日本の音、日本のオーディオ(その29)
この項を書き始めると同時に考えていることがある。
ピアノの音色とは?、である。
われわれはピアノの音を聴けば、それがコンサートでの生の音であっても、
小型ラジオについている貧弱なスピーカーから流れてくる音であっても、
きちんとしたオーディオから流れてくる音であっても、ピアノの音はピアノと認識して、
ヴァイオリンや他の楽器の音は間違える人は、およそいない。
生の音もラジオの音も、オーディオの音も、
聴きようによってはずいぶん違うといえるのに、ピアノの音として聴いている、認識できる。
その一方で、スタインウェイのピアノ、ベーゼンドルファーのピアノ、ヤマハのピアノの音を区別もしている。
スタインウェイのピアノの音はヤマハのピアノからは聴けない、その逆もまた聴くことできない。
どちらもピアノという楽器と認識しているにも関わらず、にだ。
スタインウェイのピアノにはスタインウェイの、
ベーゼンドルファーにはベーゼンドルファーの、
ヤマハにはヤマハの、それぞれの独自の音色がある。
つまり、オーディオ的にこのことを捉えるならば、無色透明なピアノの音は存在しないのか、
こんなことを考えている。