Archive for category ロングラン(ロングライフ)

Date: 7月 1st, 2017
Cate: ロングラン(ロングライフ)

つくもがみ

つくもがみ(付喪神、九十九神)。
長い年月(百年ほど)を経たモノに、神もしくは精霊が宿る、という。

プリミティヴなモノであれば、百年の歳月を経ることもできようが、
オーディオ機器ともなると、アンプもCDプレーヤーなどのデジタル機器はまず無理である。

プリミティヴといえばスピーカーだが、
百年もつかといえば、これもあやしい。

スピーカーよりもプリミティヴなモノとして、
アクースティック蓄音器がある。

ビクターのクレデンザは1925年に登場している。
HMVの#202、#203も、あと十年ほどで百年を迎える。

神が宿るのか。
と思いつつも、付喪神という漢字表記は、
付喪・神と多くの人は見るだろうが、私には付・喪神と映る。

ここにも「喪神」がある。

Date: 2月 12th, 2017
Cate: ロングラン(ロングライフ)

定番(その3)

ラックスのSQ38FD/IIの横幅は47.6cmで、
ウッドケースを脱ぎさったLX38の横幅は44.0cm。
確かにSQ38FD/IIは、現行のLX380の44.0cm(ウッドケースつき)からすれば、
大きいと感じるサイズである。

けれどラックに収まらない、ということはない。
いまどきのラックは横幅48cmのアンプが収まらないのが多い、というのか。

だとしたらアキュフェーズは? と聞き返したくなる。
アキュフェーズのプリメインアンプの横幅は現行製品は46.5cmになっている。
CDプレーヤーのDP750の横幅は47.7cmと、SQ38FD/IIとほぼ同じである。

いまどきのラックには詳しくない。
けれどアキュフェーズのアンプやCDプレーヤーが、
いまどきのラックに収まらない、ということは一度も耳にしていない。

それにラックのサイズにオーディオ機器のサイズを合せるものなのか、という疑問がある。

これを書くにあたり、ラックスの他の製品の横幅を調べてみた。
おもしろいことにLX380だけでなく、コントロールアンプもパワーアンプも横幅は44.0cmに統一されている。

44.0cmに、なにかこだわりがあるのだろうか。
パワーアンプのM900uは、重量48.0kgで、高さ22.4cm、奥行き48.5cmの大型のサイズだ。
それでも横幅は44.0cmである。

全体のプロポーションを崩してまでも、44.0cmの横幅にこだわる理由は、何なのか。
いまのところ見当がつかない。

ラックスはLX380も定番として捉えているのか。
おそらくそうだと思う。
だからこそSQ38Fから続く基本デザインを、LX380でも採用しているのだから。

けれど、そこにズレが生じてしまったように思うのだ。
管球王国のVol.83の傅信幸氏の文章と同じように、受け手とのあいだにズレがある。

Date: 2月 12th, 2017
Cate: ロングラン(ロングライフ)

定番(その2)

定番といえるオーディオ機器をいくつか思い浮べてみてほしい。
私が(その1)で挙げたモノの他にもいくつかあるだろうが、
その中にはアンプは含まれているだろうか。

たとえばサンスイの607、707、907シリーズは何度もモデルチェンジしている。
けれど定番として捉える人もいれば、そうでない人もいるはずだ。
私は後者だ。

AU607、AU707が最初に登場し、
ダイヤモンド差動回路を採用時に、上級機のAU-D907が登場し、
607、707も数字の前にDがつくようになった。

そして限定モデルとしてAU-D907 Limitedが出た。
ここまでは定番となり得るアンプだった。

けれど次のフィードフォワード回路採用の、型番末尾にFのつくモデルから、
定番から外れはじめたように感じた。

ラックスのSQ38はどうだろうか。
1978年に登場したLX38までは、確かに定番といえるアンプだった。

LX38で一旦シリーズは途絶える。
その後、ふたたびシリーズ展開が始まるのだが、
それを以前のように定番と捉えることはできなかった。

いまはLX380があるが、これを定番と捉える人はどれだけいるのだろうか。

管球王国のVol.83の新製品紹介に、LX380が取り上げられている。
傅信幸氏が書かれている。

そこにLX380のプロポーションについての記述がある。
以前のSQ38は横幅があり大きかった。
このサイズのままでは、いまどきのラックには収まらないだろうから、
横幅を短くする必要があった──、そんなふうな説明がなされていた。

こんな説明で納得する人がいるのか。

Date: 2月 12th, 2017
Cate: ロングラン(ロングライフ)

定番(その1)

長期間にわたって売り続けられている製品・商品をロングランとかロングセラーなどという。
オーディオの世界にもロングラン・コンポーネントはある。

オルトフォンのSPU、デンオンのDL103がすぐに浮ぶ。
これらよりも少し新しいところでは、オーディオテクニカのAT33も挙げられる。

スピーカーユニットではフォステクスのFE103がある。
昔はJBLのLE8T、アルテックの755もそうだったけれど、
いまはどちらも製造中止になって久しい。

JBLには4311があった。
4311の後継機として4312があり、昨年70周年記念モデルとして4312SEが出た。

このへんは人によって捉え方が違ってくるのだが、
私の目には4312は4310、4311とは違うスピーカーとしてうつる。
ましてネットワークに変更が加わった4312SEは、4310、4311の流れの外に位置する。

こういうロングランの製品を日本語にすれば、定番だろう。

SPUにしてもDL103にしても、上に挙げたモデルは、
どれもそのメーカーの定番の製品である(あった)。

ここに来て業績が回復しているというニュースがあったマクドナルドは、
少し前までは、ボロボロの会社のような印象で報道されがちだった。

マクドナルドがなぜダメになったのか。
正確なところはわからないが、友人らと話している時にマクドナルドのことが話題になった。
友人らはみな同世代。
10代のころにマクドナルドを初めて食べている世代だ。

みな、あのころのマックはおいしかった、という。
私も東京に出て初めて食べたビッグマックはおいしいと感じた。

それがいつしかおいしいとは感じなくなっていた。
みな同じだった。
年齢も関係しているだろうし、舌も肥えてきたからなのかもしれないが、
それでもあの頃のビッグマックといまのビッグマックは違い過ぎるだろう、とも話した。

記憶のなかだけの比較でしかないのはわかっている。
正確な比較ではない。
それでも、あの頃のビッグマックは、味だけでなく、ボリュウムもあった、
そのボリュウムが、いかにもアメリカの食べ物という印象を与えてもいた。
とみな感じている。

そのボリュウムがなくなってしまったのが凋落の原因だ、と好き勝手に話していた。

ビッグマックはマクドナルドの定番であり、
ビッグマックという定番があの頃のままであったならば……。
マクドナルドの業績の変化は違っていたかもしれない。

もしかするとあの頃のビッグマックといまのビッグマックは、まったく同じなのかもしれない。
けれど変っている、と感じている。

定番が定番にあり続けるためには、まわりの変化に応じての変化が必要であり、
変化を完全に拒否したところでは、定番を定番として維持することはできないのだろう。

Date: 12月 8th, 2016
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(ある記事)

facebookで知った記事
ローカルビジネスのお手本:パナソニック流「街のでんきやさん」のすごい仕事術とは?』を読んで、
以前、この項で書いたことは、いまも健在なのだと嬉しくなった。

この項の(その18)でFORISの購入を、
家族にすすめたけれどダメだった話を書いている。
大型量販店やAmazonからは家電製品を買わないからこそうけられるサービスがある。

それをサービスといってしまうと、ほんとうのところが伝わり難くなってしまうだろうが、
ここでのサービスは、
客が売る側よりも上の立場だから──、という勘違いとは無縁のところでのサービスである。

Date: 9月 20th, 2016
Cate: ロングラン(ロングライフ)

自分で直すために必要なのは……(その2)

修理対象のアンプについているコンデンサーと同規格であることを優先的に探すのであれば、
容量と耐圧によって違ってくるが、秋葉原よりもインターネットの方がすぐに見つかる可能性が高い。

Digi-KeyRSコンポーネンツがある。
こここでなら、おそらく同容量で同耐圧のコンデンサーが見つかる、と思う。

修理されようとしているアンプは、そうとうに古いアンプのようだった。
その時代は、高音質パーツ、オーディオ用パーツなどは使われていなかった。
しかも、その人はコンデンサーのメーカーにはこだわりはなかったようで、
とにかく同容量・同耐圧のコンデンサーであることが重要だった。

このことを含めてわかってきたのは、その人はどうもインターネットをやられていない。
だから秋葉原のパーツ店を廻っていたようだ。

おそらくメーカーにも電話で問い合せられたのだろう。
電話だったから、修理担当の人は、相手がどういうレベルの人なのか、
おおよその見当がついたからこそ、あえて同容量・同耐圧といったのだ、と推測できた。

ここに書いていることは、私の推測がけっこう入っている。
実際は違っているところもあるだろう。
でも、その人は、同容量で耐圧の高いものであれば大丈夫、といわれたであろう。

修理担当者はそう言ったはずだ。
その人は、どのくらい耐圧の大きいものであればいいのか、とさらに訊ねたのではないだろうか。
何Vだったらいいのか、何Vだったらダメなのか。

メーカーの修理担当者から、ことこまかな指定を欲しがっていたのではないだろうか。
電話で話しているうちに、その人のレベルと性格のある部分が修理担当者にはわかってきたはずだ。

私が店先で聞こえてくる話を五分ほど聞いていただけで、
ある程度はその人のレベルがわかってきた。

修理担当者は、だからその人に合う答を返したのであろう。
私が思っているとおりであれば、このメーカーの担当者はきちんと仕事をしている、といえる。

そのメーカーがどこなのかはわかっているけれど書かない。
型番は不明だが、ゲルマニウムトランジスターが使われている、といっていたから、
相当に古いアンプである。

となると同容量・同耐圧のコンデンサーをその人は見つけたとして、
実際に自分でパーツ交換する段になって、また心配になるのではないだろうか。

ゲルマニウムトランジスターということは50年ほど前である。
そのころのコンデンサーといまのコンデンサーは、
同容量・同耐圧ならばサイズがびっくりするほど小さくなっている。

元のコンデンサーはこれだけの大きさがあるのに、
いまのコンデンサーはこんなに小さい。これで大丈夫なのだろうか……と。

Date: 9月 19th, 2016
Cate: ロングラン(ロングライフ)

自分で直すために必要なのは……(その1)

古いオーディオ機器だと、メーカーが修理を受け付けてくれなくなる。
愛着のあるオーディオ機器が修理を必要とするようになったとき、
メーカーが修理してくれなくなったらどうするか。

修理をあきらめるか、修理専門の業者に依頼するか、自分で修理するかのどれかになる。
若いころと違って、50をすぎると、音が出なくなったオーディオ機器は、
修理可能なモノであっても、そのまま手元に置く、という選択もありだ、と思うようになってきた。

人にも動物にもモノにも寿命があるわけだから、
その寿命をまっとうしたモノは、腐っていくわけでもないし、
スペースがゆるせばそのままにしておくのもいい、とも思う。

新品同様に修理するのもいい。
そのまま手元に置いておくのもいい。
どちらもいい、と思うようになってきたのは、歳のせいなのだろうか。

数ヵ月前、秋葉原にパーツを買いに行った。
目的の店には先客がいた。
店の人にあれこれ訊ねていた。

けっこうな声の大きさだったので、話が聞こえてくる。
国内メーカーの古いアンプを自分で修理しよう、としている様子だった。

ただ話していることからすると、電気的な知識はあまりない人で、
おそらく初めてのアンプの修理に挑戦するように思われた。

その人は秋葉原にコンデンサーを探しに来ていた。
なんでもメーカーに問い合せたところ、すでに修理に受けつけていない機種でことわられた。
でも、修理担当の人は、自分で修理するときはどうすればいいのか、アドバイスをしたようだ。

その人は、この容量で、この耐圧のコンデンサーはありませんか、と聞いていた。
その店に来る前にも、秋葉原にあるいくつかのパーツを扱っている店に寄ったけれど、
どこにもなかったそうだ。

その規格(容量と耐圧)のコンデンサーは、いまでは一般的とはいえない。
知識のきちんとした人であれば、代替できる規格のコンデンサーを選択する。

店の人も、容量はそのままで耐圧だけは高いものにすれば、といっていたけれど、
その人は、メーカーから必ず同規格のコンデンサーにしてください、と何度もいわれたから、
同じ規格コンデンサーでなければ困る……、そんな会話がなされていた。

人によっては、不親切なメーカーの修理担当者だと思うであろう。
でも私は、その場にいて、話が耳に入ってきていたから、
その修理担当者が、そのように答えたのもわかるような気がする。

店の人も、私と同じだったのか、
メーカーの方がそういわれたらそうされた方がいいですね、と返事されていた。

店の人も、最初は容量だけ同じにして、耐圧は高いものを、とすすめていた。
けれど相手をしているうちに、考えを少し変えたように感じられた。

Date: 2月 13th, 2016
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(信頼性のこと・その4)

NASA、ハンダで連想するものに、アルミットがある。
日本のハンダがNASAに採用にされたということで、当時話題になった。
秋葉原でも売っていたので使ってみた。

そのころ使っていたハンダはアメリカのキースターのモノ。
アメリカにはキースターという優れたハンダがあるのに、NASAが日本製のハンダを採用したということは、
それだけの信頼性がアルミットにはある、そう判断しても間違いではなかった。

当時の、アルミット以外のハンダの製造がどういう状態なのかを、
サウンドボーイの編集長のOさんに聞いていた。
電子機器の信頼性に深く関係してくるハンダが、その程度の製造なのか、とがっかりした。

そういう時期にアルミットは登場した。
期待は大きかった。
いいハンダだ、と思う。

けれどキースターを使い続けた。
理由は、ハンダをやり直す際のことを考えて、だった。

キースターのハンダは、ハンダ付けした部品を取り外すときに、ハンダがきれいに除去できる。
アルミットは、キースターのハンダよりも面倒だった。

アルミットも改良されているだろうし、それに他の人はどう思っていたのかはわからないが、
少なくとも30年ほど前、当時使っていたハンダゴテと私の腕では、
アルミットよりもキースターの方が、部品を交換するのが楽で確実にできた。

でも考え方を変えれば、アルミットのそういう性質は、決してマイナスになるとはいえない。
人工衛星は打上げれば、修理をすることは考えられていない。
ならばハンダ付けのやり直しのしやすさを考慮する必要はない、ともいえよう。

Date: 2月 13th, 2016
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(信頼性のこと・その3)

高信頼性の部品を使ったオーディオ機器が、高信頼性を実現できるかといえば、そうではない。

ときどき、音質最優先を謳い、アクロバティックといいたくなるような配線をやっているアンプが登場する。
そういうアンプを一部の人は高く評価する傾向にあるが、
こと信頼性において、高く評価できるモノだろうか、
そして人に薦められるモノであるだろうか、と疑問をもつことがある。

井上先生から以前聞いたことがある。
試聴が終り、オーディオの雑談の時間になったとき、
ハンダ付けの話題になった。

1980年代の話だから、部品で音が変ることは当然であったし、
ハンダの種類によっても音が変ることも常識になっていた。

アンプ製作においてハンダ付けは欠かせない。
どんなにいいハンダを使い、高信頼性の部品を使っていても、
ハンダ付けがいいかげんであっては、トラブルの原因となり、
信頼性を低下させることにつながる。

ハンダ付けの技術は音と信頼性に関係してくる。

では、部品と部品の結線、ワイヤー同士の結線において、
どういう方法がいちばんいいのか、ということになった。

そのとき井上先生は、NASAのマニュアルには、こう書いてある、といって、教えてくれた。

いまならインターネットの検索を使いこなすことで、NASAのマニュアルを探し出すことはできるかもしれない。
けれど井上先生がNASAのマニュアルについて話してくれたのは1980年代のことだ。
しかもつい最近見たという感じではなく、けっこう前のことのように話された。

どうやってNASAのマニュアルを入手されたのか、そこまで聞かなかった。
井上先生が、そこまで調べられていたことに、正直驚いていた。

Date: 1月 23rd, 2016
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(信頼性のこと・その2)

ヴィシェイ(Vishay)の抵抗のことを知ったのは、無線と実験でだった。
1980年ごろだっただろうか。

ヴィシェイの抵抗もMIL規格だったはずだが、
それだけにとどまらず宇宙開発にも使われている、ということだった。

それまでの一般的な抵抗の形が円筒状で両端からリード線が出ていたが、
ヴィシェイの抵抗は大きく違っていた。
価格も高価だった。

箔抵抗ということもあって、小さな四角形のプレート状であり、リード線は下部から出ていた。
抵抗本体は完全な四角形ではなく、下部の両端に小さな出っ張りがある。

この出っ張りがあることでプリント基板にヴィシェイの抵抗を取りつけると、
プリント基板との間に隙間が出来る。
出っ張りがなければ、抵抗とプリント基板とがくっつくように取り付けられるし、
浮かすことも出来る。

抵抗とプリント基板とをくっつけたほうが、なんとなく安定しそうな気がするが、
実際には小さな出っ張りによって浮かすこと(出っ張りは基板と接触している)で、
ロケット打ち上げ時にかかる高Gに耐えられるということだった。

つまり出っ張りまでプリント基板から浮かして取りつけるのは間違った使い方、
間違ったがいいすぎならば、メーカー指定から外れた使い方ということになる。

当時、このことに関する記事を読んで、高い信頼性の実現のためには、
抵抗体そのものだけでなくパッケージも同じように重要であるだけでなく、
指定された通りの使い方をしなければならないことの大事さを学んだ。

Date: 1月 22nd, 2016
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(信頼性のこと・その1)

1970年代後半、アメリカ製アンプの謳い文句のひとつに、
MIL規格、MILスペックのパーツを使用、というのがあった。

MIL規格とはMilitary Standardのこと。
アメリカの国防総省で制定するアメリカ軍が調達する物資の規格のことである。
抵抗、コンデンサーといった電子部品にも、MIL規格がある。

日本ではプロフェッショナル機器が、時として高く評価されることがある。
アナログプレーヤーでいえばEMTの930st、927Dstがあり、
オープンリールデッキでは、
コンシューマー仕様のルボックスに対してプロフェッショナル仕様のスチューダーがあり、
アメリカ製ではアンペックスやスカーリーなどのプロ用機器の評価は高い。

JBLのスピーカーも、コンシューマーモデルとプロフェッショナルモデルとが用意されることが多かったし、
日本ではプロフェッショナルモデルの方が高く評価されがちでもあった。

物理特性、音が仮に同じであったとしても、
プロフェッショナル仕様ときくと、そこには信頼性の高さと寿命の長さが保証されている──、
そう受け取る人が多かったからであろう。

私もそうだ。
930stに憧れていたのは、音の良さだけではなく、信頼性の高さもあったからだ。

MIL規格の部品も同じように受けとめられていた感がある。
アメリカ軍の仕様を満たしているのだから……、誰だってそう思うだろう。
部品としての精度の高さと高信頼性を併せ持つ部品のように思えた。

それでいて実際のMIL規格がどういうものなのかはまったくしらなかった。

MIL規格の部品を使っているアンプは増えていった。
そうなると今度はアメリカ軍ではなく宇宙開発という謳い文句が出てきた。
つまりはNASAで認められた部品ということである。

Date: 12月 10th, 2015
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(リザイエのこと)

さきほどfacebookで得たばかりの情報である。
リザイエという会社がある。
新しい会社のようだ。

デンマークのスピーカーユニットメーカー、スキャンスピークの輸入元である。
そのリザイエをここで紹介しているのは、輸入業務だけではなく、
オーディオ機器の修理も行っているからだ。

リザイエの匠たち》というページでは、
五人の写真とプロフィールがある。
シュリロ貿易、ハーマンインターナショナル、ヘビームーン、山水電気で、
長年仕事をやってこられたベテランの方々である。

山水電気、ハーマンインターナショナルの名前があることからわかるように、
JBLのスピーカーの修理をやってくれる。

それだけでなく、マークレビンソン、スレッショルド、カウンターポイントといったアンプの修理
SME、ワディアの製品の修理も行ってくる。

もちろんすべての機種の修理ができるわけではない。
製造中止になってかなりの年月が経っているモノもあるし、
すでにメーカーがなくなっているところもいくつかある。
事前に連絡して確認する必要はあるだろうが、これは仕方ないことである。

まだ実績はないに等しい会社ではあるが、
期待できる会社であり、信頼できる会社だと私は思う。

高い技術でオーディオ機器を修理してくれる会社が、こうやって増えていくのはいいことだ。
いいかげんな修理しかできないのに、
完全オーバーホール、オリジナル通りの修理を謳うオーディオ店が少なくないからだ。

なぜ、そんな店がやっていけるのか。
だまされて買う人がいるからだ。
だまされていても、買った人がシアワセならば、第三者の私がとやかくいうことではない。
だが、一人だまされる。だまされた人は、その店を信じきっている。
そうなると、だまされた人を信じている人が、その店にだまされることだってある。

そうやってあくどい商売、いいかげんな商売が成り立ってしまう。
成り立たせてしまう、ともいえる。

Date: 10月 13th, 2015
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・番外)

少し前のことだ。
とあるオーディオ店を覗いてみた。
中古も扱っているから近くを通ったら寄ってみたくなる。

30代後半くらいにみえる店員と客との会話が耳に入ってきた。
客は店員の友人のようだった。
パソコンの画面をみながら、おおよそこんな会話をしていた。

「これ、かっこいい」
「いいでしょう」
「いい、いい、いくらくらいするの?」
「古いモノだから、けっこうボロボロでよければ四万から五万くらいからな」
「それでもいい、欲しい、かっこいいよ、これ」

ここまで聞いていて、いったいどのオーディオ機器のことなのかあれこれ考えていた。
ヒントはあった。
店員の「逆さまなんだけどね」だった。

あっ、あれかと思った。4311のことを話しているんだと気づいた。

「新しいモデル(4312)になって逆さまじゃなくなっているけどね」
「こっち(4311)がいい、かっこいい」

店員の友人である客は、話をきいているとオーディオにはさほど詳しくはなさそうである。
そういう人の心を、4311は瞬間的につかんでしまった。

4312では無理かもしれない。
多くの、4311と同価格帯、同サイズのブックシェルフ型スピーカーでも無理だと思う。

4311というJBLのスピーカーの存在を、あらためて意識した。

Date: 6月 4th, 2015
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(マランツ Model 5)

マランツの真空管パワーアンプModel 5を手に入れた人がいる。
メンテナンスが必要らしい。

マランツの真空管パワーアンプはModel 2、Model 8(B)、Model 9がある。
これらの中でもっともメンテナンスが容易といえるのは、Model 5である。

まずモノーラル仕様ということがいい。
アンプの修理、メンテナンスの経験がない人に、いきなりステレオ仕様のモノはたいへんである。
なぜモノーラルはいいのか。

手本が常にあるからだ。
どちらか一台をまず修理・メンテナンスする。
つまりもう一台は手本として、そこに常にあることになる。
このメリットは、非常に大きい。

ならばModel 9、Model 2でもいいじゃない、と思われるかもしれないが、
Model 9は出力段がパラレルプッシュプルだし、
位相切替えの回路もある。
Model 2もModel 5にはない切替え機能のための配線、スイッチがある。

その点、Model 5はそういったものがない。
もっとも基本的な構成のアンプだけに、教材として適している。

マランツの真空管アンプに限ったことではない。
モノーラル仕様であれば、常に手本があるわけだから、あせらず慎重にやっていけばいい。
大事なのはハンダ付けの腕だ。

自分で直して使うということも、趣味といえよう。

Date: 5月 4th, 2015
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(続々エイブルのこと)

これから先、輸入元、メーカーが修理を受け付けてくれない状況になったら、
エイブルに修理を依頼することだけは、はっきりといえる。

誤解されないように書いておくが、エイブルの修理が完璧というわけではない。
ここでの完璧とは、オリジナル至上主義者が求める完璧である。
とにかくオリジナルと同じ部品で修理してなければ、それだけでクレームの対象とする人は、
他のところに依頼した方がいいだろう、もしくは自分で修理すべきだ。

エイブルのサイト、ブログにも、
部品の代用品がないものは直せない、とはっきりと書いてある。
エイブルは信頼できる修理を行うために、いいかげんな修理は請けない、と私は受け取っている。
とにかくエイブルに修理に出そうと思ったなら、エイブルのサイトをきちんと読んでほしい。

それにモノによってはいくつかの制約が生じることもある。
それに評判がいいようで、修理の依頼がかなりあり、いまでは修理に着手するまでに時間がかかることもある。
だから、修理に出したからすぐに直って戻ってくることを望む人は、他のところがいいだろう。

けれど、他のところと書いているけれど、信頼できる修理を行ってくれるところで、
修理に出した、すぐに直ってくる、なんていうところがあるだろうか。
たまたま空いていてすぐに直してくれることだってある。

けれど確かな技術をもつところであれば、個人ユーザーからの依頼だけでなくオーディオ店からの依頼もある。
いまオーディオ店がどこに修理を依頼しているのか。
それを調べてみれば、どこに出したらいいのかは定まってくる。

だから私はエイブルをすすめている。