電源に関する疑問(その26)
電源部を構成する部品は、そう多くはない。
ここでは伊藤先生の349Aプッシュプルアンプの音を聴いたことから出発しているから、
ここでの電源部とは定電圧電源を使用しない、真空管アンプ用の電源を前提としてすすめていく。
定電圧電源にすれば部品点数はすごく増えるものの、
いわゆる非安定化電源ならば、
電源トランス、整流管もしくは整流ダイオード、平滑コンデンサーがあればいい。
電源トランスは磁性体のコアに2つ以上のコイルを巻いたものである。
1次側のコイルがAC電源に接がれ、
2次側のコイルが整流管(整流ダイオード)を経てコンデンサーへと接がっている。
さらに真空管アンプではコンデンサーは出力トランスの1次側のコイルへ、となっている。
つまりコイルとコンデンサーとコイルが並列になっている状態である。
コイルとコンデンサーがあれば、必ずどこかで共振する。
電源トランスの2次側のコイルと平滑コンデンサーとが、
平滑コンデンサーと出力トランス1次側とのコイルとが、共振していると考えていいはず。
共振であれば、そこには共振周波数とQが存在する。
コンデンサーの容量をやみくもに増やすことは共振周波数を下げていくことになる。
そしてレギュレーションをよくするために電源回路のインピーダンスを下げるということは、
Qに関係してくる。つまりQが大きくなるわけだ。
共振周波数とQの具合によって、低音がボンつくとは考えられないだろうか。
こう仮説をたてると、電源回路に直列にはいっている1kΩの抵抗の役割がはっきりしてくる。
これだけ値の高い抵抗をいれることで電源インピーダンスは高くなるけれど、
それゆえにQを抑えることができる。
整流管を内部抵抗の小さな5AR4から内部抵抗の高い274Bに変えることも、
整流管としての5AR4と274Bの内部構造、材質の違いなどの差も音に関係していると同時に、
内部抵抗が高いことによってQが抑えられている、ということも考えられる。