Date: 7月 8th, 2024
Cate: ベートーヴェン

ベートーヴェンの「第九」(20世紀の場合と21世紀の場合・愛聴盤)

ベートーヴェンの第九。
私にとっての第九の愛聴盤は、いまのところ20世紀の録音だけしかない。

21世紀になってから演奏・録音された第九も、
積極的に聴いている。
いいな、と、思った演奏(録音)もあった。

それでも、そのディスクが愛聴盤になっていったかといえば、
いまのところ、そうではない、と答えるしかない。

これから先、愛聴盤となりうる演奏(録音)が登場してくるのか、
それともすでに聴いている21世紀の第九の中の何枚かが、
愛聴盤となっていくのか。

現れてほしい、という気持は強いが、
現れそうにない、と、思ってしまうところもある。

Date: 7月 7th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その7)

今年の1月から、audio wednesdayで、音を鳴らしている。
オーディオシステムのセッティングはもちろん、
かける曲も私が選んでいる。
つまり自分で聴きたい曲、
言いかえれば、その場に一緒にいる人たちに聴いてもらいたい曲をかける。

リクエストにも応じているが、
リクエスト曲以外は、音楽として聴きたい曲である。

こんなあたりまえのことをいまさら書くのは、
オーディオショウのブースによっては、
本当に、この人は、この音楽が好きなのか、
聴きたいと思ってかけているのか……、
そんなふうに感じることが、けっこうある。

私がそう感じているだけで、かけている人はそうじやない、というだろう。
それでもこんなことを書いているのは、
その人の好きという感情(のようなもの)が、
まったく伝わってこないからだ。

その人自身から伝わってこないだけでなく、
鳴っている音(音楽)からも伝わってこない。

そうでない出展社のブースもある。
でも、そんな出展社のブースも、毎年変わらずある。

Date: 7月 6th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第六夜を終えて(その1)

8月9日に、映画「ボレロ」が公開される。
予告編を見ていると、けっこういい出来の映画のように思える。

実際の出来がどうなのかは、
劇場で本編を観ないことには何もいえないけれど、
この予告編を見ていたから、
7月3日のaudio wednesdayでかけたくなっていた。

誰の指揮でかけるのか。
クリュイタンスかミュンシュか。

ミュンシュ/パリ管弦楽団の録音を、19時の開始前にかけた。

ボレロを最後までとおして聴いたのは、いつ以来なのか、
思い出せないほど聴いていなかった。

断片的には、どこかで耳にすることはあっても、聴きたくてなって最後までというのは、久しくなかった。

メリディアンのDSP3200とエラックの4PI PLUS.2の組合せ。
そこから鳴ってきたボレロは、
この程度のボレロの聴き手でしかない私の耳を魅了した。

Date: 7月 5th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その6)

今年のインターナショナルオーディオショウは、
会場側の都合で7月開催なわけで、
暑い時期に……、と思ったりもするが、
学生はちょうど夏休みに入っている。

今年のインターナショナルオーディオショウは、
若い人たちの来場が増えるのだろうか。
増えてほしいし、
はっきりと誰の目にも明らかなほどに増えるのであれば、
これから先、夏休みの時期に開催もあるようになるのか。

Date: 7月 4th, 2024
Cate: 「本」

オーディオの「本」(古賀書店の閉店・その4)

一年ほど前から狛江に行く機会が増えた。
毎月第一水曜日は、audio wednesdayで行くし、
それ以外でもたまに行くとこがある。

狛江には、これまで行くことはなかった。
狛江駅も一年ほど前が、初めての利用だった。

改札を出ると高架下に啓文堂という書店があった。
狛江駅付近で、ただ一軒の書店であったけれど、再開発とかで、
さほど経たずに閉店になっていた。

その啓文堂が、先月末に開店している。
場所は以前のところより、少し離れているが、
代わりに広くなっている。

それだけでなく、以前の店舗では、オーディオ雑誌は、なぜか鉄道コーナーにあった。
取り扱っている雑誌も、わずかだった。

それが新店舗では、鉄道コーナーではなく、音楽コーナーになっているし、
雑誌の数も増えている。

それだけのこと、といってしまえることだろうが、
それでもオーディオ雑誌の扱いが減ったりなくなったりしているのが、
当たり前のことになっているだけに、
今回の啓文堂の再オープンは、利用することはないけれど、
嬉しいことのひとつだ。

Date: 7月 3rd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第七夜

audio wednesday (next decade) – 第七夜は、8月7日である。
時間、場所はこれまでと同じ。

5月の第四夜と同じスピーカー、757Aのレプリカを鳴らしてみようと考えている。

タイプはまるで違うが、パワーアンプを二台用意できる。
アキュフェーズのA20VとマッキントッシュのMC275である。
それにアキュフェーズのデヴァイダー、DF35も持ち込み済み。

マルチアンプで757Aレプリカを鳴らせる。
DF35はデジタル信号処理で、ユニットの前後位置の補正が可能。

757AレプリカのホーンはJBLの2397で、ドライバーは2420なので、
スロートアダプターを、2328と2327を使うことになり、
ウーファーのボイスコイル位置とドライバーのボイスコイル位置は、
さらに広くことになる。

これをデジタル信号処理することで、どんなふうに音が変化するのか、
そのことによって音楽の表情がどう変っていくのか。

これまでとは趣向をかえてみようと考えている。

Date: 7月 2nd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第六夜(いよいよ明日)

1月の序夜から始まったaudio wednesdayも半年(六回)が終った。
7月からの後半のスタートでは、もう一度、序夜で鳴らしたメリディアンのDSP3200を鳴らす。
序夜でのDSP3200の音を聴いていて、
そして聴き終ってからも、あることを考えていた。

DSP3200にエラックのスーパートゥイーター、
4PI PLUS.2を足したらどうなるのか。
その音を想像するだけで、ひとりワクワクしていた。

不安もないわけではない。
DSP3200はウーファーとトゥイーターの時間軸を揃えてある。
そこにスーパートゥイーター、
それも放射パターンが大きく違うモノを加えて、
果たしてうまくいくのか。

やってみないことと、わからない。
ワクワクがドキドキに変っていくのだろうか。

パワーアンプ内蔵のアクティヴ型だが、相棒といえるメリディアンの218との組合せでは、スーパートゥイーターを足すこともさほど難しいことではない。シンプルで完成されたシステムでありながらも、こういった拡張もまた可能である。

7月の音は、1月の序夜を聴いた人にぜひ聴いてもらいたい。

Speaker System: Meridian DSP3200
Super Tweeter: ELAC 4PI PLUS.2
Power Amplifier: Accuphase A20V
D/A Converter: Meridian 218

Date: 7月 1st, 2024
Cate: オーディオ評論, ジャーナリズム

オーディオ評論家は読者の代表なのか(その24)

ソーシャルメディアを眺めていると、
時々、ファッションモデルと女優の比較写真が表示される。

ファッションモデルも女優も、同じドレスを着ているから、
その着こなしの違いが、はっきりと出ている。

こうも違うのか、
と一流のいわれるファッションモデルの着こなしは見事だ。
ドレスが主役なのか、着ている自分が主役なのか、
その意識の違いも関係してのことなのだろうが、
それにしても女優の着こなしは……、そんなふうに感じてしまうほどだ。

こんなことを書いているのは、オーディオ評論家は、
立場としてどちらなのか、だ。

スピーカーというドレスを、どう鳴らすのか。

Date: 6月 30th, 2024
Cate: 再生音

再生音に存在しないもの(その6)

再生音に存在しないものについて考えるということは、
再生音にだけ存在するものについて考えることでもあり、
こんなことを考えなくても、
スピーカーから鳴ってくる音を聴くことはできる。

むしろこんなこと考えずに聴いた方がいいに決まっている。
そんなことはわかっていても、
それでいいのかとも、また思ってしまう。

Date: 6月 29th, 2024
Cate: 「オーディオ」考

オーディオの罠(その10)

自己模倣という純化の沼にはまってしまったら、
心に近い音には近づかないだけでなく、
気づきもしないかもしれない。

しかも、自己模倣という罠は、
案外心地よいのかもしれないから、やっかいだと思う。

Date: 6月 28th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その6)

ステレオサウンド 127号のレコード演奏家訪問は、長島先生だった。
ここで、菅野先生と長島先生が語られていることは、
まだ読んでいないという人はぜひ読んでほしいし、
オーディオを介して音楽を聴くという行為で、
大事なことはなんなのかを感じとれるはずだ。

とはいえ、ここで書きたいのはそういうことではなく、
アナログプレーヤーに取り付けられているトーンアームのことだ。

以前別項で、SMEのSeries Vは、
長島先生のアイディアだろう、と書いた。
だからこそ長島先生は、すぐにSeries Vを導入された。

なのに127号の写真をみると、
トーンアームがSeries Vではなく、3012-Rだった。

なぜSeries Vではないのか、
なぜ3012-Rなのか。

いまとなっては、その答をきくことはできない。
それでも問い続けているからこそ、いまこれを書いている。

Date: 6月 27th, 2024
Cate: ディスク/ブック

“盤鬼”西条卓夫随想録(届く)

2月に届く予定だった「「“盤鬼”西条卓夫随想録」が、
ようやく届いた。
遅れた、といえばそうなのだが、
隔月刊となったラジオ技術が、
ほとんど不定期刊行になってしまっているのだから、
6月に届いたのだから、
予想よりも早かったぐらいに受け止めている。

「随想録」と「私の終着LP」は、
ラジオ技術掲載時に読んでいる。
それでも、こうやってまとめて、そしてあらためて読めるのは、
やはりありがたいことである。

昨年、休刊になったレコード芸術が、
今年、オンラインで復活する。

時代が違う、
レコード芸術とラジオ技術という掲載誌の性格の違い、そんなことよりも感じるのは、書き手の覚悟の有無である。

Date: 6月 26th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その5)

いま別項で「純度と熟度」について書いている。
そこで触れている高い純度と高い熟度のバランス、
これを実現している(私がそう思っているだけにしても)モデルは、
そう多くはない。

SME 3012-R Specialは、唯一の例とまではいわないものの、
数少ないモデルの一つである。

なぜ、そうなのかを説明はしない。
3012-R Specialを、きちんと使ったことのある人ならば、
納得されるはず。

Date: 6月 25th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その4)

自転車(ロードバイク)のフロントフォークも、
いまやストレートフォークばかりになっている。

ストレートフォークを最初に採用したのは、
イタリアのコルナゴのはず。
1990年代の半ばごろから登場してきた、と記憶している。

ストレートフォークが登場したばかりのころ、あんまり美しくないなぁ、と思っていた。
それまでのロードバイクのスタイルとのあいだに違和感を覚えていた。
なんだろう、この違和感は……、と、
なぜそう感じるのだろうか、
とあれこれ考えていた時期があった。

従来の、先端がカーヴしているベンドフォークは、
いまでは限られたモデルのみである。

いまではストレートフォークであっても、登場まもないころの違和感は、ほとんど感じなくなった。
こちら側が慣れてしまっただけなのかそう思うことはない。

ベンドフォークのロードバイクを見ると、
やっぱりベンドフォークだ、と思うからだ。

ストレートフォークのロードバイクは、乗ったことがない。
乗れば、やっぱりストレートフォークだな、と、
ころっと変ってしまうかもしれないが、
そうなったとしても、ベンドフォークは美しい。
このことにかわりはない。

プロの自転車乗りならば、勝利が求められているのだから、
どちらが美しい、とかは関係ない。
勝てる機材としてのロードバイクであって、
そのためのストレートフォークなのだろう。

細身のベンドフォークと3012-R Special。
決して懐古趣味からそう感じるわけではない。

Date: 6月 24th, 2024
Cate: ディスク/ブック

ブラームス 弦楽六重奏曲第一番 第二番(その14)

十一年ぶりの引越しだった。
一つのところに十年以上住んだのは、
東京で暮らすようになってからでは、ここだけだった。

十一年前の引越しはさほど大変ではなかった。
でも今回は大変だったのは、
少しずつ、いろんなモノがたまって、増えていっていたからなのは、
最初からわかっていたけれど、それでも多かった。

とにかく今日は部屋に収めただけという状況で、
これもiPhoneで書いている。
なので、まだスピーカーから音は鳴っていない。

ラルキブデッリによるブラームスの弦楽六重奏曲が聴けるようになるのは、
もう少し先になる。