カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その7)
(その6)へのコメントが、facebookであった。
そこには、80年代末に、憧れのナカミチを手に入れることができた、とあった。
1980年代末、そのころカセットデッキが販売店でどういう扱いをされていたのか、
自分の目で確かめているわけではないが、
おそらく定価からかなり割引いて売られていたのであろう。
だからこそ、(その6)へのコメントであったはずだ。
コメントを読んでいて、私にとっての憧れのカセットデッキは? としばらく考えていた。
なかったなぁ、というのが正直なところである。
アナログプレーヤーであれば、EMTの930st、927Dst、トーレンスのReferenceがそうだった。
アンプにも、同じくらい憧れていたモノがいくつかあった。
学生だったころ、いつかはEMT、いつかはマークレビンソン、
そんなふうに憧れていた時代だった。
けれどカセットデッキとなると、
そういう強い憧れを持たずに、ここまできてしまった。
ルボックスのB710はいいなぁ、と思ったけれど、
930stに感じていた憧れと同じとはいえない。
カセットデッキに夢中になれなかったことを、改めて感じている。
ナカミチのデッキといえば、友人のAさんは、
ハタチ前後のころ、秋葉原にあった光陽電気でアルバイトをしていた。
彼は、ナカミチのDragonを、店でいちばん売った男である。
光陽電気内だけというよりも、全国的にみても、そうとうな数を売っていたみたいだ。
Aさんが商売上手だったからなわけではない、と思っている。
Aさん自身が、ナカミチのDragonに強い憧れを抱いていたからこその売上げだ、と思っている。