Archive for 5月, 2020

Date: 5月 22nd, 2020
Cate: 試聴/試聴曲/試聴ディスク

窓のない試聴室と窓のある試聴室(その2)

別項のショウ雑感を書いていて、
インターナショナルオーディオショウ、OTOTENの会場となる国際フォーラムも、
窓がないことに気づく。

会議室としての空間だから、窓がないほうがいいのだろうし、
窓がないからこそ遮音性が高いのはわかっている。

インターナショナルオーディオショウの前身、
輸入オーディオショウは最初のころは九段のホテルグランドパレスが会場だった。
窓があった。

窓のあるところでやれ、といいたいわけではないが、
ヘッドフォン祭は窓があるな、と気づく。

Date: 5月 22nd, 2020
Cate: ショウ雑感

2020年ショウ雑感(その21)

新型コロナの感染者数は落ち着きを、いまのところは見せ始めている。
夏ごろには一時的な収束となっても、終息とはならないはずである。

来年の第二波に備えておく必要はある。
となると11月下旬開催予定のインターナショナルオーディオショウはどうなるのか。
開催できる可能性はある、と思う。

開催できた、としても、例年のような運営のままでは、
無防備となるはずだ。

今年はほぼすべてのオーディオショウが中止になっているだけに、
インターナショナルオーディオショウが開催されれば、多くの人が訪れるのではないだろうか。

いままで以上かもしれないし、
用心して今年は行かない、という人もいるだろうが、それでもかなり混むことは予想できる。

しかもブースによっては、これまでも隙間なく人がいる、というのは珍しくなかった。
人が多すぎて、ブースに入るのを諦めたことは、
行ったことのある人ならば何度か体験しているはず。
今年は、というか、これから先は、このままでは、あまりにも無防備すぎる、としかいえない。

ソーシャルディスタンスの確保は、インターナショナルオーディオショウでも必要とすべきだ。
2mとまではいかないまでも、1mぐらいの距離を保って、ということになると、
ブースに入れる人の数は限られてしまう。

かなりスカスカのなかでのプレゼンテーションということが求められるのではないだろうか。
その場合、どうやって入場制限をするのか。

ブースに入る人だけを制限したところで、あふれた人たちは廊下にたむろすることになる。
それでは意味がなくなる。

会場全体の入場制限ということになるのだろうか。
では、どうするのか。
事前に予約しての来場ということになるのか。
それも午前と午後で、来場者の総入れ替えを行うようになるのかもしれない。

とはいえ会場となる東京フォーラムの構造上、
そこまでの入場制限を実施するのは、かなり大変なことになるとは思う。

無理なことはやらない。
入場制限はしない、ということになるのだろうか。

話し合いはなされているはずだ。
どういう決断を下すのだろうか。

Date: 5月 22nd, 2020
Cate: High Resolution

MQAで聴けるバックハウスのベートーヴェン(その1)

バックハウスのベートーヴェンは、SACD(ステレオ録音のほう)で出ている。
e-onkyoでもDSF(2.8MHz)で配信されている。

これで充分じゃないか、と思いつつも、
ケンプがMQAで出ている。
ケンプはDSF(2.8MHz)もある。

ならばバックハウスも、DSFだけでなく、MQAも出てくるのかもしれない、とひそかに期待していた。
今年になって、バックハウスのハイドン、モーツァルト、シューマン、バッハなどが出ている。
MQAとflacなのだが、44.1kHz、24ビットである。

44.1kHzであっても、MQAであることのメリットは充分あるとはいうものの、
ベートーヴェンがMQAで出たとしても44.1kHz、24ビットの可能性が高いかも……、
そんなふうに思っていた。

そんなだったら、DSFで買おうかな、と思っていたところ、
バックハウスのベートーヴェンのMQAが始まった。

いまのところ一番、二番、三番、四番のみであるが、
MQA(96kHz、24ビット)である。

ベートーヴェン生誕250年だからなのか。
とにかく嬉しい。
これから続けてリリースされる、と期待しているところ。

Date: 5月 22nd, 2020
Cate: audio wednesday

第112回audio wednesdayのお知らせ(untitled)

6月3日のaudio wednesdayのテーマは、前回書いているようにuntitled。
これといったテーマは決めずに行うけれど、持っていくディスクは書いておこう。

一昨日、タワーレコードからのメールに、チェックしたCDが発売になりました、とあった。
なんだっけ? と思ってURLをクリック。
セシル・テイラーの「Solo」だった。

5月20日発売だということをころっと忘れていた。
また買い逃すところだったかもしれないだけに、
ややおせっかいと思えなくもない内容のメールだけど、ありがたいとも思う。

「Solo」を持っていく。
菅野先生からきいているおもしろいエピソードについても、話す予定でいる。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

19時開始です。

Date: 5月 21st, 2020
Cate: ジャーナリズム, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(コロナ禍ではっきりすること・その2)

新型コロナの影響で、自動車の売行きが悪い、ときいている。

友人から教えてもらったのだが、日本自動車販売協会連合会のサイトで、
ブランド別新車販売台数確報が公開されているのを知った。

2020年4月の販売台数をみていくと、確かに前年比はよくない。
乗用車だけをみても、ホンダが60.1%、三菱が35.2%、日産が42.9%、トヨタが66.8%で、
海外ブランドをみても、売行きはよくないことがわかる。

それでもフェラーリは126.8%、ランボルギーニは133.8%、ポルシェは164.1%と、
コロナ禍の影響はみられないといえる売行きである。

海外ブランドだからなのか、と思うと、メルセデス・ベンツは62.8%、
マクラーレンは37.5%、マセラッティは43.1%、ジャガーは37.8%、アストン・マーチンは56.0%だ。

自動車の専門家ではないから、これらの数字について専門的なことは何もいえないが、
フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェの売行きの伸びはすごいと思うし、
このことをどう捉えたらいいのだろうか。

高級外車は景気に左右されないわけではないだろう。
売行きが鈍っている海外ブランドもあるのだから。

ハイエンドオーディオと呼ばれるモノのなかには、
フェラーリやランボルギーニ、ポルシェ並の価格が珍しくなかったりする。

それらのオーディオ機器の売行きも、これらのクルマ同様に売行きは前年比で伸びているのか。
自動車業界と違い、オーディオ業界では、
ブランド別販売台数が、こんなふうに発表されているわけではない。

ウワサをきくことはあるけれど、実態はわからない。
かなり高額のオーディオ機器が、オーディオマニアのリスニングルームにある。
Aさんのところにあり、Bさんのところにもある……。

こんなにも高価なオーディオ機器が、けっこう売れているのか。
そう思いがちになるのだが、
意外にもAさんが使っていて手放したモノがBさんのところに行き、
Bさんもしばらく使って、次はCさんのところに……、という例があるともきいている。

Aさんのところにあった、Bさんのところにもあった、Cさんのところにもあった、
と書くのがより正しいわけで、実際に売れたのはごくわずかな台数であっても、
一年二年というスパンでみると、いろんな人のリスニングルームにあるというふうになる。

Date: 5月 21st, 2020
Cate: ショウ雑感

2020年ショウ雑感(その20)

1984年にでたカルロス・クライバーの、
バイエルン国立管弦楽団とによるベートーヴェンの交響曲第四番は、
ライヴ録音ということもあって、最後に聴衆のブラボーもそのままおさめられている。

演奏が終って、すぐに発せられるブラボーではなく、
少し間があってのブラボーだった。

おそらく若い男性なのだろう、感極まってのブラボーであり、
だからということもあって叫び声でも掛け声という感じでもなかった。

好ましい印象のブラボーだった。

こういうブラボーは、実際の演奏会ではまずない。
いつのころからか、クラシックのコンサートでは、
誰よりも早くブラボーと叫びたい人が、必ずといっていいほどいる。

100m走のスタートダッシュを極めるかのような感じでのブラボーがある。
よくいわれているように、
最後の音の余韻が残っているのに、ひときわデカイ声でのブラボーには、
閉口している人は多かったから、何度となく、いろんなところで、
ブラボーについての否定的な意見が出てきていた。

すみだトリフォニーホールが、
7月開催予定の公演についてのお知らせを公開している。

新型コロナ感染予防として、いくつかのことが挙げられている。
そのうちの一つに、こうある。
     *
「ブラボー」等の掛け声は禁止とさせていただきます。
     *
英断だ。
私だけでなく、ブラボーにうんざりしていた人は、みなそう思うはずだ。

いまのところ7月の演奏会だけのようだが、
ぜひとも8月も9月も、ずっとずっとブラボー等の掛け声は、禁止のままであってほしい。
そしてすみだトリフォニーホールだけでなく、
ほかのホールにも波及してほしい。

Date: 5月 20th, 2020
Cate: 930st, EMT

EMT 930stのこと(ガラード301との比較・その15)

その14)で引用した五味先生によるマッキントッシュのMC275とMC3500の音の違いは、
レンダリングの違いとも読める。

音の構図の確かさ(モデリングの確かさ)は、MC275もMC3500もあまり違いはないのではないか。
しっかりと音の構図を描いたうえで、
MC3500のように《音のすみずみまで容赦なく音を響かせている》のか、
MC275のように
《必要な一つ二つは輪郭を鮮明に描くが、簇生する花は、簇生の美しさを出すためにぼかしてある》のか。

この違いをどう読みとるのか、
人によって違ってこようが、私はモデリング(音の構図)ではなく、レンダリングの違いと読む。

簇生の美しさを出すためにぼかすためにも、
音の構図に曖昧なところがあってはならない。

モデリングを音の構図とすれば、
レンダリングは音色ともいえる。
音色のひとことだけですべてを表わしているわけではないが、
レンダリングは、オーディオ的音色につながっていくものといえるのは確かだ。

ここでも、優先順位が関係してくる。
人によって、どちらを優先するのか。

もちろん音の構図も音色も、高い次元で求めたい、というのがほんとうのところであっても、
そこへ行き着く過程では、どちらかを優先する場面が多々ある。

このことは、別項のフルレンジスピーカーの次なるステップとして、
トゥイーターなのか、それともウーファーなのかについて書いているが、
そこで歌い手の口の小ささを優先するのか、
それとも歌い手の肉体の再現をとにかく優先するのか─。

音の構図を優先する人ならば、歌い手の口の小ささよりも、
歌い手の肉体の再現を優先するのではないのか。
少なくとも私はそうである。

私にも音の構図よりも、好きな音色を優先していた時期がある。
ずいぶん若い時のことだ。

そこでは口の小ささは、とても重要だった。
肉体の再現の重要性を、「五味オーディオ教室」を読んでいて、
頭では理解していても、未熟なころの私は、口の小ささの優先順位は高かった。

Date: 5月 19th, 2020
Cate: audio wednesday

第112回audio wednesdayのお知らせ(untitled)

次回のaudio wednesdayは、6月3日。
4月は中止で、3月は常連の人が一人。
5月は誰も来なかった、というわけで、
ほとんどの方が最低でも四ヵ月ぶりとなるaudio wednesday。

今月末には緊急事態もとかれるかもしれない。
それでも常連の人たちがみなこられるとは思っていない。

6月のaudio wednesdayも、ごくわずかの参加だろう。
ひさしぶりに何人かが集まる。
それだけで充分楽しい、といえばそうである。

だから、テーマは決めないことにした。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

19時開始です。

Date: 5月 19th, 2020
Cate: オーディオのプロフェッショナル

オーディオのプロフェッショナルの条件(その5)

読評のはしりといえる人は誰なのか。
実名を出そうかどうか、ちょっと迷っている。

オーディオベージックはすでにないから、いまさらその人の名前を出しても……、
というところはあるし、いまではオーディオ評論家めいたことをやっているのだろうか。

オーディオ雑誌を丹念に見ることがなくなったこともあって、その人の名前を目にすることがない。
いまもオーディオ評論家めいたこと(つまり読評)をやっているのであれば、
名前を出すところだが、そうではないようなので控えておこう。

それにオーディオベージックを読んでいた人ならば、誰のことかすぐにわかる。

その人は、おいしいとこ取りをしようとしていた人だった。
少なくとも私の目にはそう映ったし、
そのころあるオーディオ業界の人と、オーディオベーシックの話になったとき、
同じ印象をもっている人がいることがわかった。

それにオーディオベーシックに一時期執筆していた人から、
編集部の様子をきいたときも、やっぱりそうなのか、と思ったことがある。

読評のはしりといえるその人は、
オーディオ評論家のおいしいところ、
編集部のおいしいところ、
読者のおいしいところだけを取ろうとしていた(といまでも思う)。

おいしいとこ取りが悪いわけではないが、
おいしいとこではないこと、つまりまずいことは拒否していたようにみえる。

立場を曖昧にしたままで、それぞれの立場のおいしいとこ取りをしていく。
本人はそんなつもりはまったくなかった、というだろう。

その人と親しい人も、そういってかばうかもしれない。
そんなつもりはなかったのかもしれないが、
読み手であるこちらには、そうみえた。

意識して、おいしいとこ取りしていたほうが、まだましだ。
無意識にそうやっていたとしたら……。

別に、その人のせいで、オーディオベーシックにダメになったかというと、
間接的にそういえても、直接的には、その人をずっと、
それも積極的に関ってきた編集長のせいだ、といいたい。

Date: 5月 19th, 2020
Cate: 試聴/試聴曲/試聴ディスク

窓のない試聴室と窓のある試聴室(その1)

1976年12月にでたステレオサウンドが、私にとって最初のステレオサウンドで、
具体的には41号と別冊「コンポーネントステレオの世界 ’77」である。

「コンポーネントステレオの世界 ’77」では、
組合せの試聴中の写真が何枚も掲載されている。
それらをみて、ステレオサウンドの試聴室の雰囲気を知った。

1982年1月に、初めてステレオサウンドの試聴室に入ることができた。
「コンポーネントステレオの世界 ’77」で見て知っていた試聴室と、
少しの違いはあったけれど、ほぼ同じだった。

それからステレオサウンド編集部で働くようになって、バックナンバーをみていくと、
29号で、新試聴室完成という記事がある。
そこでの写真をみると、窓がないのに気づく。

ずいぶん雰囲気の試聴室が違う。
このとき、窓のある試聴室でよかった、と思ったことをおぼえている。

私が辞めたあと、ステレオサウンドは二回引っ越ししている。
試聴室が二回かわっているわけだ。

その後の試聴室の写真をじっくりみているわけではないが、窓はないようだ。
ステレオサウンド以外のオーディオ雑誌の試聴室も、窓のないところが多いようである。

メーカーの試聴室も、すべてを知っているわけではないが、
窓はないところのほうが多いはずだ。

窓は音響的には、あまりよくない。
なので試聴室という、生活とは区切られている環境では、窓はない方がいい──、
のは間違っていない理屈である。

正しい、ともいえるのかもしれない──、と思いつつも、
個人的には窓のある試聴室がいい。

Date: 5月 18th, 2020
Cate: オーディオのプロフェッショナル

オーディオのプロフェッショナルの条件(その4)

読モという略称がある。
読者モデルのことである。

ここ数年思っているのは、読評である。
読者評論家を略したものだ。

読モもひどい略称だと感じるが、読評は、もっとひどいな、と思う。

読モはインターネットの普及以前から登場していたとのことだが、
これほどの脚光を浴びるようになったのはインターネットの普及も関係している、とのこと。

読評が現れるようになったのは、はっきりとインターネットの普及、
さらにはSNSの普及のおかげある。

Wikipediaによれば、
読モの魅力は、
読者からみてお手本にできる親しみやすさ、
スターというより友達感覚といった親近感に集約される、とある。

オーディオにおける読評もそういえる気がするだけでなく、
ここ十年ほどは個人サイトをほとんど見なくなったためはっきりとはいえないが、
それ以前は、積極的に個人サイト、ブログをやっている人のなかには、
オーディオ評論家をめざしているんじゃないのか──、
そんなふうに感じさせる人が何人もいた。

すでに休刊(廃刊)になってしまったオーディオベーシックという季刊誌があった。
共同通信社が出していた。別冊FMfanの成れの果てだ、と私は思っている。

ひどいことをいうヤツだ、と思われようが、そうとしか思えないし、
別冊FMfanが、こんなふうになってしまったのは、
読評のはしりといえる人を積極的に活用したからだ、とも思っている。

Date: 5月 17th, 2020
Cate: High Resolution

MQAで聴けるベートーヴェン 交響曲全集(その5)

CDであろうと、ファイル配信であろうと、
クリュイタンスのベートーヴェン全集が売れているのは、嬉しいことである。

嬉しいのは確かなんだけれども、
MQAで聴いていると、以前との印象に違いあるような気がしてならない。

昔聴いたのは、随分前だし、四番と八番を聴いているだけだ。
今回はすべて聴いている。
システムも違っている。

違っているところが多すぎるうえに、
記憶のうえでの比較なのだからあてにならない、と自分でも思うのだが、
MQAで聴くクリュイタンスのベートーヴェンは、思っていた以上に聴き応えがある。

昔聴いた印象では、なぜベルリンフィルハーモニーが、
カラヤンではなくクリュイタンスを、初の全集録音の指揮者に指名したのか。
その理由が、聴いているだけでは掴めなかった。

今回聴いて、はっりきと掴めた、とまではいわないが、
わかるような気はしてくる。

昔とは、リマスターされているかどうかの違いが大きいのか。
別項で書いたカルロス・クライバーのシューベルトもそうなのだが、
MQAだと、音がいいとか、いままで聴きとれなかった音が聴こえるとか、
そういうことではなくて、音楽の表情が豊かになる。

ここは、こんな表情をしていたのか、という発見が、
さんざん聴いたレコードなのに、ある。

クリュイタンスのベートーヴェンに関しては、CDボックスを買ってきて、
極力試聴条件を等しくして聴いてみれば、もっとはっきりとしたことがいえるようになるはず。

それをやるのもいいけれど、いまはもっともっとMQAで、
ベートーヴェンを聴いていくほうを優先したい。

Date: 5月 17th, 2020
Cate: High Resolution

MQAで聴けるベートーヴェン 交響曲全集(その4)

e-onkyoで購入できるクリュイタンス/ベルリンフィルハーモニーによるベートーヴェンは、
2,306円である。交響曲と序曲あわせて、この値段である。

十分安いわけだが、
これがCDで輸入盤で発売されているのだが、こちらはさらに安く千数百円で買える。
CDは、もちろん44.1kHz、16ビット。

e-onkyoでは、flac、MQAともに96kHz、24ビットである。
なので価格差があってもいいのだけど、
どちらを買う人が多いのだろうか、とふと思う。

クリュイタンスとベルリンフィルハーモニーによるベートーヴェンは、
いつかはすべて聴きたい、と思っていた。

メリディアンの218があるから、迷うことなMQAを購入したが、
218がなければ、満足のいくMQAの再生環境がなければ、CDを迷うことなく買っていたはずだ。

千円ちょっとなのだから、買う。
いずれMQAの再生環境が整ったら、その時にMQAを買えばいい。
配信では廃盤(配信中止)ということは、あまりないことだろうから、それでいい。

こんなふうに考える人はいるはずだ。

それにしてもCDの価格は、いったいどうなっているのか。
以前も書いているが、安いをこえて安すぎる、と思うことがしばしばある。

クリュイタンスのベートーヴェンは五枚組。
今回のCDは、20117年に発売されたCDボックスと同じマスターが使われている。
96kHz、24ビットである。

おそらくe-onkyoでの配信も同じマスターであろう。
だとすれば、CDのほうがコストはかかっている。

プレスしてパッケージして出荷するわけだし、
それが輸入され、日本の店頭に並ぶのだから。

クリュイタンスのベートーヴェンは、
e-onkyoでのアルバム ランキングで、最近でこそ落ちてきたものの、
ずっとかなり上位だった。

CDボックスも売れていたのだろうか。
そんな気がする。

Date: 5月 17th, 2020
Cate: 世代

世代とオーディオ(常識の消失)

スーパーの精肉売場に行くと、
「豚肉はしっかりと火を通してください」という注意書きがある。
一つの店ではなく、何箇所かでみかけた。

豚肉はしっかり火を通す、というのは、昔からよくいわれていた。
いわば常識である。

けれど、その常識中の常識といえるこのことであっても、
常識すぎる、と思って、誰もいわなくなると、いつのまにか知らない人たちが出てきてしまうのか。

スーパーの注意書きは、つい最近になってみかけるようになった。
豚肉に関する常識を知らない人が増えてきたからなのだろうか。

周りに、豚肉はしっかりと火を通してから、ということをいってくれる人がいなければ、
知る機会もほとんどないのだろう。

つい常識だから、と思ってしまうことが、オーディオにあるはずだ。
でも、こちらにとっては当り前すぎる常識という認識があるから、
相手が、その常識を知っているものと、つい思ってしまいがちになる──、かもしれない。

そうやっていくつものオーディオの常識が、すでに忘れられつつあるのかもしれない。

そんな常識なんて、オーディオには要らない、という人もいるかもしれない。
でも、SNSを眺めていると、必要な常識と不必要な常識とがあることに気づかされる。

どちらにしろ、オーディオの常識は消失しつつあるようだ。

Date: 5月 17th, 2020
Cate: ショウ雑感

2020年ショウ雑感(その19)

コロナ禍によって、次々とオーディオショウが中止になっている。
ショウ雑感というテーマなのに、今年はコロナ禍雑感になってしまっている。

先日、facebookの投稿で知ったのだが、
JELCO 市川宝石株式会社が、4月から休業しているだけでなく、
どうも廃業するようだ、とのことだった。

海外のオーディオ関係のサイト、What Hi-Fi?では、
五日ほど前に記事になっている。

JELCOのサイトは、こうなっている。
     *
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、JELCO製品の受注は在庫限りとさせていただきます。また、当分の間生産を見合わせ製造ラインを休業致します。ユーザーの皆様・関係者の皆様におかれましては、ご不便をお掛けいたしますが、ご理解賜りますよう宜しくお願いいたします。
     *
廃業なのかどうかは、いまのところはっきりしない。
けれど休業がしばらく続くのは事実である。

What Hi-Fi?の記事にもあるように、
ラックスのアナログプレーヤーに搭載されいてるトーンアームは、JELCO製だし、
OEMがメインのメーカーなのだから、単にJELCOブランドの製品がなくなるだけではすまないはず。