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Date: 10月 14th, 2013
Cate: ショウ雑感

2013年ショウ雑感(その4)

1981年春から東京で暮すようになった。
とにかく楽しみにしていたのは、瀬川先生に会える機会が圧倒的に増えることであった。

けれど体調を崩されていた瀬川先生の、メーカーのショールームでの定期的なイベントはなかった。
だからこそオーディオフェアを、心待ちにしていた。

オーディオフェアが近づいてきたころに出たオーディオ雑誌には、
フェア期間中のイベント(試聴会)の案内が載っていた。
瀬川先生は、当時ロジャースの輸入元であったオーデックスのブースでやられる。
しかもPM510の試聴である。

これだけは万難を排してでも、と思って楽しみにしていた。
まだフェアまでは二ヵ月ほど待たなければならなかった。

フェアの直近に出たオーディオ雑誌を見た。
なぜかそこには先月号まではあった瀬川先生の名前がなかった。
どうしたんだろう……、また体調を崩されたのか……、とおもうとともに、
瀬川先生に会える機会がなくなったことにがっかりしていた。

瀬川先生に会えるはずだったオーディオフェアが、私にとってはじめてのオーディオフェアになった。

Date: 10月 14th, 2013
Cate: デザイン

オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(ヒンジパネルのこと・その4)

ヒンジパネルのオーディオ機器というと、
資料も何もみずに記憶だけに頼ると、思い出すのは日本のオーディオ機器が大半である。

ヒンジパネルを採用したオーディオ機器は、どれが最初なのかについてはきちんと調べていない。
なのであくまでも私の記憶にあるものだけという条件がついてのことになってしまうが、
JBLのコントロールアンプ、SG520は、早い時期からヒンジパネルを採り入れたデザインであった。

SG520以前に登場したオーディオ機器で、ヒンジパネルのモノはあるのだろうか。

SG520は1964年に登場している。
私はまだ一歳だったから、SG520の登場が与えた衝撃については、文字の上だけで知っているだけである。
瀬川先生も書かれているし、菅野先生も書かれている。

菅野先生がステレオサウンド 50号に書かれた文章を引用しよう。
     *
JBLは、元来一般家庭用の最高級機器のメーカーであって、その卓抜のデザイン感覚によるハイグレイドなテクノロジーの製品化に鮮やかな手腕を見せてくれてきた。このSG520というコントロールアンプは、そうしたJBLの特質を代表する製品の一つで、アンプの歴史の上でも重要な意味を持つ製品だろう。このアンプが作られたのは一九六四年、もう15年も前である。ソリッドステート・コントロールアンプならではの明解・繊細なサウンドは、管球式アンプの多くがまだ現役で活躍していたときに、大きな衝撃を与えたものだ。それまでのソリッドステートアンプは、管球式に対して常に欠点を指摘され続けていた時代であったように思う。おそらく当時、その新鮮なサウンドを、違和感なく魅力として受けとめられた石のコントロールアンプは、このSG520とマランツの7Tぐらいのものだったであろう。そして、その音は現在も決して色あせない。事実、私個人の常用アンプとして、音質面でもSN比の面でさえも、最新のアンプに席をあけ渡さないで頑張っているのである。当時のアンプとしては画期的といえる斬新なデザインは、パネル面に丸形のツマミをツマミを一切持たず、すべて直線的なデザインだ。コンピューターエイジの感覚を先取りした現代センス溢れるものだけに、今でも古さは全く感じさせない。
     *
SG520の衝撃は、音とともにデザインでの斬新さ・新鮮さにあったことが読みとれる。

Date: 10月 14th, 2013
Cate: デザイン

オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(ヒンジパネルのこと・その3)

ヒンジパネルには、その形状、大きさ、配置によって、
大きくふたつに分けられるわけだが、
このふたつにはもうひとつの違いがある。

開けた時のサブパネルの扱いの違いである。

一般的にオーディオ機器に多いシヒンジパネルのタイプは、
フロントパネルの下部に横幅いっぱいのタイプである。

このタイプでは開いた状態で、サブパネルは、いわば垂れ下ったままである。
垂れ下った、という表現は使っていて、あまりいいとは感じていないけれど、
だらしなく斜め下に向っている状態は、
口を開けた状態にも似ているし、何かが垂れ下っている感じにも似ていて、好ましいとは思わない。

これに対して、ヤマハのCT7000、オーレックスSY77に採用されているタイプは、
サブパネルが本体内部に収納される。
完全に収納されてしまうと閉じる時に面倒になるから、
閉じる際につかみやすい(指でおしやすい)ように収納される。
とにかくサブパネルがだらしなく垂れ下っているわけではない。

この開いた状態のサブパネルの扱いの違いは、ささいなことかもしれないが、
デザインの面からみれば、デザイナーの美意識の違いともいえる、と思っている。

Date: 10月 13th, 2013
Cate: デザイン

オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(ヒンジパネルのこと・その2)

たまたま例として挙げたパイオニアのExclusive F3とヤマハのCT7000だが、
ヒンジパネルといっても、このふたつのチューナーではヒンジパネルの扱い方に違いがある。

一般的にヒンジパネルといえば、Exclusive F3のタイプということになる。
つまりフロントパネルの下部に、横幅いっぱいに設けられている。
この手のヒンジパネルは高さはあまりないのも特徴だ。
そのため閉じた状態では、オーディオに関心のない人がみれば、
そこが開いて中にツマミやボタンがあるとは思わないかもしれない。

CT7000のヒンジパネルは少し違う。
CT7000と同じヒンジパネルのオーディオ機器として、
オーレックスのコントロールアンプSY77がある。

横幅はExclusive F3タイプとは違い、短くなる。
その分高さが増していて、その配置も違ってくる。
そして閉じた状態でも、はっきりとそこにサブパネルがあることを使い手にわからせるようになっている。
誰がみても、そこが開くようになっていると思わせるデザインといえる。

中学、高校時代に、あれこれオーディオ機器のスケッチをしていたことは何度書いているとおりである。
欲しいオーディオ機器のスケッチだったり、自分で考えたオーディオ機器のスケッチだったりしたわけだが、
もちろんヒンジパネル付のコントロールアンプのスケッチも描いていた。

私が描いたヒンジパネルは、CT7000、SY77タイプだった。
理由はいくつかあって、大きな理由は薄型のコントロールアンプの場合、
Exclusive F3タイプのヒンジパネルは難しいから、ということだった。

Date: 10月 13th, 2013
Cate: ショウ雑感

2013年ショウ雑感(その3)

オーディオフェアにも、メーカーのショールームにも足を運ばなかった、その人はこういう。
「人の多いところは苦手だ、極力そういう場所は避けたい」
「フェアやショールームで音を聴いたところで、満足に鳴っていた試しがない」

人の多いところが積極的に好き、という人の方がむしろ少ないのではないだろうか。
誰だって人いきれのするところにできれば行きたくない。私だってそうだ。

それでも、そこに行くことで会いたい人に会えるのならば、行くというものだ。
だから、熊本に住んでいた時、片道約一時間バスに揺られて熊本の中心地にまで出て、
それから20分ちかい距離を歩いて、瀬川先生が定期的に来られていたオーディオ店に行っていた。

中心部からオーディオ店までバスももちろんあったけれど、
高校生の小遣いは限られたものだから、少しでも節約したかったから歩けるところは歩いていた。

そういうところにいた私からすると、
東京はなんと交通の便のいいところだろう、と感じていた。

私が熊本にいたころの、そのときの移動距離にかかる時間も短く、
電車も頻繁に来るから時刻表を確かめておく必要もない。
それにかかる費用も、ずっと安い。

それでも行っていたのは、瀬川先生に会えるからである。

Date: 10月 13th, 2013
Cate: 数字

100という数字(補足)

MC型カートリッジで、出力電力が100nWを超えているのはオルトフォンのSPU-Synergyであり、
その出力電力の高さを超えるものは現れないだろう、と書いた後に、
マイソニックのカートリッジの存在を忘れていたことに気づいた。

マイソニックのMC型カートリッジは、
Webサイトのトップページ
「Source(ソース)インピーダンスは低く、出力エネルギーは高く!」と表示されているように、
どのモデルもインピーダンスは確かに低く、出力電圧を二乗して、インピーダンスで割った値は100nWに達する。
出力電力の高いMC型カートリッジばかりである。

マイソニックのことを忘れていたのは、うっかりでもあるし、
マイソニックのカートリッジを聴く機会がなかったこともある。

オルトフォンのカートリッジは、私にとって最初のMC型はMC20MKIIだったし、
その後もいくつものオルトフォンのカートリッジは聴く機会があった。
いわば馴染みのあるカートリッジのブランドであり、存在だから、
カートリッジに関することを書く時でも、すぐに頭に浮んでくる。

マイソニックのことを忘れていた(というよりも頭になかった)のは、そのためである。

マイソニックのカートリッジ、
どういう音を聴かせるカートリッジなのだろうか。

Date: 10月 13th, 2013
Cate: ショウ雑感

2013年ショウ雑感(その2)

現在のオーディオ・ホームシアター展がオーディオフェアと呼ばれていたころ、
オーディオ雑誌でオーディオフェア開催の記事を読むたびに、
東京および東京近郊に住んでいる人はいいなぁ、と思っていた。

熊本と東京では遠すぎる。
学生が小遣いを貯めてオーディオフェアに行ける距離ではない。

とにかく東京で暮らすようになったらオーディオフェアに行く、
10代のころ、そう思っていた。

それに東京はオーディオフェアだけではない。
メーカーのショールームもいくつもある。
そこでは定期的なイベント(試聴会)が行われていて、
このことも地方に住むオーディオマニアにとっては、羨ましいかぎりだった。

東京にずっと住んでいる人にとっては、それが当り前のことであって、
特にありがたいこととは思っていないのかもしれない。

たとえば瀬川先生のファンの人で、
東京生れ、東京育ちにも関わらず、
オーディオフェアにもメーカーのショールームにも行ったことがない、という。
それも、どこか誇らしげに、である。

そんなところには、私は行かない──、そんな人がいた。

行く行かないは、その人の勝手だから、私がとやかくいう筋合いのことではないのだが、
その人が不思議なのは、瀬川先生に会えなかったことを悔しがっていたことだ。

なぜなの? と私は思っていた。
オーディオフェアでも瀬川先生は講演を何度もやられていたし、
ショールームでもいくつかのところで定期的にイベント(試聴会)をやられていた。

その人が住む東京で、これらは開かれていたにも関わらず、
その人は一度も行かずに、瀬川先生が亡くなられてから、
会えなかった……、と悔しがる、その心境が正直理解できなかった。

その人は、簡単に会場まで行けば、そこで瀬川先生と会うことができたにも関わらず、
自分の意志で一度も行かなかったのだから。

Date: 10月 12th, 2013
Cate: 数字

100という数字(その4)

SPU-Synergyは磁気回路にネオジウムマグネットを採用している。

実は、この点もSPUシリーズの乱発とともに気にくわなかったところでもある。
ネオジウムマグネットが強力であることは、
スピーカーユニットに搭載されていることでも知ってはいても、
なんとなく「ネオジウムマグネットは優れた磁石です」という謳い文句を素直に信じられない。

どんな物質にもメリット・デメリットがあるわけだから、
ネオジウムマグネットの良いところばかり喧伝されているのを目にしてしまうと、
なんとなく眉に唾をつけてしまいたくなるところがないわけではない。

そんなわけで、SPU-Synergyの出力電力を計算してみたのは、
登場から一年以上は経っていた、もっとだったかもしれない。

0.5mVの二乗を2Ωで割る。
その値は125nWとなる。

出力電力100nWを超えるカートリッジが、オルトフォンから登場した。
しかもSPUシリーズの中からである。

99nWではなく100nWをはっきりと超えているどころか、
SPUの41.66nWの三倍以上の出力電力という高効率である。

電卓があれば数秒で終る計算なのに、SPU-Synergyが登場した時にやらなかった。
計算していれば、SPU-Synergyに対する見方もずいぶん変っていた。
登場時に気づけたはずのことを、一年以上経ってから気がつく。
何事も先入観はよくない──、このことをあらためて思い知らされた。

今後も、この100nWを超える出力電力は破られないだろう。

SPU-Synergyは、幸いいまも現役のSPUである。
まだまだこれから先も、SPU-Classicとともにずっと作り続けてほしいSPUであるし、
JBLのD130のパートナーとして考えているカートリッジが、このSPU-Synergyである。

高効率同士の変換器の組合せから得られる「音」がきっとあるはずだと信じているからだ。

Date: 10月 12th, 2013
Cate: 数字

100という数字(その3)

オルトフォンのSPUは、MC型カートリッジの中でも出力電圧は低い部類となる。
けれど出力電力となると、一転して非常に高い、といえる。

ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIESの2号に長島先生が、
カートリッジの出力電力について書かれた文章を読んでから、ずっと望んでいたことがある。
それは出力電力がSPUの二倍以上の100nWを超えるモノが登場することである。

出力電力の計算は難しいものではないから、
出力電圧がある程度高くて、インピーダンスが低いMC型カートリッジが出てきた時には計算していた。
なかなか100nWに達するモノは出てこないばかりか、
SPUに匹敵するカートリッジすら、そう多くはない、というのが実情だった。

出力電力100nWに達する(超える)カートリッジは、望めないのか……。
そのことを忘れかけていたころ(2006年)に、
オルトフォンからSPU-Synergyが登場した。

数あるオーディオ機器のなかで最も息の長いSPUだが、
SPU-Goldの登場以降、実に様々なSPUが登場した。

SPUには関心の高かった私だったが、さすがにそれは乱発としか思えなかったし、
SPU-Classicを製造しつづけてくれれば、それで充分だ、と思い始めていた。

そんなふうにSPUを見ていた時に、SPU-Synergyは登場した。
SPUとしては、過去最大の出力電圧0.5mVを実現していながらも、インピーダンスは2Ωである。
すぐに計算していれば気がついたことなのに、
この時はそんな感じだったため、計算することをしなかったばかりか、
SPU-Synergyにさほど興味を抱くこともなかった。

Date: 10月 12th, 2013
Cate: 数字

100という数字(その2)

数字はおもしろいし、やっかいだとも思う。
100という数字にしても、
100dB/W/mと99dB/W/mとのあいだに歴然とした差が存在するわけではない。
そんなことは頭ではわかっていても、心情的・感覚的には99dBよりも100dBは、
はっきりと大きな数字として印象に残る。

重量にしてもそんなところがある。
スピーカーシステムの重量として、99kgと100kgと表示されているのがあれば、
100kgの方が実際に重いわけなのだが、それ以上の開きを感じることもある。

実際に持ち上げようとしてみて、99kgと100kgの違いをはっきりと感じとれるわけはないだろう。
それでも、桁がひとつ増える100という数字は、単なる数字とは割り切れない何かを感じている。

100という数字が、そんなふうに作用するカタログ上の項目では、他にはS/N比がある。
私が、ひとつ100という数字に注目している項目に、カートリッジの出力電力がある。

出力電圧はカタログに載っているが、出力電力はまず載っていない。
だから出力電圧とインピーダンスから算出することになる。

カートリッジの出力電力については、別項でふれている。
出力電圧の二乗を負荷インピーダンスで割った値が出力電力となる。

出力電圧が高いMM型は、出力電力ではMC型よりもずっと低くなる。
MC型でもハイインピーダンス型よりもローインピーダンス型の方が、
電力ということに関しては有利になることが多い。

別項で例にあげているオルトフォンのSPUだと、41.66nWとなる。
シュアーのV15 TypeIIIの出力電力は0.2606nWと、かなり低い。

Date: 10月 12th, 2013
Cate: ショウ雑感

2013年ショウ雑感(その1)

昨日(11日)から、ハイエンドショウが始まった。
18日からは、オーディオ・ホームシアター展が始まる。
ジャンルがヘッドフォンに限られるが、ヘッドフォン祭りが、26日から始まる。

そして11月にはいれば、2日からインターナショナルオーディオショウが始まる。

秋のオーディオショウの季節が到来した、といえる。

以前はハイエンドショウとインターナショナルオーディオショウは同じ日程で、
会場も交通会館と東京フォーラムと接近していたため、
両方に行く人は多かったはずだ。

いまは開催時期が違う。
そのためインターナショナルオーディオショウには行くけれど……、という人もいよう。
それにインターナショナルオーディオショウは行くけれど、
オーディオ・ホームシアター展は行かない、という人もいることだろう。

おそらく、このブログを読んでくださっている人の多くは、
インターナショナルオーディオショウには行くけれど(もしくは行きたい)……、という人だろう。

ハイエンドショウは、インターナショナルオーディオショウと比較すれば、
あれこれ言いたくなるのはわからないわけではない。
中には、行く価値はない、とまで決めつけている人もいる。

なにもこれはハイエンドショウだけに限らず、
インターナショナルオーディオショウに対しても、そんなふうに決めつけている人はいる。

所詮ショウなんだよ、とか、あんな環境では……、とか、
そんな人はあれこれ言う。

私にしてみれば、なぜ、行かない理由をあれこれ言う必要があるんだろうか、と思ってしまう。
行きたくなければ黙っていればいいじゃないか。

それに実際に行けば、会場に入れば、
何がしかの楽しさは、きっとあるし、何も見つけられないのであれば、
そこでのショウの内容が、その人のレベルよりも低いからなのではなく、
別のところに理由はある、と言いたい。

Date: 10月 12th, 2013
Cate: 数字

100という数字(その1)

このへんは世代によって違うのかもしれないし、
同世代でも私と同じような印象を持っている人が多いのかそれとも少ないのか、
はっきりとはわからないものの、
少なくとも私は、カタログに載る項目で、100という数字、もくしは100を超える数字を見つけると、
なんとなく嬉しくなる気持がある。

たとえばスピーカーの出力音圧レベル。
いまや90dB/W/mでも、比較的能率が高いと認識されているけれど、
やはり私にとっての高能率スピーカーといえば、出力音圧レベルが100dBを超えているモノである。

99dBでも、充分高能率ではある。
100dBと99dBの差はわずか1dB。
99dBでも、ほとんど100dBといってもいい、とは私だって思っている。

それでも、やはり99dBと100dBの、わずか1dBの差は決して小さくはない差である。

100dB/W/mというのは、
なにかひとつレベルを超えた、という感じもあるし、
ひとつの境界線という印象も持っている。

100という値は、パワーアンプの出力に関しても、同じ印象を持っている。
いまでこそ、以前では考えられなかった大出力が安価で、しかも安定性も高く得られる状況からすれば、
100Wの出力は、決して大きくはない。

これに関してはスピーカーの出力音圧レベルとは反対の状況にあるわけだが、
そうであっても、プリメインアンプの出力が100W+100Wを超えていると、
少なくとも1970年代後半からオーディオをやっている者にとっては、やはり大出力の実現であった。

パワーアンプでは100Wを超える出力をもつモノは一般的になっていたけれど、
A級動作で100Wを実現、もしくは超えた出力をもつアンプが登場した時は、
ついにA級動作でも100W、という感慨に近いものがあった。

Date: 10月 11th, 2013
Cate: デザイン

オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(ヒンジパネルのこと・その1)

いつからヒンジパネルがアンプやチューナーに採用されるようになったのか。
私がオーディオに興味をもった1976年には、
すでにヒンジパネルをとりいれているオーディオ機器は珍しくはなかった。

ヒンジパネルは、ウッドケースとともに普及機と高級機との差別化のために利用されていた印象もある。

ヒンジパネルがあるアンプやチューナーでは、
ヒンジパネルを閉じていれば、フロントパネルは実にすっきりする。

私がいま所有しているオーディオ機器では、
このヒンジパネルをもつモノはパイオニアのExclusive F3だけである。
このExclusive F3はヒンジパネル内に六つの小さなツマミ(ボタン)がある。
ヒンジパネルを閉じていれば、ツマミはチューニング用のツマミだけ、というすっきりぶりである。

ヤマハの同価格帯のチューナー、CT7000もヒンジパネルをもち、
ヒンジパネルを閉じた状態ではチューニング用のツマミと電源スイッチのレバーだけである。

ヒンジパネルを閉じた時のすっきりした感じの見事さは、
Exclusive F3よりもCT7000の方が上である。

アンプでもチューナでも、ヒンジパネル内には、使用頻度の低いツマミやボタンがおさめられている。
CT7000にしても、Exclusive F3にしても頻繁に触れ動かすのはチューニング用のツマミであり、
その意味ではヒンジパネルは閉じていても、特に使用上の不都合はあまり感じない。

ただExclusive F3の電源スイッチはヒンジパネルの中にあるので、
使うたびに毎回開け閉めをする必要はある。

Date: 10月 11th, 2013
Cate: オーディオ評論

「新しいオーディオ評論」(その3)

無線と実験、ラジオ技術にも新製品紹介のページはある。
無線と実験は巻頭のカラーページをあてているから、ラジオ技術よりも新製品紹介に力を入れている、といえよう。

ラジオ技術の新製品紹介は、ページ数が少ない。紹介される機種数もわずかである。
書店売りをやめる前からラジオ技術に載る広告の量は少なかった。
新製品紹介のページが少ないということは、このこととも関係があるはずだ。

この二誌は、数年間、新製品がどこからもまったく登場しない状況になったとしても、
特に誌面づくりに困ることはないだろう。

基本的にはどちらも技術誌であり、自作記事、それに関連する記事がメインであるからである。

だがこの二誌以外のオーディオ雑誌は、ありえない話とは言え、
もしそんな状況になってしまったら、どういう誌面をつくっていくのだろうか。

まず新製品がまったく登場しなくなれば、多くのオーディオ雑誌が年末の号で行っている賞、
それぞれに名称がつけられているが、ほぼすべてなくなることだろう。

これだけでも大きな変化である。
月刊誌ならば、賞の号は12冊出るうちの一冊だが、
季刊誌にとっては4冊のうちの一冊であり、大きな変化はより大きな変化となってくる。

新製品が登場しなくなれば、ベストバイにしても毎年やる必要があるだろうか。

ひとつひとつ具体的には書かないけれど、
オーディオ雑誌がこれまでやってきた企画を、
もし新製品がまったく登場しなくなったら、という視点から見てみると、
それらの記事が成立するための条件がはっきりとしてくる。

つまりは、無線と実験、ラジオ技術の二誌はオーディオ評論の割合が低いから、
特に大きな変化とはならないのに対し、
この二誌以外のオーディオ雑誌は、いわゆるオーディオ評論によって成り立っている、ともいえるし、
そのオーディオ評論、あえて、ここでは現在のオーディオ評論と限定するけれど、
オーディオ評論とはいったい何なのか、の問いを書き手、編集者だけでなく、読み手にもつきつける。

Date: 10月 10th, 2013
Cate: 測定

FLEXUS FX100(その1)

昨日、こういう製品が出ているのを知った。
NTi AUDIOFLEXUS FX100という、測定器である。

NTi AUDIOでは、FLEXUS FX100をアナログ&デジタルオーディオアナライザーと呼んでいる。
FLEXUS FX100の詳細については、NTi AUDIOのページを参照して欲しいし、
YouTubeには、FLEXUS FX100に関する動画が公開されている。

こういう機器が、いつのまにか登場していたのか、と思っていた。
これまでオーディオ機器の測定は、アンプにしてもスピーカーにしても、
一台の測定器ですむわけがなく、いくつも測定器を揃える必要があった。
それだけでもけっこうな金額になるし、場所だって必要となる。

メーカーならばいざ知らず、個人できちんとした、といえるレヴェルの測定器を揃えるのは、
けっこう面倒なことといえる面もあった。

測定器はオーディオマニアにとって、絶対に必要なモノかといえば、
そうとはいえないモノだけに、一台の機器であらゆる測定が行えるモノ、
そんな都合のいいモノが出てきて欲しい、と思っていた。

1977年ごろ、ポータブル型のスペクトラムアナライザーのIvieが登場した。
いまから見ると、こんなレヴェルなのか、と思えるかもしれないが、
それでも当時Ivieの登場は話題になったし、かなり高価だった。

Ivieを欲しい、と思った人は少なくなかっただろう。