ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・番外)
少し前のことだ。
とあるオーディオ店を覗いてみた。
中古も扱っているから近くを通ったら寄ってみたくなる。
30代後半くらいにみえる店員と客との会話が耳に入ってきた。
客は店員の友人のようだった。
パソコンの画面をみながら、おおよそこんな会話をしていた。
「これ、かっこいい」
「いいでしょう」
「いい、いい、いくらくらいするの?」
「古いモノだから、けっこうボロボロでよければ四万から五万くらいからな」
「それでもいい、欲しい、かっこいいよ、これ」
ここまで聞いていて、いったいどのオーディオ機器のことなのかあれこれ考えていた。
ヒントはあった。
店員の「逆さまなんだけどね」だった。
あっ、あれかと思った。4311のことを話しているんだと気づいた。
「新しいモデル(4312)になって逆さまじゃなくなっているけどね」
「こっち(4311)がいい、かっこいい」
店員の友人である客は、話をきいているとオーディオにはさほど詳しくはなさそうである。
そういう人の心を、4311は瞬間的につかんでしまった。
4312では無理かもしれない。
多くの、4311と同価格帯、同サイズのブックシェルフ型スピーカーでも無理だと思う。
4311というJBLのスピーカーの存在を、あらためて意識した。