定番(その2)
定番といえるオーディオ機器をいくつか思い浮べてみてほしい。
私が(その1)で挙げたモノの他にもいくつかあるだろうが、
その中にはアンプは含まれているだろうか。
たとえばサンスイの607、707、907シリーズは何度もモデルチェンジしている。
けれど定番として捉える人もいれば、そうでない人もいるはずだ。
私は後者だ。
AU607、AU707が最初に登場し、
ダイヤモンド差動回路を採用時に、上級機のAU-D907が登場し、
607、707も数字の前にDがつくようになった。
そして限定モデルとしてAU-D907 Limitedが出た。
ここまでは定番となり得るアンプだった。
けれど次のフィードフォワード回路採用の、型番末尾にFのつくモデルから、
定番から外れはじめたように感じた。
ラックスのSQ38はどうだろうか。
1978年に登場したLX38までは、確かに定番といえるアンプだった。
LX38で一旦シリーズは途絶える。
その後、ふたたびシリーズ展開が始まるのだが、
それを以前のように定番と捉えることはできなかった。
いまはLX380があるが、これを定番と捉える人はどれだけいるのだろうか。
管球王国のVol.83の新製品紹介に、LX380が取り上げられている。
傅信幸氏が書かれている。
そこにLX380のプロポーションについての記述がある。
以前のSQ38は横幅があり大きかった。
このサイズのままでは、いまどきのラックには収まらないだろうから、
横幅を短くする必要があった──、そんなふうな説明がなされていた。
こんな説明で納得する人がいるのか。