Date: 10月 18th, 2012
Cate: 日本の音
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日本のオーディオ、日本の音(その20)

ソニーのTA-NR10とマークレビンソンML2(No.20)の比較については、
まだまだ、細々と書いていきたいことがあるけれど、
それを全部書いていると、この項がなかなか先に進めなくなるので、このへんにしておく。

TA-NR10とML2(No.20)を比較していくと、
多少強引ではあると自分でも思うのだが、ヤマハのピアノとスタインウェイのピアノの比較と、
どこか通じているものがある、と私は感じている。

ヤマハのピアノには、スタインウェイのピアノやベーゼンドルファーのピアノにある、
聴けばすぐに印象として残る音色の強さ、といったものがない。

ピアノを弾かない聴き手にとって、スタインウェイやベーゼンドルファーのピアノは、
音色の魅力にあふれているようにも聴こえ、それだけヤマハのピアノよりも魅力的に思えてくる。
だから、どこかにヤマハのピアノよりも、スタインウェイ、ベーゼンドルファーのピアノのほうが上、
といつしか思い込んでしまうようになっている。

グレン・グールドがヤマハのピアノを選ぶよりも前に、
カッチェン、リヒテルがヤマハのピアノを、スタインウェイやベーゼンドルファーではなく、選択している。
そういうことも知識としては持ってはいても、
やはりどこかスタインウェイ、ベーゼンドルファーの方が上だと思い込みたい気持がある。

そんな気持があるからこそ、ベーゼンドルファーがスピーカーを発表したとき、心ときめかす。
ヤマハもピアノをつくっているし、スピーカーもずいぶん昔からつくっている。
なのに、ヤマハのスピーカーに対して、ベーゼンドルファーのスピーカーほどの思い入れがもてない。

そこには、ヤマハのピアノの完成度とヤマハのスピーカーの完成度の違いということも関係しているけれど、
ただそれだけのことでもない。

その4)で引用した菅野先生の言葉にもあるように、
欧米文化へのコンプレックスをとおして、ヤマハとスタインウェイをくらべていた可能性がある。
ピアノだけではない、スピーカーに関してもアンプに関しても、である。

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