Date: 3月 17th, 2015
Cate: 価値・付加価値
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オーディオ機器の付加価値(ステレオサウンド 38号・その1)

別項で、二冊のステレオサウンド 38号のことを書いた。
一冊は割とキレイな38号で、もう一冊はボロボロになった38号。

この二冊を古書店にもっていったら、キレイな38号は高く買い取ってくれるだろうし、
ボロボロになった38号の買取り価格はかなり安くなるであろう。

ではキレイな38号の方が価値が高いのか、ということになる。
買い取った本を売る商売であれば、キレイな38号の方が価値がある、ということになる。
高い値段で売れるから、高く買い取る。
古書店にとっては、商品価値はキレイな38号の方が高い。

そして買う方にとっても、ボロボロの38号よりも、キレイな38号の方が、
多少高くともこちらを手に取って買っていくであろう。

古書は誰が読んだ本なのかは、ほとんどの場合わからない。
だからこそボロボロの38号よりもキレイな38号の方がいい。

けれど、私がどちらか一冊を手離すとしたら、ためらうことなくキレイな38号のほうだ。
ボロボロの38号はずっと手元に置いておく。

それは私にとってキレイな38号よりも、ボロボロの38号の方が大事だからである。
大事ということは、私にとって価値が高いということになる。

すでに書いているように、ボロボロの38号は、
岩崎先生によってくり返し読まれることによってボロボロになった38号である。

だが古書店に、ボロボロの38号をもってきて、
これは岩崎千明が読んでボロボロになった38号だ、と説明しても、
買い取る側の古書店にとっては、それがどんな意味をもってくるのかといえば、
ほとんど無意味ということになるだろう。

まずどうやって岩崎先生が読んだ38号と証明するのかがある。
証明できなければ、古書店にとっては、単なるボロボロの38号でしかない。
そんな38号を、キレイな38号よりも高く買い取ることは絶対にない。

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