カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その8)
ステレオサウンド 50号で、
瀬川先生の「ひろがり溶け合う響きを求めて 私とリスニングルーム」の連載が始まった。
瀬川先生の新しいリスニングルームは、ステレオサウンド以外のオーディオ雑誌でも、
それからしばらくしてから誌面に登場するようになった。
FM fanのカラーグラビアもそのう一つだった。
穴が開くほど見た。
そこにヤマハのK1、カセットデッキがあった。
時期からすればK1aだったかもしれない。
K1かK1aなのか、写真だけでは判断できなかった。
ステレオサウンド 55号、ベストバイの特集で、
カセットデッキのMy Best3として、
テクニクス RS-M88(145,000円)、サンスイ SC-77(73,800円)、
ヤマハ K1a(98,000円)の三機種を挙げられていた。
ステレオサウンド 60号で、
「プロが明かす音づくりの秘訣」が始まった。
一回目は菅野先生で、菅野先生のリスニングルームのアンプ棚にも、
ヤマハのカセットデッキがある。K1dである。
K1aにdbxのノイズリダクションを搭載したモデルである。
60号、270ページに、K1dの写真があり、その下の説明文にはこう書いてある。
《このデッキで初めて録再した時は、ほんとにびっくりしたよ。(カセットとしては)とにかくノイズが少なかった》
菅野先生もヤマハのK1なのか、と思ったことを、いまも憶えている。
K1aもK1dも十万円をぎりぎり超えない。
この時代のカセットデッキとしては中級機ということになろうが、
いいデッキなんだろうなぁ、買うとしたらK1dだな、と思ったのは、
いまから三十八年前である。