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Date: 1月 12th, 2015
Cate: 表現する

オーディオ背景論(その4)

デジタルカメラで撮影したものをそのままマンガにもってこれるわけではない。
パソコンで画像処理ソフトを使い、加工していく。

輪郭線を検出しての処理だと思うが、
どこまで輪郭線を残していき、それらの線をどう処理していくのか。
画像処理ソフトにまかせっきりでは、うまくいくものではない。
だから同じ手法をとっても、ひとりひとり違う背景となる。

だが背景画の緻密さは、すべて手描きだった時代にくらべて、はるかに増している。
もちろんすべてのマンガ家が、こういう手法をとっているわけではないが、
それでもずっとマンガを読んできた者には、ずいぶん背景の描き方が変ってきた、と感じてしまう。

いうまでもなくマンガのガは画である。
マンガを、写真を撮って加工して、写真のままコマに割り当てていったところで、
それぞれのコマにセリフの吹き出しがあっても、それはマンガとはいわない。

マンガがマンガであるためには、画であることが求められる。
その画がやろうと思えば、写真のような画にもできる。
パソコンやタブレットで見ることを前提とすれば、すべてカラーページにできる。
そうなれば、どこまでも写実的な描写も可能になる。

そうなったときにマンガはマンガといえるのだろうか。

Date: 1月 12th, 2015
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(ミニマルなシステム・その5)

ワディアのPower DACの続報、そして製品化を待っていた。
それこそ首を長くして待っていた。
けれどまったく音沙汰無しだった。

ふたたびPower DACの名をステレオサウンドで目にしたのは、133号である。
100号1991年9月に出ている、133号は1999年12月に出ている。
八年間である。
それでもワディアはPower DACを製品として出してきた。

1991年のPower DACと1999年のPower DACはずいぶんと違うところがある。
まず筐体が大きく違っている。

1999年Power DACは三つの筐体から構成されるシステムである。
Wadia 390という型番のコントローラー、Wadia 790という型番のPower DACで、
アンプ部(D/Aコンバーター)は、モノーラルなのは同じだが、
円筒型の筐体から、マッシヴな金属ブロックのような形状となっている。

外形寸法はW44.7×H61.0×D44.7cmで、重量は116kg。
こうなるとスピーカーの脇に設置することが難しくなるほどである。
実物をみることはなかったけれど、ステレオサウンドに掲載されている写真から、その威容さは充分伝わってくる。

価格はWadia 390とWadia 790のセットで、11900000円だった。
桁を間違っているわけではない。D/Aコンバーター機能をもっているパワーアンプ、
パワーアンプ機能をもっているD/Aコンバーターとはいえ、一千万円をこえる価格は、もう溜息も出なかった。

1991年のプロトタイプは価格未定だったが、
外観、内部の写真、規模から判断するに、一千万円をこえるモノではなかった。
プロトタイプのまま市販されたとしたら四百万円から五百万円ぐらいでおさまっていた、と思う。

Date: 1月 12th, 2015
Cate: D130, JBL

ミッドバスとしてのD130(その3)

JBLのコンプレッションドライバー2441は、日本の折り紙からヒントを得た新型のエッジの採用で、
ダイアフラムだけの違いにもかかわらず、2440よりも高域特性は格段に向上している。

2440(375)はエッジの共振を利用していたため、10kHz以上の再生は無理だったが、
2441(376)ではカタログスペックでも18kHzまでとなっている。
周波数特性のグラフを比較してみても、2440との差は歴然である。

ならば5kHzといわず、10kHz、さらにもっと上の周波数まで2441+2397に受け持たせることもできる。
けれど2445J+2397の指向特性のグラフでは、10kHz、15kHzでの特性は八つ手状になっているのが確認できる。

ときどきJBLが4350、4341で4ウェイにしたのは、最大音圧を高めるためだと勘違いの発言をしている人がいる。
確かに帯域分割の数を増やせば個々のユニットへの負担は軽減される。
けれどJBLが、スタジオモニターとして4ウェイを採用したのは指向特性の全体行きにおける均一化のためである。
これは4350の英文の資料を読まなくとも、スピーカーシステムの問題点を考えればわかることである。

指向特性の均一化ということでいえば2441+2397は10kHzまでは無理ということになる。
2445J+2397のグラフでは5kHZの特性も載っていた。こちらは良好である。

そうなると40万の法則、指向特性の均一化、630Hz近辺でのクロスオーバー、
これらにD130と2441+2397の組合せはぴったりと合致する。
しかもどちらも能率が高い。
80Hzから5kHzは2ウェイシステムとしても、ナローレンジということになる。

だがこれ以上強力なミッドバスとミッドハイの組合せは他にない、ともいえる。

Date: 1月 12th, 2015
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その19)

1970年代がおわろうとしていたころから、
ダイレクトドライヴ型プレーヤーの音質が問題になりはじめていた。
性能は確かに優れている。けれど音がどうもよくない……、そんなふうにいわれはじめてきた。

ベルトドライヴ、リムドライヴの、音がいいと評価を得ていたプレーヤーと比較していわれたのは、
まずターンテーブルプラッターが軽いからではないか、があった。
つまり慣性モーメントが小さい。そのことが音に影響を与えている、と。
それからモーターのトルクが弱いから、だともいわれはじめた。

けれど冷静にカタログに発表された値をみていくと、
ダイレクトドライヴ型のすべてのプラッターが軽いわけではない。
ベルトドライヴ、リムドライヴと同等のモノもあったし、
モーターに関してもトーレンスのTD125のようにかなり弱いタイプも、ベルトドライヴ型にはあった。

プレーヤーの音は、そんな部分的な値によって決ってしまうものではない。
ベース、サスペンション、その他のいくつもの要素が有機的に関係してのトータルの音質である。

それでも国産メーカーは、そんな声に反応してだろうか、
そんなことはない、と証明するためだろうか、
ターンテーブルプラッターの重量を増し、モーターのトルクも強くしていった。

たとえばテクニクスのSP10MK3のプラッターは銅合金+奄美ダイキャスト製で、重量は10kg。
デンオンのDP100のプラッターは6.5kg、オンキョーのPX100Mは銅合金削り出しで10kg、
これらは重量級のダイレクトドライヴである。

これだけの重量物を回転させるのだからモーターのトルクも高い。
いま、これだけのモノがつくれるだろうか、と思える。

Date: 1月 12th, 2015
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(ミニマルなシステム・その4)

ワディアのPower DACの名がステレオサウンドの誌面にはじめてあらわれたのは、99号。
三浦孝仁氏がワディアの訪問記事の中に登場している。
そして100号でのエキサイティングコンポーネント(新製品紹介のページ)で、Wadia 5として、
4ページにわたり紹介されている。
ただしこの時点ではプロトタイプとしてである。

モノーラル構成で、筐体は高さ77cm、直径約30cmの円筒形(完全な円筒形ではない)。
重量は約50kg。出力は200W。
プロトタイプのため価格は未定となっていた。

電源スイッチは底面にある。
それ以外のスイッチは写真をみるかぎり本体にはついていない。
すべての機能は附属のリモコンで行うようになっている。

つまりCDトランスポートを用意すれば、スピーカーをドライヴできる。
こういう性質のアンプ(D/Aコンバーターでもある)だけに、
実際の設置はスピーカーの脇に目立たぬように、ということになる。
そしてCDトランスポートとPower DACを結ぶのは、
当時ワディアが提唱していたAT&TのSTリンクの光ファイバーである。

Power DACは小さいとはいえない。
むしろかなり大型ではある。
けれど、1991年の時点で、これほどミニマルなシステムを、
あるレベル以上のクォリティをもって構成することは無理といえた。

エキサイティングコンポーネント──、
私にとってワディアのPower DACという新製品は、まさしくエキサイティングだった。
すごいモノがあらわれた、と昂奮した。

Date: 1月 11th, 2015
Cate: 背景論

オーディオ背景論(その3)

マンガの現場にもはやくからパソコンが導入されている。
そのこともあって、といっていいだろう。
背景の描き方が、手描きだったころとは変化している。
つまり緻密に、どこまでも緻密に描く人が登場している。

私と同世代までくらいだと、大友克洋の「AKIRA(アキラ)」は衝撃だった。
マンガの歴史の中に、劇画の登場がある。

私は劇画登場を同時代に知っているわけではない。
すでに劇画は存在していたから、「AKIRA」の登場は衝撃だった。
おそらく劇画登場を体験していた人でも「AKIRA」は衝撃であったはずだ。

「AKIRA」の登場がマンガの背景を変えた、と私は思っている。
「AKIRA」は1982年に連載が始まっている。まだMacintoshは誕生していない。
誕生していたとしても、マンガの現場ですぐに使われはしなかっただろう。

いつごろからだろうか、
デジタルカメラで撮影し、パソコンにデータとしてとりこんで背景を描く人が登場している。
これがマンガの背景をはっきりと変えた。

Date: 1月 11th, 2015
Cate: モノ

モノと「モノ」(その15)

最初に使ったPhotoshopのヴァージョンは2.5だった、と記憶している。
まだフロッピーで供給されていた。10数枚あった。
インストール作業はフロッピーの出し入れ作業であった時代だ。
それからCD-ROMになる。

どちらの時代でも、家電量販店のパソコン売場や専門店のソフトウェアの棚には、
ボックスがいくつも並んでいた。
いずれもずしっと重たいボックスだった。

中身はCD-ROMとマニュアル。
CD-ROMは一枚か二枚でも、マニュアルが重かった。
この重さが、そのアプリケーションがどれだけ多機能であるかを示しているかのようでもあった。

いまソフトウェアのコーナーは小さくなっている。
インターネットでダウンロードで購入するのが当り前になってきたためであり、
マニュアルもPDFになってしまった。

アプリケーションだけではない、映画もインターネットで配信されるものが買えるようになっている。
そうやって購入したアプリケーション、映画などはハードディスクに記録される。

とはいえ、このふたつはまったく同じであるとはいえない。
アプリケーションはもとからパソコンにインストールするものだった。
一度インストールしてしまえば、基本的にインストールディスクは使わない。

一部のプロテクトがかかっているアプリケーションでは解除にディスクを、
アプリケーションの起動のたびに要求していたが、
そういうアプリケーションを除けば、インストール後にディスクは必要としない。

Date: 1月 11th, 2015
Cate: LNP2, Mark Levinson, デザイン

オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(LNP2のこと・余談)

そういえば、こんな質問をもらった。
マランツのModel 7とマークレビンソンのLNP2、どちらかくれるといわれたら、どちらをもらいます?、と。

仮定の質問であるから、どちらもコンディションはまったく問題ない。
新品同様のModel 7とLNP2が目の前にある。
どちらをとるか。

私はLNP2をとる。
けれど、誰かに、どちらをもらったほうがいいですか、とさらに質問されたら、
Model 7がいいですよ、と答える。

どちらも完璧なモノではない。
完璧なオーディオ機器など、この世には存在していない。
どんなモノであれ、いくつかの欠点は持っている。

欠点の少なさでいえば、Model 7であり、完成度の高さでもModel 7である。
デザインで判断してもModel 7である。

それでも私はLNP2をとる。
Model 7も手元においておきたいコントロールアンプのひとつである。
なのにLNP2をとるのは、個人的ないくつかのおもいがそこにあるからであり、
これはほかの人にはまったく関係のないことだ。

だから人にはModel 7をすすめ、私はLNP2をとる。
良し悪しだけでは割り切れぬことが、LNP2にはある。

Date: 1月 11th, 2015
Cate: LNP2, Mark Levinson, デザイン

オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(LNP2のこと・その6)

シルバーパネルのML6のデザインが素晴らしいかときかれたら、そんなことはない、と答える。
ML6を実際に使ってみると、非常に使いにくい。

この項の(その3)に引用したRFエンタープライゼスの広告。
そこに書いてあるJC2のごく些細な使い勝手の欠点。
これを読んだ時は正直はっきりとわからなかった。

自分でJC2を使ってみると、それはわかる。

RFエンタープライゼスの広告はステレオサウンド 43号に載っている。
43号の巻末には囲み記事で、
マーク・レヴィンソンがステレオサウンド試聴室にML2のプロトタイプを持ち込んだとある。

このふたつは関係している。
マーク・レヴィンソンがJC2の使い勝手の欠点の指摘を受けたのは、アメリカではなくおそらく日本である。
ML2のプロトタイプをもって来日した時に、
オーディオ関係者から、ごく些細な使い勝手の欠点を指摘されたと考えて間違いない。

だとすると自分でJC2を使っていた経験からも、些細な欠点がどういうことなのかはっきりする。
確かにそれは使い勝手の欠点であり、それをごく些細な、と受けとるか、それともけっこう重要なこととするのか、
それは使い手によって違ってもこよう。

けれどML6の使い勝手の欠点はそうではない。
はっきりと、すべての人にとって使い勝手の最悪なコントロールアンプ(プリアンプと呼ぶべきなのだが)である。

最悪な使い勝手は写真をみてもわかる。
けれど実際に使ってみると、想像以上に使い勝手の悪さ(ひどさ)がある。

Date: 1月 11th, 2015
Cate: D130, JBL

ミッドバスとしてのD130(その2)

私は瀬川先生の、フルレンジから始める4ウェイシステム・プランが気になっていた。
自分でやることはなかったけれど、スピーカーシステムについて考える時に、思い出す。

瀬川先生の4ウェイシステム・プランは、JBLの4350、4341が登場する前に発表されていた。
4350、4341のユニット構成、クロスオーバー周波数の設定など、共通するところがある。
そのせいもあって私にとっての4ウェイとは、まずこれらの4ウェイがベースとなっている。

もちろん4ウェイといっても考え方はメーカーによって違うところもあり、
ユニット構成、クロスオーバー周波数の設定からも、それはある程度読みとれる。

4ウェイをどう捉え考えるのか。
2ウェイの最低域と最高域をのばすために、トゥイーターとウーファーを加えて4ウェイとする。
こういう考え方もある。

この場合、忘れてはならないのは40万の法則である。
つまり40万の法則に沿う2ウェイをベースとしてスタートしたい。
となると、この2ウェイのクロスオーバー周波数は40万の平方根である632.45Hz近辺にしたい。
下限と上限の周波数を掛け合せた値が40万となるようにする。

具体的に80Hzから5kHzの2ウェイシステムで、クロスオーバー周波数は630Hz〜650Hzあたりである。
そして指向特性が、この帯域において均一であること。
この条件に、D130と2441+2397がぴったりくる。

2397のカタログには推奨クロスオーバー周波数は800Hzとなっているが、
家庭での使用音圧であれば500Hzのクロスオーバーでも問題のないことは、
ステレオサウンドのバックナンバーでも実験されているし、問題なく鳴らせる。

Date: 1月 11th, 2015
Cate: D130, JBL

ミッドバスとしてのD130(その1)

1997年にでたステレオサウンド別冊「いまだからフルレンジ1939-1997」。
この本で井上先生はJBLのE130を、
マルチウェイシステムのミッドバス帯域(100〜500Hz近辺)用として使うのにも最適だ、と書かれている。

15インチ口径のミッドバス。
組み合わせるウーファーをどうするのか。
E130をミッドバスと書かれているということは、4ウェイ前提だったのであろう。
とするとミッドハイはJBLの2インチ・スロートのコンプレッションドライバーをもってきて、
JBLのトゥイーター2405、もしくは他社製のスーパートゥイーターということになる。

そうとうに大がかりなシステムになる。
だから「いまだからフルレンジ1939-1997」を読んでも、
E130ミッドバスのシステムについて゛あれこれ考えることはしなかった。

けれどいまはちょっと違ってきている。
JBLのD130がある。

D130をソロで鳴らしていると、この類稀なユニットの良さは、たしかにッドバス帯域にある。
フルレンジとして鳴らすのも楽しい。
LE175DLHとの2ウェイもいい。
私は試していないが、075との2ウェイもいい、と思う。

けれどいまは2441と2397の組合せもある。
この組合せの存在が、井上先生のE130ミッドバスの4ウェイシステムを思い出させる。

Date: 1月 11th, 2015
Cate: LNP2, Mark Levinson, デザイン

オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(LNP2のこと・その5)

マークレビンソンのコントロールアンプにはML6というモデルがあった。
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」にはML6ALというモデルが登場している。
     *
 左右独立、それも電源からボリュウムコントロールまでという徹底ぶりだ。その勇気と潔癖症には脱帽するし、こういう製品が一つぐらいはあってもよいと思う。しかし、これはもう一般商品とはいえないし、プロ機器としては、さらに悪い。本当は業務用こそ、誰が使っても間違いなく、容易に使えて、こわれないものであるべきなのだ。この製品の登場は業務用機器のメーカーではないことを立証したようだ。
     *
菅野先生はこう書かれている。
この意見には完全に同意する。
ML6Aは、もっとも魅力を感じない。
だがML6Aの前身モデルであるML6になると、私の感じ方はまるで違う。

ML6はシルバーパネル、ML6はブラックパネルであり、
ML6はJC2(ML1)のモノーラル化、ML6AはML7のモノーラル化であり、
モノーラルにすることのメリットをより徹底的に追求しているのはML6Aである。

それでもML6Aのデザインには、色気を感じない。
ML6には、なにかを感じていた。

ML6とML6Aのデザインの違いは、フロントパネルの色だけではない。
レベルコントロールのツマミの周囲にML6はdB表示があった。
ML6Aは何も表示されていない。

フロントパネル中央にロゴがある。その両脇にML6はLEMOコネクターが配されていた。
ML6Aではネジになっている。
LEMOコネクターは金、ネジは銀。

言葉で違いを書けばこれだけなのだが、印象はまるで違う。

Date: 1月 11th, 2015
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その18)

コマをまわすときのことを考えてみる。
小さなコマであれば中心の軸を指でまわす。
これでけっこうまわる。

けれど大きなコマ(重量のあるコマ)になってくると、
中心の軸を指でまわすことは大変になってくる。
だからコマの周囲にヒモを巻きつけて、
そのヒモを思いきり引っ張ることでコマに回転を与える。

ターンテーブルプラッターを指で廻そうとする時、どこに指を置くか。
ほとんどの人が外周のところに指をおいて廻す。
わざわざスピンドル近くに指を置いて廻そうとはしない。

同じ回転数で廻そうとしたら、外周よりも内周のほうが指の移動距離は短くなる。
つまり外周であれば内周よりも速く廻さなければならない。
それでも外周を選ぶ。

楽に廻せるからである。

ダイレクトドライヴは理想の方式のように思える。
モーターの回転をそのままターンテーブルプラッターにつたえて廻す。
けれどモーターのシャフトはターンテーブルプラッターの中心でもある。

つまり、指で廻す時にもっとも力を必要とする最内周にあたる。

Date: 1月 10th, 2015
Cate: 音の器

音の器(その1)

ステレオサウンドのサイトで検索してみると、
名器と名機、どちらも使われているし,
蓄音器と蓄音機もどちらも使われているのがわかる。

明確な使い分けがなされているようにはみえない。

名機、蓄音機を使っているということは、
ステレオサウンドのサイトの編集者は、
オーディオ機器(蓄音器を含めて)を、器としては考えていない(捉えていない)ともいえる。

つまり音を鳴らす機械としての考え方・捉え方なのだろう。
だから名機、蓄音機を使う。

ということはオーディオを音の器として考えていない(捉えていない)ということでもある。

これは些細なことなのだろうか。

Date: 1月 10th, 2015
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーのアクセサリーのこと(その13)

針圧計に精度の高さを求めるのは、何かを決定したい行為なのかもしれない。
いい感じで鳴るポイントを見つけ出した。
それを針圧で記憶する。
次にそのカートリッジを使う時にも、その針圧にぴったりと合わせる。

アナログプレーヤーのアクセサリーは昔からいろんな種類がある。
そのひとつにディスクスタビライザーがある。

スタビライザーはレコードのレーベル部分にのせる、なんらかの素材による重しである。
昔は素材も重量もいろんな種類があった。
重量によるモノ以外にコレットチャック式のモノもあったし、吸着式のモノもあった。
プレーヤーによってはスタビライザーが標準装備のモノもいくつかあった。

昔からアナログディスク再生に熱心な人であるなら、
スタビライザーをひとつは持っていると思う。
そんなに高価なアクセサリーでもなかったし、レーベルのところにのせるだけだから、
結果が好ましくなければ使わなければ、それでいい。

つまり元の状態に簡単に戻すことができる。
手軽に試させて、音の変化も確実にある(よいと感じるかそうでないかは別として)。

このスタビライザーに関しても、決定しようとする人がいるように思える。
あるレコードで、スタビライザーのあるなしの音を比較試聴する。
どちらがよいかを判断して、スタビライザーありでいくのか、なしでいくのかを決定する。

けれど、これも決定するようなことだろうか。
スタビライザーありの音、なしの音を、いろんなレコードで聴いておく。
いい悪いを判断するためではなく、自分の中に判断材料・基準をつくっておくためにも聴いておく。

そうすれば、少なくとも自分のシステムにおいて、
このレコードのときにはあったほうが好ましく聴ける、
別のレコードではないほうが好ましい、という判断はすぐにつくようになる。

ならばスタビライザーをのせたほうがいいと判断したらのせればいいだけの話で、
どのレコードに関してものせるかのせないかを決定するようなことではない。