JBL PROFESSIONALの現在(その4)
ハイルドライバーはかなり以前からあった。
ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIES 3、トゥイーターの総テストには登場してなかったものの、
巻末のトゥイーターの技術解説のページには、動作原理が構造図とともに載っていた。
ハイルドライバーの動作原理はなんとなく理解できたものの、
ハイルドライバーを搭載したスピーカーシステムはというと、
残念なことにメジャーなモノではなく、当時はアメリカのESSのスピーカーシステムだけだったはずだ。
ESSのスピーカーシステムを聴く機会は一度もなかった。
ハイルドライバーのトゥイーターは単売されていたと記憶しているが、これも聴く機会はなかった。
そんなわけで、私が最初に聴いたハイルドライバー搭載のスピーカーシステムは、
エラックの310ということになる。
ハイルドライバーとはもう呼ばれておらず、AMTという名称に変っていたし、
磁気回路の構造も変化がみられるが、動作原理はハイルドライバーそのものである。
ハイルドライバーに対するそれまでの印象は、
ステレオサウンドの記事によってのものだった。
ステレオサウンド 60号に、ESSのフラッグシップモデルTRANSARIIが登場している。
この記事を読む限りでは、ハイルドライバーの音はトランジェントは優れていることがわかる。
ESSはアメリカのスピーカーメーカーだけれども、音量を上げないで聴くスピーカーだと思う、
と瀬川先生が語られている。
音慮を上げない限り、切り紙細工の人形が並ぶような定位感ではまったくない音場を聴かせる、
と岡先生が語られている。
こんな印象があったから、エラックの310から鳴ってきた音には、驚かされた。
それからハイルドライバー(AMT)に対する認識が完全に変ってしまった。