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Date: 7月 26th, 2014
Cate: チューナー・デザイン

チューナー・デザイン考(パイオニア Exclusive F3・その20)

川崎先生が、7月25日のブログに、オーレックス時代にデザインされたチューナーについて書かれている。
「デザインには発明が必要だということを学んだ作品」というタイトルがつけられている。

ST910、ST720、ST420、ST220、四つのオーレックスのチューナーのことに触れられている。
そして、書かれている。
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「このデザインには、発明があるだろうか」という自問自答です。
今ではチューナーはインターネットラジオになってしまいましたが
チューナーでのこの代表機種全てに「デザインによる発明」です。
だから、あきらかに言えることは、
「デザイン=造形が必ず発明」は必要十分条件だと思っています。
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いまでも、デザインは好き嫌いでしょう、といったことを言い放つ人がいる。
オーディオマニアでも、そういう人がいるのを残念ながら知っている。
そういう人は、「デザインに発明が必要だ」ということを一生知らずに終っていくのかもしれない。

デザイナーが「このデザインには、発明があるだろう」と自問自答するのであれば、
デザイナーではないわれわれ受け手の者は、何かをそのデザインに発見しなければならない。

デザインは好き嫌いでしょう、といってしまったら、そこには発見はない。
発見しようとしないから、好き嫌いでしょう、で終ってしまうのかもしれない。

Date: 7月 26th, 2014
Cate: チューナー・デザイン

チューナー・デザイン考(パイオニア Exclusive F3・その19)

オーレックスのST420のデザインは、どれだけ当時注目されていたのか。
1975年、私はまだオーディオに関心をもっていなかった。
1975年に出ていたオーディオ雑誌といえば、ステレオサウンドのバックナンバーはすべて読んでいるものの、
それ以外のオーディオ雑誌となると、ほとんど読んでいない。

なのではっきりしたことはいえないけれど、ST420のデザインについて、
オーディオ雑誌に何かを書いた人はいないのではないか。

アキュフェーズのT104が登場した1978年、
私はチューナーに対しての興味はいまほどではなかった。
チューナーのデザインに関しての興味もあまりなかったから、
ST420とT104のデザインの共通性についてまったく気がつかなかった。

でももし当時気づいていたとしたら、
アキュフェーズがオーレックスのデザインをマネした、ぐらいにしか思わなかっただろう。

いまははっきりと違う。
違ういまに、気づいて良かった、と思う。
そして、瀬川先生は、ST420のデザインに注目されていたはず、といえる。

ステレオサウンド 43号のベストバイの特集で書かれている。
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最近のオーレックスの一連のアンプは、デザイン面でも非常にユニークで意欲的だが、SY77は、内容も含めてかなり本格的に練り上げられた秀作といえる。
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「一連のアンプ」とあるから、アンプのことだけだと受けとめがちになるが、
アンプだけではないはず、チューナーも含めての、のことのはずだ。

Date: 7月 25th, 2014
Cate: チューナー・デザイン

チューナー・デザイン考(パイオニア Exclusive F3・その18)

オーレックスのST420はダイアルスケールをフロントパネルの最下部にもってきている。
ふたつあるメーターはダイアルスケールの上、フロントパネルのほぼ中央で、やや左側に寄っている。
チューニングノブは右端、電源スイッチは左端についている。

ST420以前にもダイアルスケールを下に、メーターを上に配置したチューナーがあったのは前述した。
けれどダイアルスケールをフロントパネル最下部に配置したのは、ST420が最初である。

ST420の登場以降、同じようにダイアルスケールを最下部にもってきたチューナーが、いくつか出てきた。
アキュフェーズのT104もそういう製品のひとつといえる。

T104はシンセサイザー方式だから、いわゆるダイアルスケールはない。
かわりに受信周波数を数字で表示するようになっている。
この表示部はダイアルスケールのように横に長い。T104はこれを最下部に配置している。
二つあるメーターダイアルスケールの上、フロントパネルのほぼ中央で、やや左側に寄っている、
チューニングノブは右端、電源スイッチは左端についている、と書けるように、ST420と基本的に同じである。

ことばで説明する以上に、ST420とT104の真正面からの写真を並べてみると、
基本レイアウトの共通性の同じであることがはっきりする。

このことに気づいたとき、私は嬉しかった。

Date: 7月 25th, 2014
Cate: チューナー・デザイン

チューナー・デザイン考(パイオニア Exclusive F3・その17)

ダイアルスケールとメーターの位置関係。
これか同じだからといって、各社のチューナーのデザインが似てくるわけではない。

ここで挙げたメーターがダイアルスケールの上にあるチューナーを見ていっても、印象はそれぞれに違う。
ソニーのST5000Fはダイアルスケールがフロントパネルの上側に配置されている。
ダイアルスケールの下、つまりフロントパネルの下側半分にチューニングノブをはじめとするツマミが並ぶ。
しかもメーターとダイアルスケールはひとまとめされている。

同じソニーのチューナーでも、その後のST4950、ST5950もメーターが上にくるが、
ダイアルスケールがフロントパネル・センターより下にきている。
それにメーターも視覚的にはっきりと独立しているので、ST5000Fとはずいぶん異る印象をもつ。

それぞれのメーカーの、それぞれの機種についてひとつひとつ書いていくと長くなってしまう。
どうしても書きたいのはひとつである。

それはオーレックスのST420とアキュフェーズのT104について、である。

ST420は1976年当時47800円のチューナー。
T104は1978年当時250000円のチューナー。

ST420は4連バリコン使用のチューナー。
T104はクォーツロック・フレケンシーシンセサイザー式のチューナー。

ST420はウッドケースなし、
T104はウッドケースつき。

ST420とT104、
このふたつのチューナーは、ダイアルスケール、チューニングノブ、メーターの配置が共通している。

Date: 7月 25th, 2014
Cate: チューナー・デザイン

チューナー・デザイン考(パイオニア Exclusive F3・その16)

パイオニアはExclusive F3の前年(1975年)に、TX9900を出している。
TX9900もダイアルスケールの上にメーターが配置されている。

ステレオサウンド別冊HI-FI STEREO GUIDEのバックナンバーをひっぱり出している。
すべての号が手元にあるわけではないが、
1976年ごろからダイアルスケールの上にメーターというチューナーが増えてきている。

トリオは1975年にKT7500でメーターを上にもってきている。
その後、トリオのチューナーはメーターが上にくるモデルが増えている。

テクニクスも1977年に発売したブラックパネルのチューナー、
ST8075、ST8080でメーターを上にしている。

サンスイも大ヒットとなったプリメインアンプのAU607、707、907とペアになるTU707(1977年)がそうだ。
オーレックスのST420も、Exclusive F3と同じ1975年に登場している。

それまで何気なく見てきていたチューナーのデザインが、ここ数年気になってきているし、気づくことがある。
だから古い資料、カタログ誌を眺めては確認している。

ダイアルスケールの上にメーターをもってきた最初メーカーはどこなのか。
HI-FI STEREO GUIDEでわかる範囲では、どうもソニーのST5000Fがそのようだ。

ST5000FはHI-FI STEREO GUIDEによれば、昭和42年10月発売となっている。
1967年──、Exclusive F3の約10年前、
すでに50年近く前から、ダイアルスケールの上にメーターを配置したチューナーが存在していたことに気づいている。