Archive for category ロングラン(ロングライフ)

Date: 2月 13th, 2016
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(信頼性のこと・その4)

NASA、ハンダで連想するものに、アルミットがある。
日本のハンダがNASAに採用にされたということで、当時話題になった。
秋葉原でも売っていたので使ってみた。

そのころ使っていたハンダはアメリカのキースターのモノ。
アメリカにはキースターという優れたハンダがあるのに、NASAが日本製のハンダを採用したということは、
それだけの信頼性がアルミットにはある、そう判断しても間違いではなかった。

当時の、アルミット以外のハンダの製造がどういう状態なのかを、
サウンドボーイの編集長のOさんに聞いていた。
電子機器の信頼性に深く関係してくるハンダが、その程度の製造なのか、とがっかりした。

そういう時期にアルミットは登場した。
期待は大きかった。
いいハンダだ、と思う。

けれどキースターを使い続けた。
理由は、ハンダをやり直す際のことを考えて、だった。

キースターのハンダは、ハンダ付けした部品を取り外すときに、ハンダがきれいに除去できる。
アルミットは、キースターのハンダよりも面倒だった。

アルミットも改良されているだろうし、それに他の人はどう思っていたのかはわからないが、
少なくとも30年ほど前、当時使っていたハンダゴテと私の腕では、
アルミットよりもキースターの方が、部品を交換するのが楽で確実にできた。

でも考え方を変えれば、アルミットのそういう性質は、決してマイナスになるとはいえない。
人工衛星は打上げれば、修理をすることは考えられていない。
ならばハンダ付けのやり直しのしやすさを考慮する必要はない、ともいえよう。

Date: 2月 13th, 2016
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(信頼性のこと・その3)

高信頼性の部品を使ったオーディオ機器が、高信頼性を実現できるかといえば、そうではない。

ときどき、音質最優先を謳い、アクロバティックといいたくなるような配線をやっているアンプが登場する。
そういうアンプを一部の人は高く評価する傾向にあるが、
こと信頼性において、高く評価できるモノだろうか、
そして人に薦められるモノであるだろうか、と疑問をもつことがある。

井上先生から以前聞いたことがある。
試聴が終り、オーディオの雑談の時間になったとき、
ハンダ付けの話題になった。

1980年代の話だから、部品で音が変ることは当然であったし、
ハンダの種類によっても音が変ることも常識になっていた。

アンプ製作においてハンダ付けは欠かせない。
どんなにいいハンダを使い、高信頼性の部品を使っていても、
ハンダ付けがいいかげんであっては、トラブルの原因となり、
信頼性を低下させることにつながる。

ハンダ付けの技術は音と信頼性に関係してくる。

では、部品と部品の結線、ワイヤー同士の結線において、
どういう方法がいちばんいいのか、ということになった。

そのとき井上先生は、NASAのマニュアルには、こう書いてある、といって、教えてくれた。

いまならインターネットの検索を使いこなすことで、NASAのマニュアルを探し出すことはできるかもしれない。
けれど井上先生がNASAのマニュアルについて話してくれたのは1980年代のことだ。
しかもつい最近見たという感じではなく、けっこう前のことのように話された。

どうやってNASAのマニュアルを入手されたのか、そこまで聞かなかった。
井上先生が、そこまで調べられていたことに、正直驚いていた。

Date: 1月 23rd, 2016
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(信頼性のこと・その2)

ヴィシェイ(Vishay)の抵抗のことを知ったのは、無線と実験でだった。
1980年ごろだっただろうか。

ヴィシェイの抵抗もMIL規格だったはずだが、
それだけにとどまらず宇宙開発にも使われている、ということだった。

それまでの一般的な抵抗の形が円筒状で両端からリード線が出ていたが、
ヴィシェイの抵抗は大きく違っていた。
価格も高価だった。

箔抵抗ということもあって、小さな四角形のプレート状であり、リード線は下部から出ていた。
抵抗本体は完全な四角形ではなく、下部の両端に小さな出っ張りがある。

この出っ張りがあることでプリント基板にヴィシェイの抵抗を取りつけると、
プリント基板との間に隙間が出来る。
出っ張りがなければ、抵抗とプリント基板とがくっつくように取り付けられるし、
浮かすことも出来る。

抵抗とプリント基板とをくっつけたほうが、なんとなく安定しそうな気がするが、
実際には小さな出っ張りによって浮かすこと(出っ張りは基板と接触している)で、
ロケット打ち上げ時にかかる高Gに耐えられるということだった。

つまり出っ張りまでプリント基板から浮かして取りつけるのは間違った使い方、
間違ったがいいすぎならば、メーカー指定から外れた使い方ということになる。

当時、このことに関する記事を読んで、高い信頼性の実現のためには、
抵抗体そのものだけでなくパッケージも同じように重要であるだけでなく、
指定された通りの使い方をしなければならないことの大事さを学んだ。

Date: 1月 22nd, 2016
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(信頼性のこと・その1)

1970年代後半、アメリカ製アンプの謳い文句のひとつに、
MIL規格、MILスペックのパーツを使用、というのがあった。

MIL規格とはMilitary Standardのこと。
アメリカの国防総省で制定するアメリカ軍が調達する物資の規格のことである。
抵抗、コンデンサーといった電子部品にも、MIL規格がある。

日本ではプロフェッショナル機器が、時として高く評価されることがある。
アナログプレーヤーでいえばEMTの930st、927Dstがあり、
オープンリールデッキでは、
コンシューマー仕様のルボックスに対してプロフェッショナル仕様のスチューダーがあり、
アメリカ製ではアンペックスやスカーリーなどのプロ用機器の評価は高い。

JBLのスピーカーも、コンシューマーモデルとプロフェッショナルモデルとが用意されることが多かったし、
日本ではプロフェッショナルモデルの方が高く評価されがちでもあった。

物理特性、音が仮に同じであったとしても、
プロフェッショナル仕様ときくと、そこには信頼性の高さと寿命の長さが保証されている──、
そう受け取る人が多かったからであろう。

私もそうだ。
930stに憧れていたのは、音の良さだけではなく、信頼性の高さもあったからだ。

MIL規格の部品も同じように受けとめられていた感がある。
アメリカ軍の仕様を満たしているのだから……、誰だってそう思うだろう。
部品としての精度の高さと高信頼性を併せ持つ部品のように思えた。

それでいて実際のMIL規格がどういうものなのかはまったくしらなかった。

MIL規格の部品を使っているアンプは増えていった。
そうなると今度はアメリカ軍ではなく宇宙開発という謳い文句が出てきた。
つまりはNASAで認められた部品ということである。

Date: 12月 10th, 2015
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(リザイエのこと)

さきほどfacebookで得たばかりの情報である。
リザイエという会社がある。
新しい会社のようだ。

デンマークのスピーカーユニットメーカー、スキャンスピークの輸入元である。
そのリザイエをここで紹介しているのは、輸入業務だけではなく、
オーディオ機器の修理も行っているからだ。

リザイエの匠たち》というページでは、
五人の写真とプロフィールがある。
シュリロ貿易、ハーマンインターナショナル、ヘビームーン、山水電気で、
長年仕事をやってこられたベテランの方々である。

山水電気、ハーマンインターナショナルの名前があることからわかるように、
JBLのスピーカーの修理をやってくれる。

それだけでなく、マークレビンソン、スレッショルド、カウンターポイントといったアンプの修理
SME、ワディアの製品の修理も行ってくる。

もちろんすべての機種の修理ができるわけではない。
製造中止になってかなりの年月が経っているモノもあるし、
すでにメーカーがなくなっているところもいくつかある。
事前に連絡して確認する必要はあるだろうが、これは仕方ないことである。

まだ実績はないに等しい会社ではあるが、
期待できる会社であり、信頼できる会社だと私は思う。

高い技術でオーディオ機器を修理してくれる会社が、こうやって増えていくのはいいことだ。
いいかげんな修理しかできないのに、
完全オーバーホール、オリジナル通りの修理を謳うオーディオ店が少なくないからだ。

なぜ、そんな店がやっていけるのか。
だまされて買う人がいるからだ。
だまされていても、買った人がシアワセならば、第三者の私がとやかくいうことではない。
だが、一人だまされる。だまされた人は、その店を信じきっている。
そうなると、だまされた人を信じている人が、その店にだまされることだってある。

そうやってあくどい商売、いいかげんな商売が成り立ってしまう。
成り立たせてしまう、ともいえる。

Date: 10月 13th, 2015
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・番外)

少し前のことだ。
とあるオーディオ店を覗いてみた。
中古も扱っているから近くを通ったら寄ってみたくなる。

30代後半くらいにみえる店員と客との会話が耳に入ってきた。
客は店員の友人のようだった。
パソコンの画面をみながら、おおよそこんな会話をしていた。

「これ、かっこいい」
「いいでしょう」
「いい、いい、いくらくらいするの?」
「古いモノだから、けっこうボロボロでよければ四万から五万くらいからな」
「それでもいい、欲しい、かっこいいよ、これ」

ここまで聞いていて、いったいどのオーディオ機器のことなのかあれこれ考えていた。
ヒントはあった。
店員の「逆さまなんだけどね」だった。

あっ、あれかと思った。4311のことを話しているんだと気づいた。

「新しいモデル(4312)になって逆さまじゃなくなっているけどね」
「こっち(4311)がいい、かっこいい」

店員の友人である客は、話をきいているとオーディオにはさほど詳しくはなさそうである。
そういう人の心を、4311は瞬間的につかんでしまった。

4312では無理かもしれない。
多くの、4311と同価格帯、同サイズのブックシェルフ型スピーカーでも無理だと思う。

4311というJBLのスピーカーの存在を、あらためて意識した。

Date: 6月 4th, 2015
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(マランツ Model 5)

マランツの真空管パワーアンプModel 5を手に入れた人がいる。
メンテナンスが必要らしい。

マランツの真空管パワーアンプはModel 2、Model 8(B)、Model 9がある。
これらの中でもっともメンテナンスが容易といえるのは、Model 5である。

まずモノーラル仕様ということがいい。
アンプの修理、メンテナンスの経験がない人に、いきなりステレオ仕様のモノはたいへんである。
なぜモノーラルはいいのか。

手本が常にあるからだ。
どちらか一台をまず修理・メンテナンスする。
つまりもう一台は手本として、そこに常にあることになる。
このメリットは、非常に大きい。

ならばModel 9、Model 2でもいいじゃない、と思われるかもしれないが、
Model 9は出力段がパラレルプッシュプルだし、
位相切替えの回路もある。
Model 2もModel 5にはない切替え機能のための配線、スイッチがある。

その点、Model 5はそういったものがない。
もっとも基本的な構成のアンプだけに、教材として適している。

マランツの真空管アンプに限ったことではない。
モノーラル仕様であれば、常に手本があるわけだから、あせらず慎重にやっていけばいい。
大事なのはハンダ付けの腕だ。

自分で直して使うということも、趣味といえよう。

Date: 5月 4th, 2015
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(続々エイブルのこと)

これから先、輸入元、メーカーが修理を受け付けてくれない状況になったら、
エイブルに修理を依頼することだけは、はっきりといえる。

誤解されないように書いておくが、エイブルの修理が完璧というわけではない。
ここでの完璧とは、オリジナル至上主義者が求める完璧である。
とにかくオリジナルと同じ部品で修理してなければ、それだけでクレームの対象とする人は、
他のところに依頼した方がいいだろう、もしくは自分で修理すべきだ。

エイブルのサイト、ブログにも、
部品の代用品がないものは直せない、とはっきりと書いてある。
エイブルは信頼できる修理を行うために、いいかげんな修理は請けない、と私は受け取っている。
とにかくエイブルに修理に出そうと思ったなら、エイブルのサイトをきちんと読んでほしい。

それにモノによってはいくつかの制約が生じることもある。
それに評判がいいようで、修理の依頼がかなりあり、いまでは修理に着手するまでに時間がかかることもある。
だから、修理に出したからすぐに直って戻ってくることを望む人は、他のところがいいだろう。

けれど、他のところと書いているけれど、信頼できる修理を行ってくれるところで、
修理に出した、すぐに直ってくる、なんていうところがあるだろうか。
たまたま空いていてすぐに直してくれることだってある。

けれど確かな技術をもつところであれば、個人ユーザーからの依頼だけでなくオーディオ店からの依頼もある。
いまオーディオ店がどこに修理を依頼しているのか。
それを調べてみれば、どこに出したらいいのかは定まってくる。

だから私はエイブルをすすめている。

Date: 5月 4th, 2015
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(続エイブルのこと)

実を言うと私自身はエイブルに修理を依頼したことはない。
だからエイブルだったら間違いない、と断言することはできない。

けれどエイブルに修理を依頼したことのある知人の話、
エイブルに修理に出したことのある人を知っている人からの話はいくつか聞いている。
みな満足している、ということだった。

修理の技術だけではなく、実際のやりとり、修理費用なども納得のいくものだったと聞いている。
いまのところエイブルに関して、悪い話は聞いていない。

これだけだったら、ここでエイブルの名前を出して書こうとは思わなかった。
けれどエイブルのサイトで現住所を見て、書こうという気になった。

エイブルは最初は所沢だった、と聞いている。
近辺によく似た名前のオーディオ店があるけれど関係はない、とのこと。
その後、エイブルは天草に移転している。

エイブルのトップページには「工房環境の良さから天草に店舗を移し」とある。
これでエイブルは信用できる、と思った。
オーディオとは直接関係のないことで、そう思えるほど天草(熊本県)は実にいいところだ。

私が熊本県出身ということも関係している。
それだけでなく、天草には小学二年の夏休み、長いこと滞在していた。
ひどい喘息だった私は、同じように酷い喘息持ちだった友人と、その夏、天草の喘息学級に参加した。

友人の父親の運転する車に乗って、天草五橋を渡ったときのことは、いまもはっきりと憶えている。
私にとって天草の海が初めて見た海だった。
それまで写真やテレビ、映画などで見ていた海は、こんなにもきれいなのかと子供心に思っていた。
そのためか、私にとっての海は天草の海がつねに基準としてあり、
その後行った福岡の海にはがっかりしたし、東京の海には最初から期待していなかったものの、
それでもこんなに違うのかと思っていた。

環境の良さを求めてどこを選ぶのか。
エイブルは天草を選んでいる。
これは大事なことである、少なくとも私にとっては。

Date: 5月 4th, 2015
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(エイブルのこと)

別項「輸入商社なのか輸入代理店なのか」でも書いてるように、
オーディオ機器の修理の問題に悩んだことのない人は少ないだろう。

愛着のあるオーディオ機器を長く使っている人ほど、
修理をどこに依頼したらいいのか、悩んでいるはずだ。

輸入オーディオ機器で正規代理店での修理に不安がある場合。
本来こんなことはあってはならないはずなのに、
現在ではいくつかの輸入元の修理は問題があるように聞いている。

修理に出して直らないのは問題外なのだが、
中途半端な修理がされ、使っているうちに症状が悪くなることもある。

それに輸入オーディオ機器は日本に輸入元がなくなってしまったブランドもいくつもある。
基本的には元の輸入元に修理に出すわけだが、
輸入をやめて数年ならいいが、けっこうな年月経っていれば受けつけてくれなくなる。

国産オーディオ機器も同じようなものだ。
どんなに古いモノでも修理をしてくれるメーカーもあるが、数は少ない。
どんなメーカーでも製造中止になって数年で受けつけてくれないと思っていた方がいい。

ただそんな場合でも、メールではなく電話で丁寧に頼むことで、
可能な限りという条件つきではあるが、修理をしてくれるメーカーもある。
そういうメーカーでも、モノによって受けつけてくれないことがある。
それはしかたのないことだ。

それに輸入品も国産品も、すでにメーカーがなくなってしまっている場合もある。

こんなふうに、メーカー、輸入元が修理を受けつけてくれない、
もしくはその修理技術に不安がある。
そうなると、自分で修理できる人・場合以外は、修理専門業者に依頼することになる。

ずっと昔はそういう業者も少なかったし情報も乏しかった。
いまは業者の数も増え、インターネットの普及で情報も集めやすい。

とはいえ、どこの業者を選んだらいいのか、と悩むことになる。
ここに出してうまく直らなかったら、別の業者に……。
とんなことをくりかえしていたら、きちんと修理できたモノでも直らなくなる可能性も生じる。
最初から信頼できるところに依頼したい、とほとんどの人が思っているはず。

スピーカーならば、昨年、岩崎先生が愛用されていたエレクトロボイスのエアリーズを依頼したところ、
オーディオラボオガワがある。
このことに関しては「オリジナルとは(あるスピーカーの補修)」に書いている。

ではアンプはどうしたらいいのか、どこに出したらいいのか、とたずねられたら、
エイブルをすすめている。

Date: 2月 19th, 2015
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(アルプス電気の電即納)

日本最大の電子パーツ街といえる秋葉原でも、
昔とはずいぶん違ってきていて、以前ならば苦もなく入手できた部品でも、
いまでは入手困難になっていることもけっこう多い。

そのため以前ならば秋葉原に行き、目的の部品を買ってきて自分で修理をすることも可能だったのだが、
いまでは目的の部品を買うことが場合によって、非常に困難となっている。

この部品さえ手に入れば、このアンプが直せるのに……、という場合がある。
アンプならばボリュウムは摩耗する部品だけに、交換が必要となることも多い。

とはいえ、アンプについている元のボリュウムと同じ規格のボリュウムが手に入るとは限らなくなっている。

今日facebookで、個人ブログへのリンクがあり、
そのリンク先を見てみると、アルプス電気の電即納というサービスについて書かれてあった。

ブログは、サンスイのプリメインアンプAU111についてのものだった。
この方も、別の人のサイトでアルプス電気の電即納を知った、とある。

電即納はアルプス電気の通販サイトなのだが、それだけでなく個人の特註にも応じてくれる。
もちろんすべての特註に応じられるのではないだろうが、リンク先のブログには、
アルプス電気とのメールでのやりとりも載っていて、ボリュウムの仕様変更であれば応じてくれている。

しかも100個単位とかではなく、一個からでも応じてくれる、という、
古いオーディオ機器を自分で直して使う人にとっては、ほんとうにありがたい(助かる)サービスである。

AU111に使われているボリュウムそのものに交換できるわけではない。
その意味ではオリジナル至上主義の人にとって、役に立たないことでしかないだろうが、
そうでない人にとっては、少なくとも同じ規格の部品が手に入る(つくってくれる)ことは、
感謝こそすれ、文句をつけることではない。

アルプス電気の電即納、ながく続けてほしい。

Date: 12月 23rd, 2014
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(オタリ MX5050・その2)

オタリの存在を知ったのは、当時出版されていたサウンドメイトという雑誌だったはず。
カラーグラビアページで紹介されていた、と記憶している。

誰の文章だったのかも憶えていない。
どの機種だったのかもさだかではない。
ただ日本のオープンリールデッキでもっとも信頼性が高いのはオタリだ、と、
その記事は中学生の私に植え付けてくれた。

1981年春に上京して最初に住んだのは三鷹だった。
三鷹から国鉄で一駅、隣の吉祥寺駅で井の頭線にのりかえて、
永福町あたりで山水電気の社屋があらわれたときは、ここがサンスイなんだ、と驚いた。

当時オタリは荻窪にあった(いまも本社である)。
環状八号線沿いにあった。
なにかの用事で荻窪に行った時に、偶然オタリのビルの前を通った。

荻窪にあることは知っていたけれど、住所まで憶えていたわけではなかったので、
山水電気同様、いきなり、目の前にあらわれた、という感じだった。

山水電気のあとだっただけに、意外に小さな会社なんだ、と思ったのを憶えている。
録音機器専門メーカーだから、総合メーカーの山水電気とは規模が違って当然である。

山水電気はなくなり、オタリは健在である。

Date: 12月 23rd, 2014
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(オタリ MX5050・その1)

長野県の松本・安曇野・塩尻・木曽の地元紙の市民タイムスに、
「録音機 40年の生産に幕」という見出しで、
オタリのオープンリールデッキMX5050の最後の一台が生産され、
近くアメリカに出荷されるという記事が載っている。

この記事の写真が、twitterでリツィートされていたのを見た。
正直、寂しい気持になるというより驚いていた。
まだ生産していたことにである。

私のもうひとつのブログ、the re:View (in the past)で、
1960年代後半からのオーディオ機器の広告をスキャンしたものを公開している。
いまやっと1970年分を作業中である。

このころの広告に、カセットデッキはほとんど登場してこない。
テープデッキ関係の約九割はオープンリールデッキである。
数年後にはカセットデッキ、カセットテープに家庭用デッキの主役を奪われるし、
私がオーディオに興味をもちはじめたころはカセットの時代だっただけに、作業しながら、少し意外な気もしている。

オタリは業務用メーカーである。
プロフェッショナル機器のブランドとしては、アメリカのアンペックス、スイスのスチューダーに憧れていた。
同時に日本のメーカーのオープンリールデッキならば、オタリに憧れていた。
特に理由はなかった。

というよりも、オタリの名を知ったころは、それほど詳しかったわけではなく、
なんとなくの憧れであった。

ステレオサウンド別冊のHI-FI STEREO GUIDE ’75-’76をみると、
オタリの製品は、MX5000S、MX5050、MX7000-2Sが載っている。

Date: 10月 7th, 2014
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・その6)

JBLの4310のクロスオーバーネットワークは、これ以上部品を省略することができないまで簡潔な仕様である。
以前にも書いているように、4310(4311以降のモデルも含めて)のネットワークを構成している部品は、
コンデンサーが二つに、レベルコントロール用のアッテネーターが二つである。
コイルは使われていない。

ウーファーはネットワークを必要としない設計である。
スピーカー端子から直接ケーブルが接続されているだけ。
スコーカーも基本的に同様で、高域カットをネットワークでは行っていない。
低域カット用にコンデンサーが一つ直列に入っているだけ。
トゥイーターもスコーカーは同じである。低域カット用のコンデンサーが一つだけ。

これ以上部品点数を減らそうとしても、コンデンサーは省けない。
4310は3ウェイのスピーカーシステムとして、ネットワークは最も簡単なつくりである。

しかも4310では、スコーカーのバックキャビティもない。
ドーム型ならばバックキャビティはなくても問題ないが、
コーン型のスコーカーの場合、ウーファーの背圧の影響を避けるためにバックキャビティを持つ。

4311になってからはバックキャビティがあるが、4310にはない。
大胆な設計だと、感心する。

ネットワークはこれ以上省略できないところで設計し、
スコーカーのバックキャビティもない、という内部に対して、
4310の特徴はフロントバッフルに顕れている。

スコーカー、トゥイーター、バスレフポートは三つまとめてサブバッフルにとりつけられている。
このサブバッフルの形状はウーファーを囲むように弓形になっている。
4311から、このサブバッフルはなくなっている。

Date: 10月 5th, 2014
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・その5)

JBLの4311の前身モデルとして4310がある。
ステレオサウンド別冊「JBL 60th Anniversary」によれば、4310は1968年に登場していることがわかる。

この時は、まだJBLのスタジオモニターであることを表す「4300」のモデルナンバーはつけられていなかった。
同時に登場した4320が、その前身であるD50の型番で発表され、4310はJBL Control Monitorと、型番なしに近い。
どちらも正式に4300シリーズとしての型番が与えられたのは、1971年だ。

4310を担当したエンジニアはエド・メイ。
エド・メイに求められていたのは、
当時スタジオモニターとして標準スピーカーシステムとなっていたアルテックの604の音を模倣することだった、
と「JBL 60th Anniversary」に書いてある。
しかも小さなサイズで、である。

ここでいうアルテックの604とは、いわゆる銀箱のことである。
612と呼ばれた、このスピーカーシステムは、「JBL 60th Anniversary」には、
「少しも正確な(accurate)ではなかったことである。
中域には明らかにピークがあり、高域のレスポンスは著しくロールオフしているからである。」とまで書かれている。

つまり、こういうスピーカーの音を模倣するということは、
4310というスタジオモニターは、正確さを目指したスピーカーシステムではなかった、ということになる。

そして、このスピーカーシステムがJBLのスピーカーの中で、いちばんのロングランモデルとなり、
現在も4312Eが作られ続けれられている。

いわば異端児として生まれた4310だからこそ、生き残っている、ということになるのではないか。