Archive for 7月, 2026

Date: 7月 6th, 2026
Cate: ショウ雑感

2026年ショウ雑感(その7)

今年のOTOTENで、ふらっと入ったブースで、ある人が製品の説明をしているところだった。
自社で扱っている製品なのに、熱を感じられない説明(話しぶり)と感じていた。

説明が終り、音を鳴らして、そこでそのブースのスタッフの人が、何々先生、ありがとうございました、と言う。

この人、オーディオ評論家だったのか。名前は聞いたこと(見たこと)があるが、顔写真を見た記憶はない。
見ていたのだろうが、その人が書いたものを読んで関心が持てなかったから、印象に残っていないだけなのかもしれないが、とにかく、その人がオーディオ評論家なのは、意外だった。

本人は一所懸命にやっていたのだろうが、こちらに、その熱は全く伝わってこなかった。

もう一つ、こちらもふらっと入ったブースで、この人も、スタッフの人なんだろうな、と思っていたら、オーディオ評論家だった。名前は見たことがある。

この人も、私には意外だった。上の人とは違う意味で、そうだった。
派手さはない。けれど話す内容といい、進行の仕方といい、控えめながら、好印象を受けた。

ここでの二人のオーディオ評論家は、同じ世代のように見えた。実際どうなのかまでは調べていないが、オーディオへの取り組み方が伝わってくる、とまでいったら言い過ぎになるだろうが、一時間ほどであっても、そういうことが伝わってくる。

Date: 7月 5th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(オープルリールデッキ篇・その4)

ステレオサウンド 43号の特集ベストバイで、オーディオ評論家が選ぶベストバイと読者が選ぶベストバイがあるわけだが、
パイオニアのRT701は読者の投票は(その3)で書いているとおり低かったが、オーディオ評論家の選定では、オープンリールデッキの中で、一番になっている。

井上卓也、大塚晋二、菅野沖彦、三井 啓の四氏が選んでいるのに対し、テクニクスのRS 1500Uは、大塚晋二、三井 啓の二氏。

中学生だった私は、この結果が興味深かった。
どうしてだろうとHI-FI STEREO GUIDE(1977年度版)を丹念に見ていくと、RS1500Uには外付け(別売)のバッテリーパックが用意されていて、単一乾電池を十六本直列接続しての24Vでの動作が可能になっていることに気づく。

RT701はAC100Vのみ。この点が、生録を積極的にやっていた人への大きなアピールとなったのだろう。

(その1)で例として挙げている機種も、生録のことを考慮して、荷物の個数としては一つ増えることになるが、一つ一つの重量を少しでも軽くしようと、トランスポート部とアンプ部を別筐体としている。

それでも電源はAC100Vだから、当時流行っていた蒸気機関車の生録には不向きとなる。

ソニー、ウーヘル、ナグラ、ステラヴォックスといったポータブル機は、もちろんバッテリー駆動ができたが、据置型のオープンリールデッキで、それが可能だったことが、読者投票での一位につながったように思える。

そのくらい、当時オープンリールデッキを購入する人の何割かは生録のためだったのだろう。

Date: 7月 4th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(オープルリールデッキ篇・その3)

パイオニアのRT701が登場したころのステレオサウンドの特集ベストバイでは、オーディオ評論家だけでなく、読者の選ぶベストバイ・コンポーネントという記事もあった。

ベストバイ特集の前号のアンケートハガキが投票用紙になっていた。
スピーカーシステム、プリメインアンプ、コントロールアンプ、パワーアンプ、チューナー、アナログプレーヤー、カートリッジ、ターンテーブル、トーンアーム、カセットデッキ、オープンリールデッキ、それぞれに一機種投票できた。

43号のひとつ前の42号にアンケートハガキがあった。かなり悩んで記入したことを思い出す。

42号は1977年春号、私は1976年末に出た41号とコンポーネントステレオの世界からの読者だったから、日が浅い。

ほとんどのモデルを聴いたことがないのだから、憧れのモデルにするのか、数年後になんとかてがとどそうなモデルにした方がいいのか、まずそのことで悩んでいた。

オープンリールデッキでは、パイオニアのRT701にした。
43号掲載の読者の選ぶベストバイ・コンポーネントのオープンリールデッキの一位は、テクニクスのRS1500Uだった。

RT701は36票で十四位。一位のRS1500Uは607票。
ずいぶんと差があった。RS1500Uの人気の高さはわからなくもないが、RT701の人気の低さは、意外だった。十位中に入っていても良さそうなのに……、と中学生だった私は思っていた。

オープンリールデッキに関心がある人にとっては、オープンリールデッキ・イコール・2トラ38なのだろう。

Date: 7月 3rd, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(オープルリールデッキ篇・その2)

RT701を当時のパイオニアは積極的に売り出そうとしていた、と広告を見ても、そう感じていた。

RT701は好評だったようで、19インチのラックマウント形式のRT701の横幅を短くしたRT701Sが出て、オートリバース再生機能付きのRT707も登場した。

RT701は、(その1)で書いているように、これ、いいなぁと感じたオープルリールデッキで、
プロ用のオープンリールデッキを見て、これ、すごいなぁ、と感じたのと違う。

(その1)で例として挙げたモデルは、どれもオープンリールデッキ然としている。それだけに、アンプやその他のコンポーネントと同じように配置すると、
浮いている(独立している)ふうにも見られがちだ。

それだからこそオープンリールデッキを所有する喜びがある、とするのも理解できる。そういうオープンリールデッキを、私も欲しいと思ったけれど、
RT701が登場した1976年、中学生だった私にとって、身近な存在としてのオープンリールデッキだった。

RT701の外形寸法はW48.0×H23.0×D36.0cmと、奥行き以外は、ナカミチのカセットデッキ、1000IIよりも小さい。そんなオープンリールデッキだったから、2トラックでは4トラックだし、テープスピードも9.5cm/secと19cm/secで、いわゆる2トラ38ではない。

でも、それがいいとも感じさせた。そういうオープンリールデッキが、パイオニアのRT701である。

とはいえ、いまも手に入れたいのか、となると、そうではない。手元にあれば、とは思いながらも、なんとしてでも、という気持はない。

それでもオープンリールデッキについて書く時には、RT701のことは真っ先に、とは決めていた。

Date: 7月 2nd, 2026
Cate: オーディオ評論

評論家は何も生み出さないのか(ブランド表記について)

Kindle Unlimitedで、オーディオアクセサリーの201号を読んでいて、とても気になることがある。

30ページと31ページの見開きで紹介されているテクノロジア・イ・クオーレのDS-TC52Bの記事である。
少し前に発表になっていたスピーカーシステムだから、どういうモノなのかはご存知だろう。

気になったのは、スピーカーシステムそのもののことでもメーカーについてでもない。本文中に「ダイアトーン」とあるのが、気になっている。

ここ数年、ソーシャルメディアでも、なぜかDIATONEのカタカナ表記をダイアトーンとする人が、少ないとはいえ登場してきている。

DIATONEのどこにもYはない。ダイアトーンと呼びたくなるのもわからなくもないが、DIATONEは三菱電機のブランドで、三菱電機はダイヤトーンとしている。

DIATONEと書いてもいいし、カタカナならばダイヤトーンしかない。ダイアトーンは間違った表記でしかない。

なのにソーシャルメディアでダイアトーンと書く人は、ダイヤトーンを間違いという。

オーディオアクセサリーの記事で、ダイアトーンとあるのを見つけた時、編集部のミスか、とまず思った。
けれど次のページ(31ページ)には、見出しがあり、そこには「ダイヤトーン」と正しく表記されている。

編集部の人はわかっている。となると本文にダイアトーンが数回登場するのは、編集部が気づかなかったとは考えにくい。ダイヤトーンと訂正することを、書き手が認めなかったのではないだろうか。

だとすると、なぜ、ダイアトーンのしたのか。そうすることで、間違ったことが広まるとは考えないのか。それとも、ダイアトーンが正しいと思い込んでしまっているのか。

Date: 7月 1st, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(カセットデッキ篇・その16追補)

HI-FI STEREO GUIDE(1980年度版)を見ると、フィリップスのオープンリールデッキが載っている。

N4512が145,000円、N4515が215,000円、N4520が498,000円、N4522が580,000円となっている。

N4512とN4515はブラック仕上げで、普及クラスの外観。N4520とN4522はシルバー仕上げで、デザインはほぼ同じで本格的なオープンリールデッキとした風貌となっている。
N4522だけが2トラック仕様で、残り三機種は4トラック。

この時期、フィリップスの輸入元はフィリップス家電で、アンプ、スピーカー、カセットデッキなども輸入していた。

カセットデッキはN5581、一機種のみで、88,000円(予価)。横幅26cmの小型のモノ。
アナログプレーヤーは、AF777(68,000円)、AF877(81,000円)、AF977(115,000円)の三機種。

チューナーは、AH109(69,000円、予価)とAH180(100,000円)の二機種。

プリメインアンプはなく、コントロールアンプがAH209(55,000円、予価)とAH280(80,000円)、パワーアンプがAH309(65,000円、予価)とAH380(90,000円)。

この時代のフィリップスのスピーカーシステムは、パワーアンプ内蔵、MFB採用のアクティヴ型と一般的な内蔵ネットワークがあった。

ネットワーク搭載の上級機のAH489は55,000円(一本)と安価なブックシェルフ型。アクティヴ型の上級機のRH545は480,000円(一本)となっているが、他のアクティヴ型は100,000円前後だ。

この時代のフィリップスでも、オープンリールデッキのみが、他のコンポーネントとのバランスがとれないほど高価で別格なモノだ。