MQAのこと、カセットテープのこと(その1)
テクニクスのSB-F01というスピーカーが、ずっと以前にあった。
手のひらにのるサイズの、
ヘッドフォンのドライバーをアルミ製エンクロージュアに取り付けた、ともいえるスピーカーである。
それゆえヘッドフォン端子に接続して鳴らすこともできるようになっている。
高校生のとき、私も買った。
買った、という人はけっこういる、と思う。
私が買ったSB-F01は、いまでも実家にある、と思う。
いま私の手元にあるSB-F01は瀬川先生の遺品である。
とはいえ毎日鳴らしているわけでもなく、
ここ数年はまったく鳴らしていなかった。
ふと思いついた。
カセットデッキに、SB-F01を接いで鳴らしてみよう、と。
まずカセットデッキのライン出力をSB-F01に入れてみた。
SB-F01は入力を二つもち、ヘッドフォン端子からの信号を受ける場合用に、
インピーダンスを20Ωとした端子も用意されている。
どのくらいの音量が出るのかな、と試してみたら、
やっぱりダメだった。
CDプレーヤーならば2Vの出力をもつが、
カセットデッキは340mVで、インピーダンスもさほと低くない。
蚊の鳴くなような音量しかとれない。
部品箱を探したら、フォーンプラグが見つかったので、
今度はヘッドフォン端子に接続する。
今度は大丈夫である。