100という数字(その1)
このへんは世代によって違うのかもしれないし、
同世代でも私と同じような印象を持っている人が多いのかそれとも少ないのか、
はっきりとはわからないものの、
少なくとも私は、カタログに載る項目で、100という数字、もくしは100を超える数字を見つけると、
なんとなく嬉しくなる気持がある。
たとえばスピーカーの出力音圧レベル。
いまや90dB/W/mでも、比較的能率が高いと認識されているけれど、
やはり私にとっての高能率スピーカーといえば、出力音圧レベルが100dBを超えているモノである。
99dBでも、充分高能率ではある。
100dBと99dBの差はわずか1dB。
99dBでも、ほとんど100dBといってもいい、とは私だって思っている。
それでも、やはり99dBと100dBの、わずか1dBの差は決して小さくはない差である。
100dB/W/mというのは、
なにかひとつレベルを超えた、という感じもあるし、
ひとつの境界線という印象も持っている。
100という値は、パワーアンプの出力に関しても、同じ印象を持っている。
いまでこそ、以前では考えられなかった大出力が安価で、しかも安定性も高く得られる状況からすれば、
100Wの出力は、決して大きくはない。
これに関してはスピーカーの出力音圧レベルとは反対の状況にあるわけだが、
そうであっても、プリメインアンプの出力が100W+100Wを超えていると、
少なくとも1970年代後半からオーディオをやっている者にとっては、やはり大出力の実現であった。
パワーアンプでは100Wを超える出力をもつモノは一般的になっていたけれど、
A級動作で100Wを実現、もしくは超えた出力をもつアンプが登場した時は、
ついにA級動作でも100W、という感慨に近いものがあった。