カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その14)
そのころステレオサウンドにはテープサウンドという隔月刊誌があった。
テープに特化したオーディオ雑誌であるから、
ステレオサウンドでは、ナカミチの1000ZXLクラスになると、
カラーページで新製品紹介することはあっても、
新製品のすべてを取り上げることはなかった。
というよりも取り上げる機種はわずか、といってよかった。
なのでステレオサウンドの試聴室で、カセットデッキを試聴したのは、多くはない。
カセットデッキの全盛時代にステレオサウンド編集部にいたにも関らず、
この時期におけるカセットデッキ、カセットテープの推移をほとんど知らない。
だから、いまごろになってヤマハのK1dのS/N比の良さに驚いている。
K1dの後に登場した各社のカセットデッキは、どうだったのか。
K1dクラスのS/N比を実現したいたのだろうか。
単なるカタログスペック上だけでなく、実際に音を聴いた場合にどうだったのか。
K1dは中級クラスのカセットデッキである。
K1dよりも高価なカセットデッキは、当時はいくつもあった。
それらの機種はどうだったのか。
いまごろになってK1dの音を聴いて、
しのころ私が気にしていたテープヒスとはなんだったのか、と考える。
録音アンプの残留ノイズ、再生アンプのノイズが加わっての、
全体としてのテープヒスだったのか。
録音アンプ、再生アンプのS/N比が優れていれば、
テープヒスはさほど気にならないものなのか。
私の乏しいカセットデッキの経験では、はっきりとしたことは言えないが、
それでも小さくないはずである。