説明文にはこう書いてある。
《このデッキで初めて録再した時は、ほんとにびっくりしたよ。(カセットとしては)とにかくノイズが少なかった》

菅野先生もヤマハのK1なのか、と思ったことを、いまも憶えている。
K1aもK1dも十万円をぎりぎり超えない。
この時代のカセットデッキとしては中級機ということになろうが、
いいデッキなんだろうなぁ、買うとしたらK1dだな、と思ったのは、
いまから三十八年前である。

Date: 7月 15th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その7)

(その6)へのコメントが、facebookであった。
そこには、80年代末に、憧れのナカミチを手に入れることができた、とあった。

1980年代末、そのころカセットデッキが販売店でどういう扱いをされていたのか、
自分の目で確かめているわけではないが、
おそらく定価からかなり割引いて売られていたのであろう。

だからこそ、(その6)へのコメントであったはずだ。

コメントを読んでいて、私にとっての憧れのカセットデッキは? としばらく考えていた。
なかったなぁ、というのが正直なところである。

アナログプレーヤーであれば、EMTの930st、927Dst、トーレンスのReferenceがそうだった。
アンプにも、同じくらい憧れていたモノがいくつかあった。

学生だったころ、いつかはEMT、いつかはマークレビンソン、
そんなふうに憧れていた時代だった。

けれどカセットデッキとなると、
そういう強い憧れを持たずに、ここまできてしまった。

ルボックスのB710はいいなぁ、と思ったけれど、
930stに感じていた憧れと同じとはいえない。

カセットデッキに夢中になれなかったことを、改めて感じている。

ナカミチのデッキといえば、友人のAさんは、
ハタチ前後のころ、秋葉原にあった光陽電気でアルバイトをしていた。

彼は、ナカミチのDragonを、店でいちばん売った男である。
光陽電気内だけというよりも、全国的にみても、そうとうな数を売っていたみたいだ。

Aさんが商売上手だったからなわけではない、と思っている。
Aさん自身が、ナカミチのDragonに強い憧れを抱いていたからこその売上げだ、と思っている。

Date: 7月 14th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その6)

井上先生が、ステレオサウンド 73号のベストバイにおいて、
カセットデッキの現状について、こんなことを書かれている。
     *
 カセットデッキの高性能化、機能の多様化は、すでに完成期を迎え、オーディオ製品というよりは、プログラムソースのベースとしての必需品的な性格が強くなり、ステレオサウンド的オーディオとは関係のない商品へと進んでいる様子である。
 価格的にも、すでに10万円前半が高級機の上限的な傾向が定着し、カセットテープの高性能化によるクォリティアップという好材料もあって、最下限の音質が向上したため、一段とオートリバース、Wカセットへの方向が促進されるだろう。
     *
73号は1984年冬号である。
ナカミチの1000ZXLは、この時点でも現行製品だったが、
カセットデッキのベストバイではなくなっている。
二十万円以上のカセットデッキのベストバイとして、
B&OのBeocord 9000には岡先生が二点をいれられているが、
これのみ、岡先生だけである。

1000ZXLが登場したころとは、ずいぶんな様変りである。
こういうふうになることは、メーカーならばある程度は予測できたことなのか──、
とも思う。

予測していたメーカー、そうでないメーカー、どちらもあったと思う。
井上先生は、77号のベストバイでは、
《あれほどまでに、全盛を誇っていたカセットデッキが、急激に衰退を示したことは、日の出の勢いを謳歌するCDプレーヤーにとっても、何れは己れの身かな、という一種の警鐘であるのかもしれない》
と書かれている。

77号は1985年、三十四年前のステレオサウンドである。

Date: 7月 14th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その5)

アキュフェーズが、カセットデッキを出していたら、
どんなモノになっていただろうか、と想像するのはけっこう楽しいし、
その音についても、勝手に想像するのもさらに楽しい。

けれどアキュフェーズからはカセットデッキは出なかった。
ナカミチのカセットデッキと肩を並べるモノを出してきたかもしれない。
なぜ、アキュフェーズはカセットデッキを出さなかったのか。

結局は、アンプと同じレベルのアフターサービスの維持が困難だったからではないのか。
アキュフェーズのアフターサービスについては、
ユーザーであればご存知のはず。

ユーザーでなくてとも、アキュフェーズのアフターサービスについて、
悪い話は聞いたことがない。
アキュフェーズはしっかりしている、という話ばかりを聞く。

カセットデッキで、これだけのアフターサービスは無理ではないだろうが、
その分会社への負担は大きくなるだろう。

オーディオの業界では、修理を専門とするところ(人たち)がいる。
そういう人でも、カセットデッキの修理だけはやりたくない、という。
そうでない人もいるだろうが、
カセットデッキの修理はやりたくない、という人の気持はよくわかる。

修理というのは、モノにもよるが大変な作業である。
自分で作ったモノを修理するのではない、
誰かが作ったモノを修理するのは、
修理の対象となる製品を理解していなければ、できないことである。

カセットデッキの修理は、故障の程度にもよるが、
アンプの修理よりも手間も時間も神経も使う作業である。

アキュフェーズがカセットデッキを開発しなかった理由はわからないが、
アフターサービスのことを抜きにしての理由はないはずだ。

Date: 7月 10th, 2019
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その4)

ラックスは、アンプ専門メーカーと、当時はそういえた。
PD121、131といった魅力的なターンテーブルも出していたし、
ブックシェルフ型のスピーカーも出していたけれど、
ラックスはアンプ専門メーカーの色合いが濃かった。

アキュフェーズも、同じくアンプ専門メーカーである。
アキュフェーズはMC型カートリッジAC1を出していたけれど、
CDプレーヤーのDP80+DC81を出すまでは、
チューナー以外の音の入口にあたる機器をてがけていない。

こんなふうにカセットデッキのことを考えたり書いてたりすると、
アキュフェーズは、なぜカセットデッキに手を出さなかったのか、と思う。

ラックスは出した。
アキュフェーズは出していない。

アキュフェーズにも、カセットデッキを開発する技術力はあった、と思う。
アキュフェーズは、ラックスと同じころにカセットデッキを手がけていたら──、
とつい夢想してしまう。

アキュフェーズのアンプを使っていた人の何割かは、
チューナーもアキュフェーズだったのではないだろうか。

メタルテープが登場したころは、FM放送はブームだったし、
エアチェックも流行っていた。

ライヴ放送も、いまよりも多かったように記憶している。
オープンリールデッキで録音する人もいれば、
カセットデッキで、という人もいるわけで、
1970年代後半はカセットデッキで、という人のほうが多かったのではないのか。

この時代、アキュフェーズに、
ユーザーからカセットデッキを出してほしい、という要望は届かなかったのか。

アキュフェーズのチューナーで受信して、アキュフェーズのカセットデッキで録音し、
アキュフェーズのカセットデッキで再生し、
アキュフェーズのアンプで増幅して鳴らす(聴く)──、
そういうことを望んでいたアキュフェーズの使い手は、きっといたはずだ。