カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その4)
ラックスは、アンプ専門メーカーと、当時はそういえた。
PD121、131といった魅力的なターンテーブルも出していたし、
ブックシェルフ型のスピーカーも出していたけれど、
ラックスはアンプ専門メーカーの色合いが濃かった。
アキュフェーズも、同じくアンプ専門メーカーである。
アキュフェーズはMC型カートリッジAC1を出していたけれど、
CDプレーヤーのDP80+DC81を出すまでは、
チューナー以外の音の入口にあたる機器をてがけていない。
こんなふうにカセットデッキのことを考えたり書いてたりすると、
アキュフェーズは、なぜカセットデッキに手を出さなかったのか、と思う。
ラックスは出した。
アキュフェーズは出していない。
アキュフェーズにも、カセットデッキを開発する技術力はあった、と思う。
アキュフェーズは、ラックスと同じころにカセットデッキを手がけていたら──、
とつい夢想してしまう。
アキュフェーズのアンプを使っていた人の何割かは、
チューナーもアキュフェーズだったのではないだろうか。
メタルテープが登場したころは、FM放送はブームだったし、
エアチェックも流行っていた。
ライヴ放送も、いまよりも多かったように記憶している。
オープンリールデッキで録音する人もいれば、
カセットデッキで、という人もいるわけで、
1970年代後半はカセットデッキで、という人のほうが多かったのではないのか。
この時代、アキュフェーズに、
ユーザーからカセットデッキを出してほしい、という要望は届かなかったのか。
アキュフェーズのチューナーで受信して、アキュフェーズのカセットデッキで録音し、
アキュフェーズのカセットデッキで再生し、
アキュフェーズのアンプで増幅して鳴らす(聴く)──、
そういうことを望んでいたアキュフェーズの使い手は、きっといたはずだ。