ロングランであるために(信頼性のこと・その3)
高信頼性の部品を使ったオーディオ機器が、高信頼性を実現できるかといえば、そうではない。
ときどき、音質最優先を謳い、アクロバティックといいたくなるような配線をやっているアンプが登場する。
そういうアンプを一部の人は高く評価する傾向にあるが、
こと信頼性において、高く評価できるモノだろうか、
そして人に薦められるモノであるだろうか、と疑問をもつことがある。
井上先生から以前聞いたことがある。
試聴が終り、オーディオの雑談の時間になったとき、
ハンダ付けの話題になった。
1980年代の話だから、部品で音が変ることは当然であったし、
ハンダの種類によっても音が変ることも常識になっていた。
アンプ製作においてハンダ付けは欠かせない。
どんなにいいハンダを使い、高信頼性の部品を使っていても、
ハンダ付けがいいかげんであっては、トラブルの原因となり、
信頼性を低下させることにつながる。
ハンダ付けの技術は音と信頼性に関係してくる。
では、部品と部品の結線、ワイヤー同士の結線において、
どういう方法がいちばんいいのか、ということになった。
そのとき井上先生は、NASAのマニュアルには、こう書いてある、といって、教えてくれた。
いまならインターネットの検索を使いこなすことで、NASAのマニュアルを探し出すことはできるかもしれない。
けれど井上先生がNASAのマニュアルについて話してくれたのは1980年代のことだ。
しかもつい最近見たという感じではなく、けっこう前のことのように話された。
どうやってNASAのマニュアルを入手されたのか、そこまで聞かなかった。
井上先生が、そこまで調べられていたことに、正直驚いていた。