カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その13)
ステレオサウンドの試聴室でカセットデッキ、カセットテープの音を聴いたのは、
ナカミチの700ZXLが最後である。
それ以降、きちんとした環境でカセットデッキ、テープの音を聴いた記憶はない。
700ZXLの音を聴いた時、ドルビーはかけていた。
テープヒスは少なかった、と記憶している。
テープヒスが気になった、という記憶がないからだ。
ドルビーをかけない音は、つまり聴いてない。
ドルビーをかけない状態でのテープヒスがどのくらいだったのかは、
そしてドルビーのかかっていないミュージックテープを再生した場合のテープヒス、
これがどうなのかは聴いていない。
そのころの私にとっては、ドルビーはかけることが前提だった。
ドルビーによる音への影響はもちろん知っていたし、
ある程度は自分の耳でも確認していた。
それでもノイズが大幅に減ることのメリットは大きかったし、
ドルビーも、登場したころよりも良くなってきている、という話を、
瀬川先生が、熊本のオーディオ店でカセットデッキの試聴の際に話されていた。
この時も、ドルビー使用での試聴だった。
ミュージックテープも、1980年代になってからである、ドルビーが使われるようになったのは。
それまではドルビーはかかっていなかった。
グラシェラ・スサーナのミュージックテープを買ってきて聴いたのは、
ラジカセであった。モノーラルのラジカセである。
テープヒスがけっこう気になった。
その後、アイワの普及クラスのカセットデッキを購入した。
そこでもテープヒスは、気になっていた。
FM放送をエアチェックする際には、必ずドルビーをかけていたから、
グラシェラ・スサーナのミュージックテープもドルビーがかかっていたら……、
何度そう思ったことか。
つまり、グラシェラ・スサーナのミュージックテープを聴いたのは、
ここで一旦終っている。
そしてテープヒスに関しての記憶も、ここでのものがずっと残っていた。