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Date: 8月 7th, 2009
Cate: 使いこなし

使いこなしのこと(その10)

The Goldを手にいれたのは、QUADのESLの前のスピーカー、セレッションのSL600を使っていたときなので、
ESLは最初からThe Goldで鳴らしていたわけだ。

このときは気がつかなかったが、好奇心から他のパワーアンプで鳴らしてみたことがあった。
そのとき、この狭い部屋で壁に押しつけるような置き方にもかかわらず、
ESLが、こんなにうまく鳴ってくれていたのは、パワーアンプのおかげ、
つまりThe Goldのおかげ──もちろんそれだけではないのだけれど──が大きかったのだと確認できた。

使いこなしの難しさの要因は、実はパワーアンプにもあるように、そのときから思いはじめている。
ほんとうに優れたパワーアンプを用意できれば、それだけでずいぶんとスタート地点が変わる。
難しさのいくつかが軽減される。これははっきりと言えることだ。

そしてスピーカーに対して、不充分なパワーアンプ(価格的に、という意味ではない)しか用意できなかったときは、
使いこなしの難しさは、ただ増すばかりともいえよう。

Date: 8月 6th, 2009
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その18)

DB1の回路図を見ていて気がついたのは、JBLのコントロールアンプSG520も、
+電源ではなく、−電源を採用していたということだ。
SG520は、−21Vの電圧がアンプ部にかかっている。

トランジスターには、NPN型とPNP型がある。
SG520もDB1も、PNP型トランジスターを主として使っている。
SG520のフォノイコライザーはわずか3石しか使っていないが、すべてPNP型である。
トーンコントロールを含むラインアンプは、6石使用(つまり6段構成)。うち4石がPNP型である。
SG520はオシレーターを内蔵しているが、この回路に使われているのもPNP型である。

SG520と似た回路構成のEMTのフォノイコライザーアンプ155stのイコライザー部は、
やはり3石構成だが、こちらはNPN型のみ使用で、+電源となっている。

+電源のみがいいのか、SG520、DB1+DB2のような−電源のみがいいのか、
それとも±2電源が優れているのかは、簡単に結論が出せることではない。

ひとつの要素だけでアンプ音が決定されるわけではないのは重々承知しているが、
それでもSG520とDB1+DB2が、−電源のみであることは、単なる偶然ではないような気がしてならない。

Date: 8月 5th, 2009
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(その24)

「我々のあいだには、チームプレイなどという都合のよい言い訳は存在しない。
あるとすれば、スタンドプレイから生じるチームワークだけだ」
荒巻大輔の言葉だ。

荒巻大輔とは何者? と思われた方もいるだろう。
インターネットで検索してみると、すぐに出てくるので、ここでは書かない。

この言葉をきいたのは、ずいぶん前だし、そのときも感心したおぼえがある。
それを、いまごろ、ふと思い出したわけだ。
チームプレイとチームワークは似ているようでいて、違うものだ。

それに、結局のところ、スタンドプレイ(単独行動)のみしかないのかもしれない。
ならばチームワークを生むスタンドプレイと、生まないスタンドプレイの違いは、どこにあるのか。

「思いやり」が、そこにあるかないのか違いだと断言する。
「思いやり」のないスタンドプレイには、チームワークは存在し得ない。
そうはっきりと言える。

Date: 8月 5th, 2009
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(その23)

以前はどうだったのだろうか。
想像するしかないが、やはりステレオサウンドにおいて、五味先生の存在は精神的な支柱だったと思う。

それに、一昨日、黒田先生の「憧れが響く」を入力していて考えていたのは、「目的地」についてである。

プライベートにおいて、出されている音の「目的地」はひとりひとり違っていても、
オーディオ評論家として「目的地」は、直接、言葉に出されていないくても、
おそらく共通したものがあったようにも思えてならない。

だから、編集者が黒子でいても(いたからこそ)、うまく機能していったのだろう。
けれど、状況は大きく変化している、変化した。
だから、チームプレイが必要なのかもしれないと考えたわけだ。

だがそれも、精神的なリーダー不在ではうまく機能するとは、とうてい思えない。
では、どうすればいいのか。
ひとつ、思い出した言葉がある。

Date: 8月 5th, 2009
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(その22)

ステレオサウンドが創刊された当時は、人に恵まれていた。
五味康祐、岡 俊雄、岩崎千明、井上卓也、長島達夫、山中敬三、菅野沖彦、
瀬川冬樹、黒田恭一、上杉佳郎(生年順)……。

いまも活躍されているのは菅野先生ひとりになってしまった。
上杉先生も健在だが、オーディオ評論家としての活動は控えられているのではないだろうか。

あからさまに書いてしまえば、いまオーディオ誌に執筆されている方たちと、上記の方たちとでは、
力量も、経験量も違う、というしかない。

だからといってそれを嘆いていても仕方のないことで、「人がいない」というのは言い訳にすらならない。
少なくとも編集者が、これを言ってしまっては、終りである。

ひとりひとりの力が劣るのであれば、協力し合うことで、対処すればいいだけのはなしで、
1対1で勝てなければ、1対複数で向えばいい──、そんなふうに考えていた。

チームプレイがうまく機能するには、監督もしくはリーダーが必要だ、とも……。

こんなことを数ヵ月前までは考えていたし、このことを数人の方に話したこともあった。

Date: 8月 4th, 2009
Cate: the Reviewの入力

the Review (in the past) を入力していて……(その24)

ボリュウムは、ML6LとPAM2は、左右チャンネルで独立している。そのため音量調整のたびに、
ふたつのボリュウムをいじり、音量をぴたり揃えるのに、少しばかり慣れが必要となる。

ML6Lは、専用の木製ケースに収めれば、上下2段に重ねることになるし、
このケースを使わないにしても、ほとんどの場合、やはり2段重ねで使われることが多い。
つまりボリュウムは上下に配置されることになる。
ただこの種のアンプの場合、左右チャンネルを同条件に揃えるという意味からは、
上下に重ねることは、とにかく避けたいのだが……。

PAM2では、左右にすこし離して配置されている。ボリュウム間はML6Lよりも離れているわけだが、
どちらが使いやすいかといえば、人によりけりだろうが、PAM2の配置の方が、まだ操作しやすい。

CA-Xは、その点、日本製アンプらしい、といえる気配りで、ボリュウムそのものは独立しているが、
メカニカルクラッチを組み込むことで、連動させての音量調整も、左右別個の調整も可能にしている。

Date: 8月 4th, 2009
Cate: the Reviewの入力

the Review (in the past) を入力していて……(その23)

クレルのPAM2は、フロントパネルで機械的には結合されているが、左右チャンネルをアンプ部だけでなく、
外付けの電源部、電源コードまで分けている。

コントロールアンプとパワーアンプという違いはあるものの、
マランツの初期のソリッドステートアンプ、♯15のつくりそのものである。
2台のアンプを機械的に結合させステレオアンプとする発想で、
これは1970年代後半に、デンオンから出たPOA1001にも採用されているし、
マランツでも、Sm10で、この手法を受け継ぎ、復活させている。

PAM2以前にも、電気的に、左右チャンネルを徹底的に分離させたアンプは、マークレビンソンのML6L、
スタックスのCA-Xがあるが、それぞれ手法は異る。

ML6Lは、機械的な結合もなく、完全に、アンプ部も電源部も左右チャンネルで独立している。
CA-Xは、アンプ部と電源部をわけた2シャーシー構成で、それぞれ中央に仕切り板を設け、
アンプ部も電源部も、左右チャンネルで対称配置になっている。
電源コードは、ML6LとPAM2は2本だが、CA-Xは1本。

Date: 8月 4th, 2009
Cate: 境界線

境界線(その1)

瀬川先生は、「オーディオABC」のなかで、可聴帯域の20Hzから20kHzまで、こまかくわけて図に示されている。
重低音域(20〜50Hz)、低音域(50〜150Hz)、中低音域(150〜450Hz)、中音域(450Hz〜2kHz)、
中高音域(2k〜4kHz)、高音域(4k〜12kHz)、超高音域(12k〜20kHz)といった感じにわけられている。
括弧内の数字は、私が図から読みとった数値なので、
だいたいこのくらいまで、という程度として受けとっていただきたい。

いま目の前に3ウェイのスピーカーシステムがあったとしよう。
そのスピーカーのウーファーが受持つ帯域が低音で、スコーカーの帯域が中音、トゥイーターの帯域が高音、
そういうふうにもわけることができる。
たとえばヤマハのNS1000Mのクロスオーバー周波数は、500Hzと6kHzだから、
500Hzまでが低音域で、500から6kHzまでが中音域、6kHz以上が高音域ということか。

他のスピーカー、たとえば4ウェイのJBLの4343は、
低音(Low)、中低音(Mid-Bass)、中高音(Mid-High)、高音(High)となり、
それぞれのクロスオーバー周波数は300、1.25k、9.5kHzとなっている。

4343では、300Hzまでが低音域で、300から1.25kHzが中低音域、1.25kから9.5kHzまでが中高音域、
9.5KHz以上が高音域ということになるのだろうか。
そして、ミッドバスとミッドハイのふたつのユニットが受け持つ帯域(300〜9.5kHz)が、
いわゆる中音域ということか。
NS1000Mの中音域と4343の中音域は、4343のほうがいくぶん広いが、ほぼ重なり合っている。

このへんの帯域は、上に書いた瀬川先生の分類では、
中音域と中高音域と足したもの(450〜4.5KHz)に、相当するといえよう。

Date: 8月 3rd, 2009
Cate: 瀬川冬樹, 現代スピーカー

現代スピーカー考(その20)

ステレオサウンド創刊15周年記念の60号の特集は、アメリカン・サウンドだった。
この号の取材の途中で瀬川先生は倒れられ、ふたたび入院された。
この号も手もとにないので、記憶に頼るしかないが、JBLの4345を評して、
「インターナショナルサウンド」という言葉を使われた。

残念なのは、この言葉の定義づけをする時間が瀬川先生には残されていなかったため、
このインターナショナルサウンドが、その後、使われたことはなかった(はずだ)。

インターナショナルサウンドという言葉は、すこし誤解をまねいたようで、
菅野先生も、瀬川先生の意図とは、すこし違うように受けとめられていたようで、
それに対して、病室でのインタビューで、瀬川先生は補足されていた。

「主観的要素がはいらず、物理特性の優秀なスピーカーシステムの、すぐれた音」──、
たしか、こう定義されていたと記憶している。

インターナショナルサウンド・イコール・現代スピーカー、と定義したい。

Date: 8月 3rd, 2009
Cate: the Reviewの入力

the Review (in the past) を入力していて……(その17・補足)

この項の(その17)に、25years_agoさんが、コメントしてくださった。
25years_agoさん、ありがとうございます。

さっそくGoogle Patentsで、検索してみる。
ネルソン・パスの特許を読むことができる。

このなかの、CONSTANT VOLTAGE-CONSTANT CURRENT HIGH FIDELITY AMPLIFIERが、
プロトタイプのステイシス1に採用されたステイシス回路だ。
800Aのバイアス回路の、特許ももちろん公開されている。

ステイシス回路、800Aのバイアス回路については知っていたので、
これらのなかで興味深いのは、ACTIVE LOW FREQUENCY ACOUSTIC RESONANCE SUPPRESSOR である。

ネルソン・パス以外にも、ジョン・カール、ジェームズ・ボンジョルノでも検索してみた。
ジョン・カールの、トランジスターを並列接続使用することでローノイズ化を実現する回路、
ボンジョルノが、The Goldに採用した回路の特許もある。
The Goldに関しては、購入とほぼ同時に回路図も入手していたので、目新しいことはないけれど、
それでも、The Goldの出力段の動作に関しての考察が間違ってなくて、ほっとした。

ただ、この特許は、井上先生からきいた話では、日本の企業に売却しているらしい。

意外だったのは、トム・コランジェロ(正確なフルネームもわかった。Thomas Phillip Michael Colangelo だ)が、
マークレビンソン時代にリボン型スピーカーの、
チェロ時代に、Dクラス・パワーアンプの特許をとっていたこと。

Date: 8月 2nd, 2009
Cate: the Reviewの入力

the Review (in the past) を入力していて……(その22)

クレルも、また、どちらかといえば、パワーアンプを得意としているメーカーだと思うし、
事実、パワーアンプの開発には積極的で、
パワー、規模の異る機種をいつの時代にも用意してシリーズ展開を行なっている。

スレッショルドに比べると、コントロールアンプの、これまで開発された機種数は多いだろうが、
私の個人的印象で、「欲しい」と思ったのは、デビュー作のKSA100とペアになるPAM2だけだった。
もっとも最近のモデルに関しては、聴いていないので、なんともいえないけれど……。

PAM2と、それ以降のコントロールアンプ、たとえばPAM3、PAM5、KRS1、KRS2といった機種のあいだに、
明確な違いがあるのかといえば、むずかしいところだが、
それでもコンストラクションに関しての違いは、はっきりとあると言えよう。

Date: 8月 1st, 2009
Cate: ジャーナリズム, 川崎和男

オーディオにおけるジャーナリズム(その21)

先週発売になったMACPOWERに掲載されている川崎先生の「ラディカリズム 喜怒哀楽」のなかに、
『「予知」と「勘」』という言葉が、ある。

川崎和男の「予知」と「勘」とは、
エリック・ホッファーの「未来を予測する唯一の方法は、未来をつくる力を持つことである」──、
この言葉そのものであり、川崎先生には、その力があるからこそ、と思っている。

「未来をつくる力」こそ、本来、ジャーナリズムの核なのではなかろうか。

エリック・ホッファーは、こうも言っている。
「真の預言者とは未来を見通す人ではなく、現在を読み解き、その本性を明らかにする人である」と。

Date: 7月 31st, 2009
Cate: the Reviewの入力

the Review (in the past) を入力していて……(その21)

CDプレーヤーが登場し、単体のフォノイコライザーアンプが市場に現われはじめたときに、
井上先生と山中先生が指摘されていたことがある。

CD登場以前の日本のコントロールアンプは、フォノイコライザーアンプとラインアンプ、
トータルで音を決めているのに対して、
海外製のコントロールアンプ、とくにアメリカ製のコントロールアンプは、
つねにライン入力の音も試聴を重ねて、音決めされているものが大半だということだった。

つまり国産コントロールアンプは、アナログディスク再生では見事な音を聴かせてくれる機種でも、
ライン入力の音は、ちぐはぐさを感じさせるものが少なからずある、ということだ。
一方、海外のコントロールアンプのなかには、フォノ入力の音は、もうひとつ感心できないもでも、
ライン入力の音となると、俄然魅力を発揮するものがある。

もちろんフォノ入力の音、ライン入力の音、どちらも素晴らしいものが優れたコントロールアンプといえるし、
数は少ないながらも存在していた。

ラインアンプの優秀さがひときわ際立っていたのは、AGIの511(b) だろう。
ブラックパネルの511のライン入力の音は聴いたことがないが、
改良モデルの511bでは、聴く機会があった。ブラックパネルの511で受けた、いい印象がそこにあった。

ということは、日本仕様、日本からの要求ということで、
フォノイコライザーアンプのイコライザーカーヴをいじりすぎていたのかもしれない。
そんな気がしてならない。

SL10も、ライン入力の音を聴く機会があったら……、と、いまは思うしかできない。

Date: 7月 31st, 2009
Cate: the Reviewの入力

the Review (in the past) を入力していて……(その20)

スレッショルドの800Aは、マークレビンソンからML2Lが出るまで、
LNP2Lと組み合わせるのが、憧れだった。
それだけにスレッショルドには、強い関心をもっていたし、そのコントロールアンプにも期待していた。

NS10は聴いたことがないのでなんともいえないが、
SL10は、こちらの期待が一方的に大きくなりすぎていただけに、
何を聴いても、もどかしさを感じてしまう音に、正直、がっかりした記憶がある。

スレッショルドは、というよりも、ネルソン・パスはパワーアンプを得意とするエンジニアだと、
このときから思いこんでしまっている。
ただ、いま思うのは、CDプレーヤーで、ラインアンプの音のみを聴いてみたら、
すこし印象が変化するかもしれないということだ。

SL10を聴いたときは、アナログディスクのみで、
いうまでもないことだがフォノイコライザーアンプ、ラインアンプの両方を通った音を聴いている。

Date: 7月 31st, 2009
Cate: the Reviewの入力

the Review (in the past) を入力していて……(その19)

スレッショルドは、1976年から80年までの4年間に開発したパワーアンプは、
800A、400A、4000 (Custom)、CAS1、ステイシス1、2、3である。
コントロールアンプは、というと、前述したように、NS10とSL10の2機種のみ。

400Aは、800Aのパワー(200Wから100W)、規模をすこし縮小したモデルであり、シリーズ機種と呼べるし、
800Aにかわるパワーアンプとして登場した4000は、すぐに全段カスコード化されて型番末尾にCustomがつき、
同時にやはりカスコード回路を全面的に採用し、NS10のシャーシーの厚みをすこし増した程度の大きさで、
75W+75Wの出力をもつCAS1を出すなどしている。

ステイシス・シリーズのあとに出たSシリーズ、SAシリーズも、パワーアンプはシリーズ展開しているのに対し、
コントロールアンプは、一時期、2機種出していたことをもあったが、
アンプ開発への力の入れ方に、コントロールアンプとパワーアンプとでは、
温度差、といったものを、どうしても感じてしまう。

ステイシス1とペアとなるコントロールアンプを出していれば、違う見方もできただろうが、
ネルソン・パスの関心は、少なくとも、スレッショルド時代は、コントロールアンプよりも、
パワーアンプのほうにつよく向いていたと言っても差し支えないだろう。

それにスレッショルドを退き、パス・ラボラトリーズから、1992年に出した最初のアンプ、
Aleph 0もまたパワーアンプである。