Archive for 7月, 2025

Date: 7月 21st, 2025
Cate: 音の良さ

アキュフェーズ A20Vのこと(A級アンプのこと・その3)

パイオニアのExclusive M4は何度か聴いているし、
その改良モデルのExclusive M4aも聴く機会は多かった。

いまもし、新品に近いコンディションのM4とM4aがあれば、
私が欲しいのはM4である。
アンプ単体としては、M4aが完成度は高くなっているという評価を受けるだろうが、
瀬川先生が書かれているM4ならではの特徴が、M4aでは薄れていると感じられるからだ。

あの頃、A級アンプの音の代名詞とも言えたM4は、機会があれば、ぜひ聴いてみたいのだが、
現実問題として、コンディションのいいM4は、かなり少ないだろう。

ソーシャルメディアを眺めていると、オーディオマニアが自分のシステムの写真を公開しているのが表示される。
それらの写真を眺めて思うのは、
プリメインアンプ、パワーアンプをなぜ押し込めるのか、だ。

ラックに収納ではなく、押し込める、としたのは、
アンプの上部に十分な空間がないからだ。
けっこうな発熱のアンプなのに、10cmも開いていなかったりする。
そんな状態で使っていたら、アンプ筐体内の温度はかなり上昇する。

発熱がそれほどないアンプであっても、こんな置き方をしていたら、熱がこもって熱くなる。
以前、マッキントッシュのパワーアンプのフロントパネルが熱くなる、という投稿を、
ソーシャルメディアで見かけた。

けっこう前のモデルで、以前ステレオサウンドでもリファレンス的に使っていたからはっきり言えるのだが、
このモデルのフロントパネルが熱くなるのは、置き方に問題があるからだ。
押し込めた置き方では、熱の逃げ場がほとんどない。少ない発熱であっても、長い時間鳴らしていれば、熱くなってしまう。

そういう使われ方の写真をいくつも見ていると、外観はどんなにキレイでも、
内部の劣化は、また別だということを思うし、
外観と内部の劣化は、必ずしもイコールではない。

Date: 7月 20th, 2025
Cate: 音の良さ

アキュフェーズ A20Vのこと(A級アンプのこと・その2)

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)で、
瀬川先生は、Exclusive M4について、こう書かれている。
     *
 たとえば入力に対する応答速度とか解像力という面からみれば、ごく最近の優秀な製品には及ばない。が、ここから鳴ってくる音のニュアンスの豊かな繊細なやさしさは、テストソースの一曲ごとに、ついボリュウムを絞りがたい気持にさせてしまう。そのこと自体がすでにきわめて貴重であることを断わった上で細かなことを言えば、それぞれの単体のところでも書いたように、繊細さの反面の線の弱さ、柔らかさの反面の音の密度の濃さや充実感、などの面でわずかとはいえ不満を感じないとはいえない。本質的にウェットな傾向は、曲によっては気分を沈みがちにさせるようなところがなくもない。ただ、そうした面を持っているにもかかわらず、菅野録音のベーゼンドルファーの音を、脂こさはいくぶん不足ながらかなりの魅力で抽き出したし、シェフィールドのダイレクトカットでさえ、意外に力の支えもあって楽しめた。アラ探しをしようという気持にさせない音の品位とバランスの良さが聴き手を納得させてしまう。
     *
繊細で上品で、ウェットな音というのが、Exclusive M4の音のイメージであり、
これはそのまま当時のA級アンプの音のイメージだった。

このころA級アンプは、国産アンプしかなかった。少なくとも日本に輸入されていた海外製アンプには、なかった。

そこにマークレビンソンのML2が登場した。1977年のことだ。
ステレオサウンド 45号の新製品紹介の記事に登場している。
     *
山中 このパワーアンプを開発するにあたってマーク・レビンソン自身は、本当のAクラスアンプをつくりたい、そこでつくってみたところがこの大きさと出力になってしまった。出力ももっと出したいのだけれど、いまの技術ではこれ以上無理なんだといっているのですが、いかにも彼らしい製品になっていと思います。
 実際にこのアンプの音を聴いてみますと、今までのAクラスパワーアンプのイメージを打ち破ったといえるような音が出てきたと思うのですがいかがでしょうか。
井上 そうなんですね。いままでのAクラスパワーアンプは、どちらかといえば素直で透明な音、やわらかい音がするといわれてますね。それに対してこのアンプではスピーカーとアンプの結合がすごく密になった感じの音といったらいいのかな……。
山中 その感じがピッタリですね。非常にタイトになったという感じ。スピーカーを締め上げてしまうくらいガッチリとドライブする、そんな印象が強烈なんです。
井上 一般的に「パワーアンプでスピーカーをドライブする」という表現が使われるときは、一方通行的にパワーアンプがスピーカーをドライブするといった意味あいだと思うのです。このマーク・レビンソンの場合は対面通行になって、アンプとスピーカーのアクションとリアクションがものすごい速さで行われている感じですね。
山中 ともかく片チャンネル25Wの出力のアンプで鳴っているとは思えない音がします。この25W出力というのは公称出力ですから、実際の出力はもう少しとれているはずですし、しかもインピーダンスが8Ω以下になった場合はリニアに反比例して出力が増えていきますから、やはり電源のしっかりしたアンプの底力といったものを感じますね。
井上 昔から真空管アンプのパワーについて、同じ公称出力のトランジスターアンプとくらべると倍とか四倍の実力があるといったことがよくいわれていますね。
山中 それに似た印象がありますね。
井上 でも真空管アンプというのはリアクションが弱いでしょ。やっぱり一方通行的な部分があって、しかも反応がそんなに速くない。アンプとの結びつきが少し弱いと思うのだけど、この場合はガッチリ結びついた感じのするところが大変な違いだと思います。
山中 とにかく実際にこのアンプを聴いた人はかなり驚かされることになると思います。
     *
マーク・レヴィンソンは、ML2以前、自社製のパワーアンプを持たない時期、
スタックスのパワーアンプとExclusive M4を使っていたことを、後で知る。

Date: 7月 19th, 2025
Cate: 音の良さ

アキュフェーズ A20Vのこと(A級アンプのこと・その1)

井上先生が1970年代の終りごろから1980年代にかけていわれていたことは、
日本での、あたたかくてやわらかい、という真空管アンプの音のイメージは、
ラックスのSQ38FD/II(過去のシリーズ作も含めて)によって生れてきたものだ、だった。

同じ意味で、日本においてA級アンプの音のイメージをつくってきたのは、
パイオニアのExclusive M4といえよう。

トランジスターアンプが登場するまでは、言うまでもなく真空管アンプしかなくて、
だからと言って、市販されていた全ての真空管アンプの音が、
柔らかくあたたかい音なわけではなかった。
いろんな音のするアンプが、これまた当たり前すぎることだが、あった。

なのにいつごろから日本では、真空管アンプの音の特徴として、
柔らかくあたたかくて、その反面、音がやや甘い──、
そんなイメージで語られていた時期がある。
だから弦楽器(特にヴァイオリン)、それから女性ヴォーカルを、
しっとり艶やかに聴きたいのであれば、真空管アンプが向いている、そんなことも一緒に語られていた。

同じことが、ほぼ同時代、トランジスターアンプでヴァイオリン、女性ヴォーカルをそんなふうに聴きたいなのであれば、
A級動作のアンプといわれていたのは、Exclusive M4の音のイメージからだろう。

1976年、私がオーディオに興味を持った時期、確かにそんな感じだったし、
私もそれに影響されて、女性ヴォーカルを聴くのであればA級アンプしかない──、そんな思い込みを持っていた。

確かに、Exclusive M4の音はそうだった。
私が初めて聴いたA級アンプは、Exclusive M4だっただけに、
そう思い込むのも、若さ(幼さ)もあってのこと。

このころA級アンプは少なかった。
パイオニアからM22、スタックスのDA80、DA80M、DA300ぐらいしかなかった。

Date: 7月 18th, 2025
Cate: 世代
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世代とオーディオ(老害、独断と分断・その5)

文春オンラインで公開されている記事を読んだ。
「ルポ 誰が国語力を殺すのか」という記事で、
サブタイトルとして、
「死体を煮て溶かしている」『ごんぎつね』の読めない小学生たち…石井光太が明かす“いま学校で起こっている”国語力崩壊の惨状
と付いている。

読んでほしい。
一部の限られた学校もしくはクラスだけのことではないのがわかる。

オーディオ評論だけに絞ってみても、こういう世代の読者を相手にしていくことになるのか。
だとしたら、どんなオーディオ評論となっていくのか。
かたちを持たない、抽象的な音を言葉で表現し伝えていくことは、どうなっていくのだろうか。

Date: 7月 18th, 2025
Cate: 「本」, 老い

オーディオの「本」(ラジオ技術のこと・その5)

ラジオ技術が、これからも年一冊のペースであっても発売されるのかは、わからない。
通巻989号の目次を見ていると、去年発行されるはずだった内容だとわかる。

一年遅れて発売になったわけで、
今年の春まで更新されていた組版担当の方のX(旧twitter)を読んでいた者からすると、
990号に関しては、あまり期待できない(それでも少しは期待している)。

ラジオ技術は、新しい号を出していくのもいいけれど、
過去の記事を全て電子書籍化してほしい。

オーディオ、音楽とは関係ないジャンルだが、月刊住職という月刊誌がある。
1974年に創刊されている。

この月刊住職は、五枚組のDVD-ROMがある。
創刊号から2019年の12月号までの全ページをPDFにしたものを収録している。

同じことをラジオ技術もできるはずだし、ぜひやってほしい。

Date: 7月 17th, 2025
Cate: スピーカーの述懐

スピーカーの述懐(その63)

スピーカーに求められるのは、音の表現力、ひいては音楽の表現力だけだろうか。
もっと大切なことは、洞察力のはずだ。

音への洞察力、音楽への洞察力──、
抽象的すぎるのはわかっている。

それでもスピーカーによって、洞察力は違ってくるし、
洞察力をほとんど持たないとしか思えないモノもあることは事実だ。

Date: 7月 16th, 2025
Cate: 「ネットワーク」

dividing, combining and filtering(その5)

ソーシャルメディアとのつき合い方は、特にfilteringだ。
誰をフォローするのか。

読みたいことのみをフォローしているようで、
読みたくないことを拒絶している。
自分と同じ意見、考えを持つ人、その投稿ばかりを追いかけて、
そのことだけで世界観を構築してしまう。

そういう使い方をしている人ばかりでないことはわかっているが、
そういう使い方をしている人も少なくないようだし、
知人の一人も残念なことにそうである。

そして凝り固まっていき、余計に拗らせているように見える。
本人は真理に迫りつつある──、という認識のようだ。

filteringとは、そういうことでは、本来ないわけなのに、そうなっていってしまう。
ソーシャルメディアがなければ袋小路にぶち当って、
そこで考えを改める機会にもなるだろうが、
ソーシャルメディアはそうじゃない。

どこまでもどこまでも、悪い意味でつき進める。

Date: 7月 16th, 2025
Cate: 「本」, 老い

オーディオの「本」(ラジオ技術のこと・その4)

ラジオ技術の最新号が発売になっている。
通巻989号であり、一年以上経っての発売。

秋葉原の万世書房で購入できるが、ラジオ技術のウェブサイトには、まだ告知されていない。

来年、990号が出るのか。
毎年一冊ずつ出て、2036年に通巻に1000号となるのか。

Date: 7月 15th, 2025
Cate: 音の良さ

アキュフェーズ A20Vのこと(余談)

アキュフェーズのA20Vをメインのパワーアンプとして使っているわけではない。
それでも、というか、だからこそ、なのか、
手を加えようと考えて二年ほど経つ。

メインとして使っていないからこそ、毎日少しずつやっていけばいい、とも言えるし、
メインとして使っていないから、あれこれ考えても、もうひとつ実行にうつす気がわいてこない、ともいえる。

けれど、今回、ウェストレックス・ロンドンでのA20Vの音(実力)を聴いて、
これは早いうちに手を加えようと思うようになった。

具体的にどこに手を加えるのかは、すでに決めている。
複数箇所、手を加える予定で、さほど費用はかからないので、その気になれば、一気にやってしまえるけれど、
いまA20Vは来月のaudio wednesdayでも使うので、手元にない。

手を加えたら、またウェストレックス・ロンドンを鳴らしてみたい。

Date: 7月 14th, 2025
Cate: 音の良さ

アキュフェーズ A20Vのこと

7月9日のaudio wednesdayでは、
アンプはマランツのModel 7とマッキントッシュのMC275の組合せの予定だった。

けれどMC275の不調で、急遽、代わりのアンプを取りに戻ることになった。
持ってきたのは、アキュフェーズのA20Vである。
A級動作で、出力は8Ω負荷で20W+20W。小出力アンプである。

いまから二十以上前のアンプである。
他にもアンプはあるけれど、A20Vにしたのは、保護回路がしっかりしているからだ。

修理が可能なスピーカーならば、まだいいけれど、
野口晴哉氏のスピーカーは修理が困難なモノばかりである。
何かあることはそうそうないことはわかっていても、全く起こらないわけでもない。

ならば安全なアンプにしておきたい。
ウェストレックス・ロンドンも100dB以上の変換効率の高さを持つ。
20Wならば十分と思いがちだが、実際には16Ω負荷となるから出力は半分の10W。

300Bシングルアンプ並みの出力のトランジスターアンプで、
この時代のスピーカーが、どう鳴ってくれるのか。
想像が難しいところもあったが、鳴らしてみたら、違和感がない。

真空管とかトランジスターとか、そんなことは頭からさっぱり消えていた。
出力も十分だった。

正直、A20Vの実力を低くみていたところがあった。認識不足を反省するくらいの鳴り方だった。

A20Vの後継機は、A30、A35と続いたが、現在は同クラスの製品はない。

A35と上級機のA60の中間に位置するA45が登場し、現在はA48Sとなっている。
A20Vは出力段のMOS-FETは3パラレル、A48Sは6パラレルと規模は大きい。

A45もA48Sも聴いていないので、なんとも言えないけれど、
A20Vとは傾向は同じようでいて、けっこう違うようにも思う。

どちらかがいいアンプなのかは、組み合わせるスピーカー次第だ。
ウェストレックス・ロンドンとの組合せだと、A20Vの方がいいかもしれない──、そんな気がしている。

Date: 7月 14th, 2025
Cate: audio wednesday

Westrex Londonを鳴らしてみて(その6)

一時間強での音の鳴り方の変化からすると、
これから先丁寧に鳴らしていけば、ウェストレックス・ロンドンのスピーカーは、もっとよく鳴るようなるはず。

だが、それはいまどきのオーディオ評論家が言うような「スピーカーの存在が消える」とは、まるで違う鳴り方のでの、その先である。

今回は、さほど長い時間、ウェストレックス・ロンドンを鳴らすことはできなかったが、
一時間強での音の鳴り方の変化は、存在感を増していく、ともいえるものだった。

スピーカーが歌うように鳴る。
そのことが鳴らしていくとともに、よりスムーズに歌うようになり、
さらに楽しく音楽を奏でてくれるようにも感じとれた。

そこには、スピーカーを通して音楽を聴く喜びがある。

Date: 7月 14th, 2025
Cate: audio wednesday

Westrex Londonを鳴らしてみて(その5)

20時30分ごろにステレオで鳴り始めたウェストレックス・ロンドン。
カルロス・クライバーのベートーヴェンの第二楽章の終り近くで、一時間強経っていた。

やっと目覚めたばかりのスピーカーにとって、この一時間は長くはないけれど、
それでも徐々に本領を発揮してくれつつある時間ではあった。

もっと時間があれば、さらによく鳴ってくれたはず。
そう言い切れるほど、クライバーのベートーヴェンの第三楽章と終楽章は、
ベートーヴェンの音楽の巨きさを感じられるほどに、鳴ってくれた。

これでウェストレックス・ロンドンが鳴り切ったわけではない。
もっともっと良くなるはずだし、オーディオ的な聴き方をすれば、
細かな指摘をされるだろうし、キズのない音ではない。

でも、その前に、ベートーヴェンの音楽をベートーヴェンの音楽として聴かせてくれた。
このことが私にとっては、とても大事なことだ。

Date: 7月 13th, 2025
Cate: audio wednesday

Westrex Londonを鳴らしてみて(その4)

audio wednesdayを喫茶茶会記でやっていたころは、スピーカーはアルテックをベースにしたモノだった。

ウーファーの416-8Cの出力音圧レベルは、97dB/W/m。
実際に鳴らした感じも、そのくらいである。

100dBを超えるほどの高能率スピーカーではないものの、
十分、そう呼べるだけのモノではある。

メリディアン のUltra DACを最初に聴いたのは、このスピーカーだったし、
喫茶茶会記でUltra DACを聴いたのも、全て、このスピーカーを通してだった。

現在の狛江でaudio wednesdayを行うようになってから、
いくつものスピーカーでUltra DACを聴く機会、
言いかえると、Ultra DAC独自のフィルターの切替による音の違いを聴くようになった。

いまのところいえるのは、Ultra DACのフィルターの音の違いは、
明らかに高能率スピーカーの方が、はっきりと出る。
そして、判断に迷うことが少ない。

このことは私にとって非常に興味深い現象で、そういうことではないかな、という理屈はあるものの、
これから、いくつかのスピーカーで試してみてから語っていきたい。

そんなことを感じながら、ウェストレックス・ロンドンのスピーカーを鳴らしていた。
49年ぶりに鳴ったウェストレックス・ロンドンの音は、
最初から凄いと思わせるところと、個人的には、少しあれっ? と感じるところもあった。

それはおそらく長いこと鳴らされていなかったからだろう、と思いながら、
最後に、カルロス・クライバーのベートーヴェンの五番(MQA-CD)をかける。

二楽章の後半から、明らかに音が変った。

Date: 7月 12th, 2025
Cate: audio wednesday

Westrex Londonを鳴らしてみて(その3)

渡辺茂夫のCDをかけて、今日は、これだけで充分じゃないか、
という気持も私の中にはあった。

でも、やはりステレオで聴きたい、という声ばかり。左チャンネルを鳴るようにする。

今回は、細かな不具合がいくつか起こるだろうと、やる前から思っていたから、
CDもあれこれ持参したわけではなかった。

その中の一枚が、クーベリック/バイエルン放送交響楽団によるスメタナの「わが祖国」。
その後に、来られた方のCDもかける。
その中に“LIVE – Hans Zimmer”があった。

タイトルからわかるようにライヴ録音。
これも、かなりよく鳴ってくれた。
トーキー用のスピーカーで映画音楽を鳴らしているわけだから、
よく鳴って当たり前とは思わない。

ウェストレックス・ロンドンの時代とハンス・ジマーの時代は、ずいぶんと違う。
そんなこと関係ないと思わせるほどに、いい。

以前から感じていることなのだが、
高能率のスピーカーはライヴ録音をうまく鳴らしてくれる。

たまたまなのだが、クーベリックの「わが祖国」もライヴ録音。

このことに関係して、もう一つ思っていたことは、
メリディアンのUltra DACのフィルターの切り替えによる音の違いは、
高能率のスピーカーの方が、はっきりと違いが出る、ということ。

Date: 7月 11th, 2025
Cate: audio wednesday

Westrex Londonを鳴らしてみて(その2)

渡辺茂夫と聞いても、どんな人か、ほとんどの人は知らないと思う。
私は、なんとなく名前だけは聞いた(見た)記憶があるけれど、
だからといって、どんな人なのかについては、ヴァイオリニストだった──、それだけだ。

前回のaudio wednesdayが終ってから検索して、
インターネットで知り得ることは調べたけれど、
そのことによってCDを買って聴いてみよう、とはならなかった。

それに三十年ほど前に発売されたCDは廃盤のようで、入手は難しい。それもあって、それ以上の興味は持たなかった。

おそらく先日のaudio wednesdayに来ていた人で、渡辺茂夫のCDを聴いたことのある人は、一人だけ。
CDを持って来られた人だけのはず。

誰のCDなのか、どういう人なのか、全くの説明なしに渡辺茂夫のCDをかけた。
それで考え良かった。
何の先入観もなしに、ウェストレックス・ロンドンの音とともに、
渡辺茂夫の演奏に、皆驚いたのだから。

このCDは東芝から出ていた。
ライナーノーツによると、88.2kHz、20ビットでデジタル変換されている。
ならば、QobuzかTIDALで、このスペックのまま配信をしてほしい。

とにかく49年ぶりに鳴った野口晴哉氏のウェストレックス・ロンドンは、聴く人みなの心を捉えてしまった。