使いこなしのこと(その10)
The Goldを手にいれたのは、QUADのESLの前のスピーカー、セレッションのSL600を使っていたときなので、
ESLは最初からThe Goldで鳴らしていたわけだ。
このときは気がつかなかったが、好奇心から他のパワーアンプで鳴らしてみたことがあった。
そのとき、この狭い部屋で壁に押しつけるような置き方にもかかわらず、
ESLが、こんなにうまく鳴ってくれていたのは、パワーアンプのおかげ、
つまりThe Goldのおかげ──もちろんそれだけではないのだけれど──が大きかったのだと確認できた。
使いこなしの難しさの要因は、実はパワーアンプにもあるように、そのときから思いはじめている。
ほんとうに優れたパワーアンプを用意できれば、それだけでずいぶんとスタート地点が変わる。
難しさのいくつかが軽減される。これははっきりと言えることだ。
そしてスピーカーに対して、不充分なパワーアンプ(価格的に、という意味ではない)しか用意できなかったときは、
使いこなしの難しさは、ただ増すばかりともいえよう。