100という数字(その2)
数字はおもしろいし、やっかいだとも思う。
100という数字にしても、
100dB/W/mと99dB/W/mとのあいだに歴然とした差が存在するわけではない。
そんなことは頭ではわかっていても、心情的・感覚的には99dBよりも100dBは、
はっきりと大きな数字として印象に残る。
重量にしてもそんなところがある。
スピーカーシステムの重量として、99kgと100kgと表示されているのがあれば、
100kgの方が実際に重いわけなのだが、それ以上の開きを感じることもある。
実際に持ち上げようとしてみて、99kgと100kgの違いをはっきりと感じとれるわけはないだろう。
それでも、桁がひとつ増える100という数字は、単なる数字とは割り切れない何かを感じている。
100という数字が、そんなふうに作用するカタログ上の項目では、他にはS/N比がある。
私が、ひとつ100という数字に注目している項目に、カートリッジの出力電力がある。
出力電圧はカタログに載っているが、出力電力はまず載っていない。
だから出力電圧とインピーダンスから算出することになる。
カートリッジの出力電力については、別項でふれている。
出力電圧の二乗を負荷インピーダンスで割った値が出力電力となる。
出力電圧が高いMM型は、出力電力ではMC型よりもずっと低くなる。
MC型でもハイインピーダンス型よりもローインピーダンス型の方が、
電力ということに関しては有利になることが多い。
別項で例にあげているオルトフォンのSPUだと、41.66nWとなる。
シュアーのV15 TypeIIIの出力電力は0.2606nWと、かなり低い。